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未来を見通す数字力

テーマ:会計

基礎編

2014年3月31日

平均値を見誤らないために

 「平均」という言葉を聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?学校のテストで平均値と自分の点数を比較して自分の順位を確認した記憶を思い起こす方も多いでしょう。
 平均値は、その計算の簡易さからよく使われる分析指標です。すべてのデータを足し合わせ、そのデータの個数で割るだけで求められます。わかりやすいことから、あらゆるところで使われています。


 ところが、平均値はその簡易さからそれだけで分析しようとすると思わぬ勘違いをすることがあります。例えば、国税庁から発表された平成24年の民間給与実態統計調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が408万円と発表されました。408万円という数字を聞いてどのように思ったでしょうか?
 筆者は408万円という数字を聞いて、イメージしていたより多いなと思いました。408万円は、1年間働いていた男性、女性、正規、非正規のすべてを含めての数字です。非正規の方も含めての数字なので、平均給与はその分少なくなるのではないかと思いました。
 統計調査の報告書を読み進めていくと、他にカテゴリー別の平均値も記載されていました。男女別の平均値は男性が502万円、女性が268万円で、正規と非正規の平均値は正規が468万円、非正規が168万円という結果だそうです。1年間を通じて勤務した給与所得者の内訳として、男性が60%くらい、正規の割合が66%くらいですので、マジョリティの男性・正規の方が平均値を押し上げているようです。


平成24年 民間給与実態統計調査

 平均値=真ん中というイメージがあるかもしれませんが、データのばらつき具合によっては、必ずしも平均値が真ん中になることはなく、偏っていることのほうが多いのです。
 今回紹介した平均給与でも6割の方は平均給与以下となっているので、平均給与より少ない人のほうが人数では多くなっているのです。


平均値は、必ずしも真ん中を表しているのではない

 平均値は簡易に分析できる方法ですが、平均値のみを鵜呑みにしてしまうと勘違いしてしまいます。平均値を見る場合には、そのデータのばらつき具合も合わせて確認しておく必要があります。
 データのばらつき具合を表す数値として標準偏差があります。標準偏差の計算式はエクセルの関数STDEVPを使えば計算できるようです。


 先程の平成24年の民間給与実態統計調査のばらつきがわかるように表にしました。
 平均給与は408万円でしたが、給与所得者は408万円以下に偏っています。表から平均給与は408万円ですが、6割くらいの方は平均給与以下となっており、一部の高給取りの方が平均値を押し上げている状況が読み取れます。給与データを商売に使うことはあまりないかもしれませんが、平均値だけを見ていると数値を見誤る例として取り上げました。


数字を翻訳する

 数字力を強化するためには、時にはワガママに振る舞う必要があります。数字を見ていて頭に入らない、そんな時には数字を自分が理解できるよう翻訳してみるといいと思います。
 筆者は普段から数字と戯れていますが、どうしてもしっくりこない数字があります。それは、外貨建ての数字です。200ドルと言われても、すぐにパッと頭の中に入っていきません。円建てに直して初めて頭の中にすっと入ってきます。ドル建ての決算書を見る時には常に円換算して、自分が理解できる数字に翻訳してから考えるようにしています。


 経営者の方が数字を見て、それがピンとこない場合には、ご自身が理解できるよう数字を翻訳してみる必要があります。例えば月の売上が2000万円という数字は、日々の営業活動の積重ねで求められた数字になります。その数字がどうもピンとこない場合、例えばもう少し細かな単位に分けてみるのです。
 月の売上が2000万円ということは、1日あたりの売上は66万円です(毎日営業している場合)。毎日レジを締めて売上を集計している飲食店のような業種の場合、月単位の売上よりも1日あたりの売上のほうが経営者にとってピンとくると思います。営業会社の場合は、日ごとの売上というより営業パーソンごとの売上でも構いません。月の売上は営業パーソン全体の合計となりますが、営業パーソンごとの売上はその売上数字に営業パーソンの顔が結びつくため、経営者にとって理解しやすい数字になると思います。


 このように経営者が理解しにくい数字については理解しやすい数字に翻訳してもらうようにしましょう。数字は習うより慣れろです。すでに慣れている数字の見方があれば、そこを糸口により数字に慣れていくことが経営者が数字に強くなるコツです。翻訳は自分で行う必要はありません。遠慮することなく、経理担当者か顧問税理士にお願いするといいと思います。


自分が理解できる数字に翻訳する

未来を見通す数字力

 筆者が経営者に経営数字に強くなってもらいたい理由の1つが、未来を見通す力を強化してほしいからです。経営者には未来を嗅ぎ分ける独特の力(いわゆる直感)が備わっていると思います。ただし、時としてその直感が間違うことがあります。経営の感が鈍ったという時です。経営者の判断が間違えば、会社の行く末を左右しかねません。そこで筆者が推奨しているのが、経営者の直感以外にも説得力を増すために、過去から未来を見通す数字力(客観)を身につけることです。


経営者の直感+過去から未来を見通す数字力

 例えば10カ月経過した時点で決算数値を予測するような場合です。特に売上や経費に季節的な変動がないような場合には、単純に10カ月の数字を12カ月分に換算しなおして数値を導き出します。単純に未来を見通す場合は、客観的なこの方法で構いません。


 経営者が売上数値はこんな数字になるだろうという予想値を持っている場合には、売上は経営者の直感を使い、それ以外は換算値を使うという方法で数値を導き出します。経費でも残りの期間に特別に支出するものが決まっている場合には、換算値を多少補正します。この方法で導き出した未来の数字は、経営者の直感と過去から未来を見通す客観が組み合わさっているので、未来の予測値はかなりの精度になっていると思います。


 ちょっとした未来の予測であれば、上述の2つの方法で問題ないかと思います。ちょっと遠い1年後くらいの予測をするには、会社のトレンドを把握しておく必要があります。会社のトレンドの把握には、移動年計と言われるものを使うとよいでしょう。売上高については、帳簿では期首から期末まで累計して把握されていると思います。3月決算の場合には、4月-3月までの売上が集計されています。移動年計では、毎月その月までの1年分の売上を集計していきます。


 具体的には次のように計算します。3月決算の法人で今が12月だとします。帳簿上の売上累計は4月-12月までの合計になっていると思いますがこちらは使用しません。12月から1月ずつ遡って、毎月過去1年間の売上を集計します。12月は、1月から12月までの売上、11月は前年12月-今年11月までの売上、10月は前年10月-今年9月までの売上というように対象月ごとに過去1年間の売上を集計するのです。
 売上の集計を1年間行い、出てきた売上の合計値を横並びに並べます。このようにすることで季節要因を排除し、会社の長期的な売上のトレンドを把握できるのです。売上高の移動年計が右上がりになっている場合は売上が拡大傾向にあります。逆に右下がりになっている場合は売上が縮小傾向にあります。


 売上高の移動年計を未来の売上高の予測に活かせると思います。その月ごとの売上高に一喜一憂することなく、冷静に売上高の移動年計を見て会社のトレンドと経営者自身が感じている直感にズレがないか把握するのです。数字から出てきた客観的なトレンドをもとに、未来を見通して経営していく。そんな経営ができるようになると思います。


解説者

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