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四則演算思考を経営に活かす

テーマ:会計

実務編

2014年3月24日

 「1+1が3にも4にもなったら」
 企業同士の提携の発表会見でよく使われる言葉です。「1+1」は本来は2ですが、企業Aと企業Bが手を組むことで、2以上の効果が得られることを期待しての表現です。
 今回はこのような足し算、引き算、掛け算、割り算を合わせた「四則演算」を経営に活かす思考方法を紹介します。


加えることに意味がある

 まずは足し算思考です。四則演算思考の基本で最も使いやすいものになります。先程の1+1が3にも4にもなったらという表現でもわかるように、足し算というのはあるものに別のものを足すことをいいます。
 企業経営の場合には、今ある価値に別の価値を加えて新しい価値を提供するという発想です。1つだけでは弱いものでも、何かを加えることで強くなることがあります。


 例えば「英会話教室」という価値だとありふれた価値となってしまいます。そこで英会話教室に「オンライン」という別の価値を加えて、「オンライン英会話」という新しい価値を提供することが可能です。実際にオンライン英会話は、ここ数年で急激に成長してきました。
 市場が成長すると新規で参入する事業者も増えてきて、既に過当競争の感があります。今は、オンライン英会話という価値に各社の持ち味の別の価値を加えて事業展開をしているような状況のようです。


 この他に足し算には積み上げ効果があります。実績効果と言い換えてもいいかと思います。例えば、新製品の市場への浸透具合を表現する時に、累計販売本数○万本というように過去から現在までの販売実績を積み上げた数字を使うことで、実績をアピールすることが可能です。
 足していくことで数字を大きく見せ、顧客に納得感と安心感を持ってもらうのです。イベントとかの来場者数も足し算の積み上げ効果を使ってにぎわいを表現したものになります。



 足し算思考はわかりやすいのと使いやすいのでさまざまに使われています。足し算思考では物足りないと思われている人には次の引き算思考がオススメです。


引いてみることで何かが見える

 引き算はあるものから何かを引くことです。削ぎ落とすといってもいいでしょう。足し算思考での価値の増加はよく行われますが、引き算思考での価値の増加はあまり行われないので、引き算思考で考えるだけでも価値があると思います。


 例えばPCやタブレットなどに新たな機能を盛り込むことで商品価値を上げるようとするなか、K社のある商品はただ文章作成の機能のみに特化することで価値を生み出しています。何かを加えることは簡単ですが、何かを削ることはとても難しいです。K社の商品もインターネットはできないの?メールも見られないの?とできないことをあげたらきりがありません。インターネットができないということで、購入者が他社の商品に流れてしまって減ってしまうことも予想されます。それでも勇気を持って、機能を削ったことで一定層の需要を取り込むことができたのです。


 常に売上向上が至上命題の企業にとって、引き算思考はとても怖いものです。消費者の希望の最大公約数的な商品を出せば、消費者の取りこぼしはありません。すべての消費者の希望にそれなりに応えることができているからです。しかし、そのような商品を作ろうとするとあれも入れてこれも入れてといろいろな機能を追加していくことで、最終的に出来上がった商品は機能が複雑すぎて、誰もついていけないということにもなりかねません。
 そこで引き算思考です。本当に必要な機能に絞って、他の機能を削っていくのです。機能を削ることで、その機能が必須の消費者が離れていってしまうかもしれませんが、勇気を持って削るのです。そして削って残った価値については、業界でNo.1の水準になるように価値を磨きあげます。経営資源をそこに集中させるのです。そうすることでユニークな商品が出来上がり、新たな市場を作り出すことにもなるのです。


 引き算思考は、多くの人が参加する会議室の議論では生み出されないと思います。誰かが勇気を持って決断しなければならないからです。決断を求められる経営者や経営幹部の方にとって、役に立つ思考方法ではないかと思います。


 引き算を経営に活かしたものとしては、他に天引きがあります。例えば筆者がこのコラムで幾度かお伝えしている消費税貯金も引き算の効果を使ったものになります。
 消費税の納税額は、消費税が5%から8%に増税されることで確実に増えます。5%が10%になった時には、単純に今納税している金額の倍くらいになります。そこで、筆者がオススメするのが、消費税の納税額相当を毎月別口座に貯金をすることです。
 消費税は本来預り金なので、納税額分が会社の口座に残っているはずなのですが、そこが明確になっていないため、本来貯まっているはずの消費税納税額分の資金を意識することなく使ってしまいがちです。消費税分はいずれ納税しなければならないため、その分を引いて資金繰りを考えるため、別口座に移動するのです。そうすることで消費税の納税準備ができますし、会社の本来の余剰資金がどれくらいあるのか、通帳を見ることで把握することができるのです。



 引き算思考は、まだ使っている人が少ない思考方法だと思います。意識して使ってみると意外なことを思いつく思考方法だと思いますので使ってみて下さい。


組み合わせることで攻める

 次は掛け算思考です。足し算がコツコツと積み上げていくのに比べて掛け算の効果は絶大です。掛け算を使うことで一気に数字が大きくなります。掛け算思考がよく使われるのが、対前年比○%アップというような場面です。
 例えば売上目標を対前年比20%アップと決めるとします。1年目は1×1.2=1.2になります。2年目は1.2×1.2=1.44になります。3年目は1.44×1.2=1.728になります。4年目は1.728×1.2=2.0736になります。
 対前年比20%アップの目標を達成すると4年で売上を倍にすることができるのです。別名「複利効果」とも呼ばれていますが、掛け算を使うことで数を大きくできるのです。攻めるときは掛け算思考が有効です。


 また、掛け算は縦軸と横軸を一気に広げることを意味しています。例えば拠点を3つに増やし、それぞれ売上を2倍にすると目標を決めます。目標が達成された時には3×2=6倍の売上になるのです。
 縦軸である拠点数と横軸である各拠点売上を掛け合わせることで一気に売上を伸ばすことができるのです。そういう意味でも掛け算思考は攻めの思考と言えると思います。



理解するために割ってみる

 最後は割り算思考です。割り算は、ある物を分ける時に使います。例えば会社の余剰利益を3人の株主に分配する時には、○÷3で計算します。3人で分けるので「÷3」です。5人で分ける時には「÷5」になります。


 割り算の分ける効果を使うことで、数字の意味を理解することが可能です。例えば、売上高が1億円の会社が2つ(C社従業員数50人とD社従業員数10人)あったとします。どちらが優れている会社なのかを理解する時に、売上高1億円で比較していたのでは優劣がつけられません。
 そこで売上高1億円を従業員数で割ってみるのです。C社の従業員1人あたりの売上は1億÷50=200万となります。D社の従業員1人あたりの売上は1億÷10で1000万となります。
 同じ1億円の売上ですが、C者は従業員1人あたり200万円を稼ぎ、D社は従業員1人あたり1000万円を稼いでいるのでD社のほうがいい会社であることが理解できます。
 このように割り算の分ける効果を使うことで、無機質な財務数字を理解しやすい数字に変換することが可能になります。



足し算、引き算、掛け算、割り算は小学校で勉強したものなので、どなたにも馴染みがあると思います。四則演算を使うことで、経営についても深く考えることができるので是非使ってみて下さい。引き算思考が個人的にはオススメです。


解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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