本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  こんなときどうする 中小企業の税金と会計

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

貸借対照表はなぜ読みにくいのか?

テーマ:会計

実務編

2013年11月11日

 今回は「経営者のための管理会計のすすめ」の続編です。引き続き経営者のための会計である「管理会計」について紹介します。
 経営者のための管理会計は、制度会計とは違い特にルールがありませんので自由に作ることが可能です。経営者にとって必要と思われる会計情報を集めたものが、経営者のための管理会計です。自由とは言ってもどんな会計情報を集めたらよいのかわからないと思いますので、こんな会計情報が必要なのではというテンプレートのようなものを提供してみます。

 前回、損益に関する会計情報についてお伝えしたため、今回は貸借対照表に関する会計情報です。
 貸借対照表も損益計算書と同じように、そのまま制度会計の情報を入手してもいいですが、損益計算書と違い、貸借対照表をそのまま読めるという経営者は少ないと思います。
 損益計算書は会社の成績表のようなもののため、会社が黒字なのか赤字なのか、結果を理解することができます。一方、貸借対照表はある一定時点の会社の財政状態を表したもののため、それがどういうことを意味しているのか、経営者にとっては掴みにくいようです。

 そこでそのような場合には、経理担当者や顧問税理士にお願いして貸借対照表をわかりやすいものにまとめてから貸借対照表に関する会計情報を読んでいくといいと思います。

まずは総額を確認

 まずは総額を確認します。貸借対照表の各項目の実額を確認しているときりがないので、総資産、純資産、総負債の実額を確認します。この時に自己資本比率(純資産÷総資産)も把握するようにしましょう。自己資本比率は会社の健全度を測る指標です。自己資本比率を高めることで、会社の健全度を高めることになります。
 自己資本比率が50%以上あれば優良企業、30%ぐらいでそこそこ良い企業と言われています。10%ぐらいになっていても悲観しないで下さい。中小企業の平均がそれぐらいです。自己資本比率がマイナスとなっている場合には債務超過(総資産より総負債が多い状況)になっています。危険信号が灯っていますので早急に対策が必要です。

 総資産は、会社の全財産のことです。総負債は会社が今後支払をしなければならない債務です。純資産は会社の資本金と過去の利益を積み重ねたものとイメージして下さい。

貸借対照表の各項目は残高明細で把握

 貸借対照表が読みにくい理由の1つとして、それぞれの項目の数字がイメージしにくいというのがあると思います。イメージしにくい数字はもう少し具体的に記載するとわかりやすくなります。具体的に記載する際には、各項目の残高明細を作成するといいと思います。

 まずは、現預金です。「現預金45,000,000」というように貸借対照表に記載されています。現預金はわかりやすいためこれだけでイメージできますが、現金と預金とを区分し、預金については口座ごとに分けて残高明細を作成するとよりわかりやすくなると思います。「○○銀行△△支店 20,000,000円」というような感じです。通帳の残高は普段から見慣れていると思いますので、現預金としてまとめて記載するよりは、口座ごとのほうがわかりやすいでしょう。

 次は売掛金です。「売掛金25,000,000円」と記載されていると、来月以降入金があるものが「25百万円」あるのかと何となく理解できると思います。売掛金については、取引先ごとに分けるとわかりやすくなります。「〇〇商事14,000,000円」「☓☓出版5,600,000円」というように取引先の名前が出てくると実感が湧いてくると思います。
 取引先ごとに分けたあとは、実額を見て残高が経営者の感覚よりも多いものや少ないものがないか確認してみて下さい。あれ?この売掛金の残高が多いなと思ったものは、売上の2重計上や、入金の消込忘れであったりします。売掛金としてひとまとめになっているとわかりにくかったものが、取引先ごとの残高明細とすることで、経営者にもわかりやすく数字の実感が湧いてくると思います。

 続いて棚卸資産です。棚卸資産とは在庫のことです。「商品8,945,223円」というように貸借対照表に記載されています。こちらもただ単に数字が記載されているとわかりにくいため、商品別の数量と金額というような残高明細を作成するとわかりやすくなります。「商品A 20個 560,000円」というような感じです。期末に売れ残った商品が在庫になりますので、商品名と在庫数と金額がわかるとこの商品がこれだけ在庫として残っていたのかと実感がわくのではないかと思います。

 資産項目の次は固定資産です。「建物附属設備 3,050,334」「工具及び器具備品 4,562,223」というように貸借対照表に記載されています。建物附属設備とか工具及び器具備品と言っても経営者にとってはその違いはあまり意味がありません。こちらも資産名と簿価を記載した残高明細を作成して、会社がどういった固定資産を所有していて、その内まだ減価償却が終わっていないものがどれぐらいあるのか把握できるようにしておきましょう。内装関係は償却期間が長いため、簿価が大きいことに驚くかもしれません。

負債項目も残高明細で把握

 続いて負債項目です。負債項目も資産項目と同じように残高明細を具体的に作成して各項目の数字をイメージできるようにしておきましょう。資産項目はこれからお金に変わるもの、負債項目はお金を支払うものですので資産項目よりは細かく見ていくといいと思います。

 まずは買掛金です。買掛金は売掛金と同じように取引先ごとに分けるとわかりやすくなります。取引先ごとに分けたあとは、実額を見て経営者の感覚よりも多いものや少ないものがないか確認して見て下さい。あれ?おかしい、と思ったものは、仕入の2重計上であったり、支払の消込忘れであったりします。取引先ごとの残高明細とすることで実感が湧いてくると思います。

 次は未払金です。未払金も買掛金と同じように支払先ごとに分けるとわかりやすくなります。未払金は、会社の仕入代金の支払以外の経費で未払いのものが記載される項目のため、支払先だけでなく、購入した物やサービスの内容も記載してあるとより実感が湧くと思います。

 負債項目の最後は借入金です。借入金は、数字で「34,500,000円」と記載してあるだけで現預金と同じようにイメージできますが、借入先が複数ある場合には、残高明細を作成して、それぞれの借入金について、借入金残高、毎月の返済元本、残りの返済回数を記載しておくといいと思います。借入が複数ある場合には、いつまでどれぐらいの返済が続くのかを把握しておく必要があります。

数字の裏にあるストーリー

 貸借対照表はそのままでは、無機質な感じがしますが、残高明細を作成してもらうことで、貸借対照表の各項目の数字の裏にある会社のストーリーが思い浮かぶようになると思います。損益計算書は会社の成績表なので、わかりやすいですが、貸借対照表も残高明細を作成することで、だいぶわかりやすくなり、会計数字の理解が深まると思います。貸借対照表の残高明細をみて、直ぐに数字のおかしな所に気づくようになったら、経営数字についてはかなり読むことができるようになっていると思います。

 まずは、経理担当者か顧問税理士に依頼して貸借対照表の残高明細を作成してもらうようにして下さい。

佐藤税理士事務所/佐藤昭一>

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ