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経営者のための管理会計のすすめ

テーマ:会計

実務編

2013年10月21日

 会計には大きく2つの種類があります。「制度会計」と言われるものと「管理会計」と言われるものです。会計という言葉がついているから難しいものと思われるかもしれませんが、制度会計は、経営者が普段から目にする決算書を作ることを目的とした会計のことです。貸借対照表や損益計算書やキャッシュ・フロー計算書を作成するための会計です。
 制度会計は、他社との比較を行いやすくするため一定のルール(制度)に従って作成します。そのため制度会計と言われています。中小企業の場合は、銀行が他の企業との業績比較をするうえで必要なため、取引する際に提出を求められたのではないかと思います。もちろん経営者にとっても自社の業績を把握するために有効な会計です。


 一方の管理会計ですが、英語ではmanagement accountingと表記されます。これを管理会計と翻訳したのですが、管理会計というと堅苦しくイメージが湧きにくい感じがします。managementは管理という意味のほか、経営という意味もあるので、筆者はmanagement accountingを「経営者のための会計」と意訳することで使用しています。一般的には管理会計といいますのでその点ご留意下さい。



 そしてこの経営者のための会計ですが、素晴らしいことに特にルールは決まっていません。経営者が自身の経営に役立ちそうな会計情報をまとめればいいのです。制度会計のように貸借対照表を作って、損益計算書を作ってというような決まった書式があるわけでもないのです。例えば営業部から上がってくる売上の日報も立派な経営者のための会計情報になります。


どんな会計情報を入手したらいいのか?

 経営者のための会計はルールがありませんので、経営者が本当に必要だと思える会計情報を入手する必要があります。せっかくの自由を手に入れたのに、相変わらず貸借対照表と損益計算書のみの会計情報を入手したり、欲張って多くの会計情報を入手したことで頭が混乱してしまうというのでは本末転倒です。どのような会計情報を自分は必要なのか?ということを一度冷静になって考えてみましょう。


 一応前提として、会計情報や報告書は経営者自身が作るのではなく、経理担当者や営業部門、顧問税理士が作成することとします。経営者は、このような会計情報が必要だから報告して下さいと指示するだけにして下さい。そうしないと、作ることに力を注いでしまい、肝心の入手した会計情報を分析して、経営に役立てるということがおろそかになってしまうからです。


 それでは具体的にどのような会計情報を入手すべきなのでしょうか?いくつかこんな会計情報が必要なのではというテンプレートのようなものを提供してみたいと思います。



まずは損益に関する会計情報

 まずは、なんと言っても損益に関する会計情報です。損益計算書や試算表をそのまま入手してもいいですが、会計ソフトからそのまま打ち出したものだと経営者には読みにくいのです。そこで、円単位の損益計算書や試算表を千円単位や百万円単位に直したものにしたり、主要な数値のみを抜粋したりしたものでもいいでしょう。時点比較をするために、月次比較の数字や前年同月比や前年同月累計比(3期比較でも)の数字があると理解が深まると思います。


 損益に関する会計情報は制度会計でも作成しています。それは損益の情報が重要だからです。経営者のための会計は、文字通り経営者のための会計ですが、経営者は銀行や投資家と会計数字を使ったコミュニケーションを取ることがあると思います。その際には、損益に関する会計情報は、話題の中心になると思いますので、損益に関する会計情報を分析して、ご自身の言葉で語れるようになっておいて下さい。例えば、銀行の融資担当者に対して、次のような会話ができるようにです。


 「今期の売上高は先月までで○千万円となっています。前年同期と比較して○%の増加となっています。前年に比べ売上が増えた原因は、弊社の主力商品である☓☓☓の改良版を今期になって市場に投入したからです。
 一方で営業利益は先月までで○千万円の損失となっています。主力商品の改良版のPRのために多額の広告宣伝費を使ったからです。営業損失は、来月までには解消される見込みで、その後は順調に黒字を積み上げていけると思います」


 毎月主要な数値を抜粋した損益計算書を時点比較することで、このように数字で経営を語れるようになることができます。損益に関する会計情報を見て疑問に思ったことがあれば、情報を作成した経理担当者や顧問税理士に質問して理解を深めるといいでしょう。
 経営者は、ご自身の経験による動物的直感から掴んでいる数字を持っているはずです。損益に関する会計情報は経営者の直感と客観的な数字とにギャップがないかどうかをチェックする目的でも使用できます。あれ、この数字なんか怪しいと思ったら、遠慮せずに経理担当者や顧問税理士に確認しましょう。筆者の経験では、経営者の直感が正しいことが多いです。直感が間違っていた場合には、どこで間違えたのかを確認することで、さらに直感を鋭くすることが可能です。


さらに損益を分解する

 今までの損益に関する会計情報は、制度会計でも把握していた情報でした。ここからは経営者のための会計ならではの損益情報についていくつか紹介したいと思います。具体例を知ることでご自身の経営にとって必要な損益情報がどういうものなのか、ヒントになればと思います。


1.商品別の損益
 損益計算書では売上や売上原価は1つにまとめられています。ところがほとんどの会社では、販売している商品やサービスは1つだけではないと思います。そこで、商品別やサービス別の売上や原価、粗利をまとめると、どの製品が利益を出しているのかわかるようになります。商品別に前年同月や前月比較をすることでの比較も有効的です。


2.地域別の売上
 広い地域で販売をしている商品やサービスの場合には地域毎の売上をまとめてみることで、どの地域を重点的に攻めていったらいいのか?というようなことを考えることができます。飲食店や小売業の場合は、時間帯別や曜日別の売上が参考になると思います。


3.1人別の損益
 これからの強い会社は、1人あたりの付加価値額を重視すると考える筆者としては、1人あたりの数字もぜひ把握しておいて欲しいと思っております。1人別の売上と粗利は、個人ごとに計算すれば個人別成績表としても使うことができますが、それよりも1人別の平均値を上げるような経営を目指したほうが、強い会社になっていくと思います。強い会社は1人のスーパー営業マンよりもそれなりに稼げる営業マンが揃っているほうが安定します。


 このように管理会計は、経営者が自由に自分にとって必要と思う会計情報を得るためのものです。今回紹介したものだけでなく、経営者が必要だと思ったものは、積極的に経理担当者や顧問税理士にリクエストして下さい。
 経理担当者や顧問税理士はとかく制度会計よりの報告をしてしまいがちです。経営者側からこんな会計情報が欲しいのだけどという要望があると助かると思います。管理会計は経営者のための会計ですので遠慮する必要はないと思います。


佐藤税理士事務所/佐藤昭一>

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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