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会社の存在価値こそ収益性の源

テーマ:会計

実務編

2013年8月12日

 同じ業界にあっても、収益性の優れた優良会社、そして並の会社、さらに、収益性が悪化して疲弊した会社になぜ分かれるのでしょうか?どの会社も似たような商品を販売しているのに不思議です。その謎解きをしてみましょう。


会社の商品は何ですか?

 唐突ですが、会社の商品は何ですか?
 「そんな当たり前のことを聞かれなくてもうちは○○屋だ!」
 そう思われたとしても、気分を害さずに最後まで読んでみて下さい。きっと「うちの商品って何だったっけ?」と見直したくなると思います。


 会社の商品は何ですか?と問われて何と答えますか。ちょっと考えてみて下さい。筆者は税理士で日ごろ決算書や法人税申告書を会社に代わり作成しています。税理士事務所の商品といえば、そのような専門的知識を活用して作り上げたものということになるでしょうか。世間一般からはそのようにイメージされているのではないかと思います。


 以下では税理士業ではわかりにくいと思いますので、誰でもわかるような例で説明しましょう。


商品は和菓子を入れる箱?

 和菓子を入れる箱を作っている会社を考えてみます。さて、この会社の商品は何でしょうか?
 わざわざ和菓子を入れる箱を作っていると説明していることからわかるように、正解は「和菓子を入れる箱」ですね。
 でも、せっかくなのでちょっと視点を変えてみましょう。



 和菓子を入れる箱のお客様とはどのような方でしょうか。すぐに思い浮かぶのが和菓子を作っている工場や販売しているお店だと思います。それではなぜお客様はこの会社の箱を利用しているのでしょうか。なぜ、他の会社の箱を利用しないのでしょうか。


 例えば、この会社の和菓子の箱に自社で作った和菓子を入れるととても見栄えがよくなる。だからこの会社の箱を利用しているのかもしれません。
 となると和菓子を入れる箱はただの箱ではなく、「和菓子をより魅力的に見せるための箱」ということになります。和菓子をより魅力的に見せることで売上に貢献でき、売上に貢献する箱ということで普通の箱に比べて高い値段で取引できるかもしれません。


 もう少し続けて想像してみましょう。例えばこの和菓子の箱は、ケーキを入れる箱のように使用時に簡単に組み立てられ、使用しない時は平らな状態でストックできる箱とします。そのため多くの在庫を抱えても箱を置くスペースが小さくてすむため、お客様がその会社の箱を利用しているのかもしれません。空箱を置くスペースが考慮されたこの箱は、小さな店舗で歓迎されることでしょう。箱をストックするスペースはできる限り小さくし、商品の陳列や接客の場所を大きくすることはどの販売店も望んでいることだと思います。


 いかがでしょうか。お客様の視点で考えると、「和菓子を入れる箱」という会社の商品の見え方が少し変わってきます。


 和菓子を入れる箱を製造する会社が優良会社、並の会社、疲弊した会社に分かれるとすれば、その分岐点は、自社の販売する商品をどう捉えているかにあるように思います。


会社の商品とは?

 さらに掘り下げて考えてみましょう。
 会社の商品は「和菓子を入れる箱」という見方は、箱そのものの機能しか見ていない視点です。その視点からは、今より強い会社になるためできるだけ安くて品質のいい箱作りを目指すことになるでしょう。


 また、優良会社ならばそのために人件費や家賃の安い場所に工場を移し、最新の設備を導入していくという流れになります。さらに受注も設備に合わせて多く獲得する必要があるため、多額の営業コストをかけて大量に注文を取る営業戦略が立てられることでしょう。
 そしてこの戦略では、商圏で生き残れる会社は最終的に1社のみとなります。その1社に残れればいいのですが、残れなければ並みの会社になるか、疲弊した会社として撤退しなくてはなりません。


 商品を「和菓子を入れる箱」と捉えた場合、収益性の高い優良会社になるのは中小企業にとって難しいことでしょう。資本のある大企業に投資額で負けてしまうからです。


 一方、箱が実際に利用される場所や状態まで考えることを商品と捉えれば、商品本来の機能以外に付加される機能があると気づきます。その付加機能を含めたものが会社の商品と考えてみてはいかがでしょうか。その視点から改めて、和菓子を入れる箱を作っている会社の商品は何かを考えてみましょう。


 これは筆者なりの回答です。
 和菓子を入れる箱を作るこの会社の商品とは、「和菓子の販売を支援するための箱」といえないでしょうか。
 和菓子を作っている人は誰かに食べてほしいと思って作り、作った和菓子を箱に詰めてお店で販売します。お店としては、和菓子が売れないより売れたほうがうれしいはずですから、箱を作る会社の営業マンが「和菓子を入れる箱です」と営業をするのと、「和菓子の販売を支援する箱です」と営業をするのとのどちらを喜び購入するかは自明です。
和菓子の箱が使われる場所や状態まで考えて会社の商品を考える。この視点はとても重要です。



 折角なのでこの視点をさらに広げてみましょう。和菓子の販売を支援するのは「箱」だけとは限りません。例えば紙袋や紐、店頭のポップやのぼりなど、和菓子の販売店で必要な販促商品までを会社の商品と考えられます。


 さらに広げて考えると、単に和菓子の販売店での販促商品を提供するだけではなく、「箱などの販促商品を利用した効果的な販売手法を提供すること」も会社の商品と捉えるのはいかがでしょうか。どんどん会社の商品が変わってきますね。


 ここまで会社の商品に対する考え方を広げると、会社の取るべき選択肢は変わります。先程の会社の商品を「和菓子を入れる箱」と考えた場合には、できるだけ安くて品質のいい箱を作ることを目指しました。しかし、「箱などの販促商品を利用した効果的な販売手法を提供すること」を会社の商品と考えた場合、取るべき戦略はできるだけ安くて品質のいい箱を作ることではなくなります。


 この場合の戦略は、効果的な販売手法について研究と検証をして、販売店が導入できるように落としこむことです。箱が商品ではないのだから、製造設備は思い切って外注でもいいでしょう。和菓子でこの会社が考えた販売手法がうまくいったら、洋菓子など同じカテゴリーの商品を扱う販売店に販路を広げてもいいでしょう。


 さらに小売業全体までに販路を広げてもいいかもしれません。和菓子を入れる箱からスタートした会社ですが、ここまでいくともう昔の会社の姿は跡形もなくなっています。それでも和菓子の箱を作っていた頃からこの会社の価値としてある「効果的な販売手法を提供する」ということは生き続けています。



 「和菓子を入れる箱」が会社の商品と捉えていた時には、優良企業となるためには大きな資本が必要でした。ところが、「箱などの販促商品を利用した効果的な販売手法を提供すること」を商品として捉えれば、大きな資本に頼らずに勝負できます。つまり、効果的な販売手法か否かによって会社の収益性も変わってくるのです。効果的か否かの解は1つだけではありませんので、大きな資本で大企業が勝負を仕掛けてきても、十分に戦っていけると思います。


 会社の商品を考えることは、会社の存在価値を考えることでもあります。そして存在価値こそ会社の収益性の源なのです。ユニークな存在価値であればあるほど、会社の収益性も高まっていくことでしょう。

 同じ業界に存在しても収益性が異なる理由は、会社の存在価値にあるのです。そして、会社の存在価値はその販売する商品に現れます。
 あなたの会社の商品は何ですか? 一度ゆっくり考えてみて下さい。


 最後に筆者の日ごろの仕事(税理士業)で商品をどのように捉えているかをお伝えします。筆者は自分の商品を「経営者が意思決定をするための情報を提供すること」と考えています。決算書や法人税申告書の作成自体は、それ程価値が高くないと考えています。これらの書類を作成する過程でつかんだ会社の状況を経営者にお伝えし、経営者の意思決定の参考にしてもらうことを目指しています。


佐藤税理士事務所/佐藤昭一>

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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