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売上を増やす時の財務的視点での基本的な考え方

テーマ:会計

実務編

2013年7月29日

 売上を増やしたいと思っている経営者は多いと思います。かくいう筆者もその1人で、売上を上げるための仕組みを日々いろいろと考えています。ある経営コンサルタントに売上を増やすためのコツはあるのですか?と尋ねたことがあります。その時、こう返答されました。
「気合い!」


 タダでノウハウを教えたくないから、「気合い」と答えて笑ってごまかそうとしていたのか、本気でそう思っていたのか今となってはわかりません。
 確かに会議室であーだ、こーだ考えているよりも、気合いで1件でも多くテレアポしたり、顧客を訪問したほうがすぐに売上げも上がることでしょう。でも、いつも気合いだけだといつか消耗してしまいます。気合いがなくなった社員をクビにして、新しい気合いのある社員を入れてなんてしていると、世間からあの会社はブラック企業だなんて噂を立てられてしまうかもしれません。


 そこで財務的な視点から、売上を増やしたい、でもどうしたらいいのだろう?と思われる時に有効的な考え方を紹介します。


 筆者が多くの中小企業の経営者と話していて感じていることは、答えは経営者の頭の中にあるということです。経営者は会社のことを誰よりも考えています。同業の社長仲間も多いので情報も豊富です。あとは、その頭の中に入っている情報を整理してあげることで、答えを導けると日頃から実感をしています。ぜひ、これから紹介する方法で頭の中を整理してみて下さい。


売上を上げるターゲットを決める

 売上を上げるための施策を考える際に、顧客商品マトリックスというものを使って考えてみると、どの領域(ターゲット)のことを考えているのか頭の中を整理することができます。顧客商品マトリックスとは下記の図のようなものです。



 まずは、横軸を「顧客」、縦軸を「商品」、さらにその中を「既存(顧客)」と「新規(顧客)」に分けます。ターゲットとなる顧客はこれらの4つの区分のどこかに必ず配置されます。


 顧客が既存で商品が既存(図の①)の場合は、現在、売上を実際に上げている領域になります。
 顧客が新規で商品が既存(図の②)の場合は、現在、会社にある商品を新しい顧客に販売する領域になります。
 顧客が既存で商品が新規(図の③)の場合は、新しい商品を既存の顧客に販売する領域になります。
 顧客が新規で商品が新規(図の④)の場合は、新しい商品を新しい顧客に販売する領域になります。
 このように売上を上げるためのターゲットを4つの区分に分けて整理をしてみます。


売上を上げるためにはどこを狙えばいいのか?

 このマトリックスを使って実際に売上を上げるために、ターゲットの狙いを定めて売上向上へ活動していくことを考えてみましょう。 まずはすでにいる顧客に対し、別の商品を販売する(図の③)ことについて考えてみます。



 営業活動を経験した方はご存知と思いますが、会社の商品を購入したことのある顧客に別の商品を販売することは、新規でお客様を探すよりも容易だと思います。


 わかりやすい例で説明をすると、マクドナルドでハンバーガーを購入しているお客様に「ポテト(新商品)も一緒にいかがですか」と勧めることです。すでに顧客は会社の商品を一度以上購入しているので、会社や商品に対する抵抗感は初めて商品を購入する人に比べて低いはずです。


 財務的な視点から見ますと、既存の顧客についてはすでに口座が開設されていたり、取引の実績があるため、営業担当者が販売に要する商談時間は短くて済みます。その結果、営業コストを下げることが可能なのです。場合によっては、既存商品と新たに販売した商品を同じ梱包で送ることで、運送コストを削減することも可能かもしれません。


 つまり、図の③をターゲットにすることで、営業コストをあまりかけずに売上を獲得することができるのです。図の③は、売上を増やそうと思った時に、投資に対するリターンが大きい領域となります。


 既存の顧客に販売をする別の商品がない場合には、当然、新製品の開発をする必要があります。ただし、新製品の開発は、すべて自社で行う必要はありません。どこかから既存の製品を仕入れて販売する(卸売)ということも含みます。自社で新製品を開発するよりは、既存の製品を仕入れて販売をするほうが売上アップまでのコストもかからないでしょう。


 需要(欲しいという顧客)よりも供給(売りたい商品)が過多となっている時代ですので、販売できる顧客リストを持っていることを商品ラインナップの充実よりも重視していいと思います。


 売上を上げることを考える場合には、まずは既存の顧客に対してもっと売れないかを考えます。既存の顧客への販売活動は新規の顧客に対するそれに比べ、顧客獲得コストや商談時間などが少なくなりますので、まずは既存の顧客に何か販売できる商品はないか?から考えてみましょう。


 その次考えるのは、今の商品を新規の顧客に販売する(図の②)ことについて考えてみます。



 新規の顧客を探すことは大変ですが、既存の顧客にこれ以上販売できないのであれば、新たな顧客を探す必要があります。新規の顧客を探す活動は常に行っていると思います。どの業界でも新規顧客獲得は競争が激しくなっていると思います。


 財務的な視点から見ますと、新規顧客開拓活動は、顧客を探すことからアポイント、商談、クロージングと販売活動をイチから行うことになるため、コストと時間がかかります。既存の顧客から別の売上を獲得するだけでは、今後、難しいという場合には、コストをかけてでも新規顧客開拓活動に挑んでいく必要があります。既存の顧客のリピート購入だけで十分に売上を確保できるのであれば、あえてコストをかけてまで新規顧客を開拓する必要はありません。


 この領域では、見込み客から顧客に変わる率を高めることに注力することで、新規顧客開拓コストを最小化することが可能です。売上げを増やそうと思った時の投資に対するリターンは図③の領域に比べたら落ちますが、図④に比べたらまだリターンは大きいと思います。


 ここまでの活動を行ってもまだ企業の目標売上に到達しない場合には、最後の領域に挑戦をします。最後に新規の顧客に新製品を販売する(図の④)ことについて考えてみます。



 新規の顧客に新製品を販売する、これが一番大変なことです。新製品を開発し、顧客をイチから探すのですから、売上が上がるまでとても時間がかかります。また、まったく売れないという危険性がもっとも高い領域です。
 新し物好きの社長は、ここにターゲットを決めてしまいがちですが、財務的視点からは、この領域のチャレンジは会社の体力次第となります。顧客開拓コスト、製品開発コストともに多くかかるため、ここの領域に挑む場合には、会社の資金で新製品開発と新規顧客獲得まで持ちこたえられるか否かを検討し、持ちこたえられないのであれば資金調達を予あらかじめしておく必要があります。財務的な力が最も必要な領域でもあります。


 図④の領域は、投資に対するリターンのブレが大きいと思います。当たればリターンが大きいし、外れればリターンどころか投資額すら回収できない可能性のある領域となります。


 このように顧客商品マトリックスを使って考えていきますと、売上を上げるための対策に実施すべき順番があることがわかります。ここで整理してみます。


  1. まずは既存客に対して販売できるものはないか考える
    →営業コストをあまりかけずに、手っ取り早く売上を獲得できる
  2. 次に既に販売している商品を、新規顧客に販売できないか考える
    →新規開拓競争に巻き込まれ、営業コストはそれなりにかかる。見込み客を顧客に変える率を高めれば、営業コストをカバーできる売上を獲得できる
  3. 最後に、新製品で新規顧客を開拓する(新規事業を行うこととほぼ同じ意味)
    →営業コスト、商品開発コストがかかるため、余力のある会社以外は飛び込んではいけない領域になる。売上を獲得するまでに会社が持ちこたえられるか細心の注意が必要

 売上を上げたいと思ったら、まずは1や2の対策から考えてみて下さい。間違っても3から挑まないようにしましょう。


佐藤税理士事務所/佐藤昭一>

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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