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領収書の中に次の事業を探すヒントがある

テーマ:会計

実務編

2013年7月19日

 税理士としてクライアント(社長)と話していると、何か儲かる事業はないですか?と聞かれることがよくあります。本業の業績が思わしくなかったり、市場が縮小傾向にあったりすると、社長としては次のビジネスのネタを探すのだと思います。


ビジネスのネタは意外な所にある

 ビジネスのネタの探し方は人それぞれだと思いますので、筆者ならではというものを紹介します。筆者は、帳簿の中からビジネスのネタを探します。まずは決算書をみます。ビジネスのネタが欲しい方は、一緒に行ってみて下さい。まずは決算書の中から、損益計算書を探して下さい。



 損益計算書の一番上に売上高の記載があります。これが、現状行なっているビジネスでの売上になります。この売上を増やすためのネタを探します。


 次に売上の下の売上原価を見ます。卸売業や小売業でしたら商品仕入れがこの欄に入ってきます。製造業や建設業は製造原価や工事原価が入ります。サービス業の場合には、売上原価がない場合もあります。


 最後に販売管理費の内訳を見ます。販売管理費の内訳は、損益計算書とは別ページとなっている場合もあります。損益計算書に販売管理費の内訳の記載がない場合には、次のページにないか確認してみて下さい。


 ここからは実際に経理作業を行なっている人にも同席してもらうと作業がはかどると思います。売上原価と販売管理費の内訳から、人件費(給与や法定福利費です)を除いて金額が大きなものから順番にどういった会社の経費が計上されているのか、実際の請求書や領収書を見せてもらいます。見るのは金額が大きな取引先5件ぐらいでいいと思います。


 例えば売上原価については、仕入先の上位5社ぐらいをみます。卸売業の場合には、メーカーから製品を購入していると思います。建設業の場合には、特殊な作業について外注に出していないでしょうか?5社ぐらいピックアップできましたでしょうか。


 次にこれらの支払をなくすことができないか考えてみて下さい。取引先を変更するという意味ではないです。これらの支払先の事業を自社で内製化できないかを検討してみます。



 方法はいろいろあります。取引先を買収するという方法でもいいですし、自分たちで一から作り出すというのでも構いません。先程の卸売業のケースでは、自社がメーカーになることにより、メリットがないか考えてみます。


 例えば卸売業は、売先の小売店やエンドユーザーから製品について直接のフィードバックを受けていると思います。メーカーでは気づきにくい、ユーザー視点での製品を使ってみての情報を得られることもあるでしょう。他社の製品も扱っている場合には、その製品の製造先ごとの優位性もわかっていると思います。


 この情報力を製品の開発にタイムリーにフィードバックさせるには、自社で内製化しておいたほうがいいでしょう。内製化することにより、メーカーとしてのビジネスも行うので、メーカーとしての利益と卸売業としての利益の両方を得ることが可能となります。もちろんリスクとしては、メーカーとしてのリスクと卸売業としてのリスクを負うことになるのでよい事だけではありません。


 建設業のケースでは、特殊な作業で、自社内で行う人がいないため、外注に出していました。この外注先を引きぬいて内製化してしまうのです。そうすることで、今まで請けることができなかった工事を請け負うことが可能となる場合もあります。


 また、社内の人に技術を伝授してもらうことで社内の技術力をアップすることもできるでしょう。このようにビジネスのネタは領収書や請求書の中にもあるのです。


販売管理費にもネタがある

 売上原価だけでなく、販売管理費も同じように作業をします。ただし、雑費や銀行手数料のように金額が大きくなく重要性がないものは無視して下さい。


 販売管理費の中で大きな金額を占めるのは事務所や店舗の家賃です。例えば、小売業は、店舗の家賃がかなりの金額になっているのではないでしょうか?この家賃も内製化できないか検討をします。店舗の入っているビルを丸ごと買い取ったら、不動産業を営むことになるため、内製化できます。さすがにビルを丸ごと買うのはと思われた場合には、このような事はどうでしょうか?


 小売業は、ビルのオーナーから店舗スペースを借りています。自分ではビルを所有していないので、ビルを所有しているオーナーから借りています。それと同じことを、規模を小さくして行うのです。自分が借りている店舗スペースの一部を他社で小売業をしたい人に貸すのです。転貸禁止になっている所がほとんどでしょうから、百貨店の消化仕入のように商品を置く場所を貸すようなやり方はどうでしょうか。


 小売業では、商品販促費も多くなると思います。商品販促費とは、チラシやDMなどの宣伝から店舗での商品説明のPOPなど多岐に渡ります。商品説明のPOPなどはイラストやデザインの得意な人材を確保し、他の小売店にも販促物の製作として売りに出せるかも知れません。


なぜ支払をしているのか?

 当たり前の話ですが、これらの仕入や経費をなぜ支払っているのでしょうか?それは会社の経営に必要だからです。決して無駄な経費ではないと思います。会社の経営に必要なものは、外部にお願いしなくても、内製化するという方法もあるということを知っておきましょう。


 検討をする際に挙がってきた取引先の財務状況までみることは難しいかもしれませんが、上場企業の場合には損益構造をみるのも勉強になります。自社にとっては脇役だと思っていた取引先が実はとても儲かるビジネスだったということもよくあります。


脇役に目を向けてみる

 普段、筆者は税理士業を行っています。今回ご紹介した方法を使って自社の経費をみて、気づいたことがありましたので最後に紹介したいと思います。

 税理士業はサービス業なので仕入はありません。そこで販売管理費の内訳から金額の大きな取引先をみていきました。まずは、会計税務業務のソフトを販売している会社です。これらのソフトがないと税理士業務を行うことは考えられません。調べてみると会計ソフトを作っている会社の何社かは上場しているようでした。税理士業より儲かるみたいです。


 他にも気になったのが、税理士向けの書籍や雑誌を発行している出版社です。こちらも1社上場会社がありました。これらを内製化することは、規模の面や実際のこれらの業務を行いたいか考えると難しいので内製化は検討しませんでした。


 筆者が内製化してみようかと思ったのは、税理士向けに情報提供サービスをしている会社についてです。書籍や雑誌よりも深く切り込んだ情報を提供している会社があります。情報提供の主なターゲットは税理士や富裕層向けにコンサルティングを行う人たちです。


 月額○千円で情報を提供しています。情報を作るコストは1人に情報を届けるのも多くの人に情報を届けるのも一緒なので、情報提供先が集まればかなり利益率のよい商売になります。


 税理士業では税理士が主役だと思っていました。ところが、決算書を細かく見ていくと、税理士業では脇役と思っていた会社の方が、実は上場していたり、規模が大きかったりということがあります。このように脇役の方が主役よりも儲かっているということは他の業界でも多いと思います。ちょっと脇役に目を向けてみてはいかがでしょうか?領収書の中から、次のビジネスのネタが見つかるかも知れません。



佐藤税理士事務所/佐藤昭一>

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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