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M&A

テーマ:事業承継・再生・廃業

基礎編

2010年7月12日

 一時期、新聞ニュース等でM&Aという言葉をよく耳にしましたが、M&AとはMergers(合併)&Acquisitions(買収)の略であり、直訳すれば文字通り、合併や買収などにより企業を再構築することをいい、M&Aをすることにより、他の会社を合併、買収し、今の会社の事業を拡大し、より多くの利益を確保することを目的としています。
 M&Aというと、中小企業には縁遠い話のようにも思えますが、実はM&Aの大半は中小企業であるというデータもあり、特に少子高齢化による後継者不足の中小企業ではM&Aにより会社や事業を売却し、そのまま他の会社に経営が引き継がれるケースも多いようです。過去にM&Aというと「敵対的買収」が注目されたこともありましたが、「敵対的買収」は不特定の者が株式を購入できる上場企業のケースで、中小企業においては「友好的に」事業を買収、譲渡するケースが多いと言えるでしょう。


1.M&Aの手法

 M&Aには主に次のような手法が用いられます。
(1)合併
 2社以上の会社が1つの会社になる。
(2)株式取得
 相手会社の株式を取得、子会社化等により支配権を獲得する。
(3)事業譲渡
 相手会社の事業を、対価を支払い取得する。
(4)会社分割
 相手会社の一部分を切り離し(債権債務も含めて)、取得する。
(5)株式交換
 自社の株式を、相手会社の株主が保有する株式と交換し、支配権を獲得する。


 M&Aには、多額の資金が必要になるケースも多いため、会社の実情、資金状況に合った手法を選択する必要があります。


2.デューデリジェンスの重要性

 デューデリジェンス(Due diligence)とはM&Aをしようとしている相手会社の財務状況、事業状況、労務状況、保有不動産の状況等について、しっかりと調査することをいいます。
 デューデリジェンスを行うことにより、M&Aをしようとする企業の総合的な価値を判断していきます。財務諸表上で表わされるデータだけでは、簿外債務や不動産の含み損を抱えていたりすることも多いので時価を正確に表しているとは言えないため、リスクも含めた企業価値を正確に判断することはできません。
 したがってデューデリジェンスは大変重要な作業であり、デューデリジェンスをしっかり行わなかったためにM&Aを行った後に気づかなかった粉飾等の財務上の問題や、経営者一族との意見の相違、営業上のシステムの不備、労使問題などトラブルに巻き込まれるケースも実際にはあるようです。したがってM&Aをしようとする会社の割安感に惑わされることなく、弁護士、税理士等の各種専門家に相談し、しっかりとデューデリジェンスを行い、M&Aを行う上で総合的に判断を行う必要があります。


3.事業価値、企業価値の算定方法

 M&Aを行うには、手に入れようとする「事業の値段」「会社の値段」を算定しなければなりません。これにはいくつかの方法がありますが、代表的なものをご紹介します。


(1)DCF法(Discounted Cash Flow法)
 DCF法とは、将来のフリーキャッシュフローを一定の率で現在の価値に割引いて企業価値を算定する方法です。
 代表的な企業価値算定方法としてよく活用され、M&Aによる効果も細かく設定できますが、算出過程が複雑で計算も難しく、さらに将来のフリーキャッシュフローの算定、割引率の設定に不確実性があるという問題点があります。
(2)類似企業比較法
 M&Aをしようとしている会社と類似の上場企業等の株価等から、評価倍率を求めて事業価値、企業価値を算出する方法です。企業価値を株価(市場)に問う方法といえるでしょう。
 DCF法と比較して算出が容易ですが、類似企業の選択基準を明確にしなければ、恣意性が介入する余地もあります。


 最終的に、これらの方法の算定結果を複合して利用し、対象者との協議・交渉等の結果を総合的に勘案し事業価値、企業価値を決定していきます。


4.中小企業としてのM&A利用法

 M&A事例の過半数は中小企業で占められています。以下、事例をご紹介します。


(1)会社を分割し、兄弟へそれぞれ承継させる
 会社分割の手法を利用し、長男、次男それぞれへ会社を承継させれば、後継ぎトラブル等を回避する手段としても有用でしょう。


(2)後継者がいないため、同業種の有望企業に自身の事業を承継してもらう
 後継者がいない場合、会社を解散するのではなく、合併、株式取得等の手法を利用して、同業種の有望企業に自社の経営を承継してもらうことも可能です。
 近年の少子高齢化、後継者不足を反映して、最近増加している事例と言えるでしょう。


(3)新規事業を立ち上げたいが、ノウハウの構築や、人材育成まで時間がかかる
 立ち上げたい新規事業があるが、その事業を安定的に軌道にのせるには、設備投資を行い、人材を育成し、ノウハウを構築する等、多くの時間と手間がかかります。
 したがって、もしその事業の業界で事業譲渡等を検討している会社があれば、そのままM&Aによりその事業をノウハウ、人材とともに引継ぎ、新規事業展開を行うことも可能です。


 M&Aには「ある日突然違う企業文化の傘下になる」のですから、従業員の心情面での問題もあり、ある一定のリスクも伴うものです。しかしながら中小企業においても活用される場面は数多くあります。
 特に近年は後継者不足等の中小企業が多いですが、事業をやめるのではなく、M&Aを活用して事業承継を行い、従業員の雇用を継続していただきたいものです。
 もし、上記のような例にあてはまるようなことがあるときは、活用を検討してみるとよいでしょう。


解説者

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