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取引相場のない株式等にかかわる相続税(贈与税)の納税猶予

テーマ:事業承継・再生・廃業

基礎編

2010年7月 5日

1.非上場株式等についての相続税(贈与税)の納税猶予とは

 近年、事業承継問題で廃業を余儀なくされている中小企業が増加しています。中小企業経営者の高齢化が進む中で中小企業の事業承継を円滑に行うことは、高度な技術の承継・雇用の確保・地域経済の発展などの観点から、非常に重要な課題となっています。そのような背景から「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が平成20年5月9日に国会で成立しました。この法律の主な内容は次の3つです。


(1)遺留分に関する民法の特例

 一定の要件を満たす後継者が、先代経営者から贈与等で取得した株式について、推定相続人全員の合意を前提として、次の特例を受けることができる。


    その株式を遺留分算定基礎財産に算入しないこと 遺留分算定基礎財産に算入すべき価額を予め固定すること

(2)事業承継時の金融支援措置

 先代経営者の死亡や退任により、多額の資金需要が発生する場合には、一定の要件を満たす場合、次の措置が講じられている。


    中小企業信用保険法の特例 株式会社日本政策金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の特例

(3)事業承継税制の基本的枠組み

 一定の要件を満たす場合、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税を猶予する。


 ここでは平成21年度の事業承継面での税制改正の目玉として導入された、非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度について説明します。


2.相続税の納税猶予の特例とは?

 後継者(相続人)が、相続等により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を先代経営者である親族(被相続人)から取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき相続税のうち、その株式等(一定の部分)に対応する相続税の80%の納税が猶予されることになります。


3.贈与税の納税猶予の特例とは?

 後継者(受贈者)が、贈与により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を、先代経営者である親族(贈与者)から取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式等(一定の部分)に対応する贈与税の全額の納税が猶予されることになります。


 この特例を受けるためには、相続前・贈与前に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づき、会社が計画的な事業承継に係る取組を行っていることについて「経済産業大臣の確認」を受けておく必要があります(ただし、平成27年1月1日以降はこの事前確認制度は廃止となります)。また、相続または贈与後、同法律に基づき、会社の要件、先代経営者の要件及び後継者の要件を満たしていることについての「経済産業大臣の認定」を受ける必要があります。


【基本的な流れ】
経済産業大臣の確認
    ↓
相続または贈与
    ↓
経済産業大臣の認定
    ↓
申告書の提出


 経済産業大臣の確認・認定を受けるための要件については以下のとおりです。


(1)会社の主な要件

    非上場会社であること 中小企業者であること 従業員が1人以上であること 資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当しないこと 風俗営業会社ではないこと 総収入金額がゼロではないこと

(2)先代経営者である被相続人または贈与者の主な要件

    会社の代表者であったことがあること 相続・贈与直前において、先代経営者及びその同族関係者等で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、先代経営者が後継者を除いた同族関係者等で最も多くの議決権数を保有していたこと 贈与の場合、贈与時までに先代経営者が会社の役員を退任すること
    (ただし、平成27年1月1日以降は代表者を退任すればよく、有給役員として残留することが可能となります)

(3)後継者である相続人等または受贈者の主な要件

    先代経営者の親族であること
    (ただし、平成27年1月1日以降はこの要件は廃止され、親族に限らず適用可能となります) 後継者及び後継者と同族関係等がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること 相続の場合、相続開始から5カ月後において会社の代表者であること 贈与の場合、会社の代表者であること 贈与の場合、20歳以上であること 贈与の場合、役員等へ就任して3年以上経過していること

*この特例の対象となる「後継者」は、1つの会社につき1人に限られます。


 この特例を受けるためには、相続税または贈与税の申告期限までに、この特例の適用を受ける旨を記載した申告書及び一定の書類を所轄税務署へ提出するとともに、納税が猶予される相続税または贈与税額及び利子税の額に見合う担保を提供する必要があります。 なお、特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、納税が猶予される相続税または贈与税額及び利子税の額に見合う担保の提供があったものとみなされます。
 申告後も引き続き特例の適用を受けた非上場株式等を保有し、一定の書類を継続して提出すること等により、納税の猶予が継続されます。


4.納税が猶予されている相続税または贈与税が免除される場合

 後継者の死亡等があった場合には、「免除届出書」を提出することにより、その死亡等があったときに納税が猶予されている相続税の全部又は一部についてその納付が免除されます。


(1)相続税が免除される主な場合

    後継者が死亡した場合 申告期限後5年を経過した後に、この特例の適用を受けた非上場株式等を一定の親族に贈与し、その親族が「非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例」の適用を受ける場合

(2)贈与税が免除される主な場合

    先代経営者が死亡した場合
    (この場合、贈与税の納税猶予の特例を受けた非上場株式等を後継者が相続または遺贈により取得したものとみなして、贈与時の価額により他の相続財産と合算して相続税を計算します。その際、「経済産業大臣の確認」を受け、一定の要件を満たす場合には、その取得したものとみなされた非上場株式等の一定部分について、あらためて相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができます) 先代経営者の死亡前に後継者が死亡した場合

5.納税が猶予されている相続税または贈与税を納付する必要がある場合

 猶予税額の納付が免除される前に、特例の適用を受けた非上場株式等を譲渡するなど一定の場合には、猶予税額の全部又は一部について利子税と併せて納付する必要があります。
 「一定の場合」の主なものは特例の対象となっている会社に関する次のものです。


  1. 特例の適用を受けた非上場株式等を譲渡した場合
  2. 申告期限後5年以内に、後継者が代表権を有しないこととなった場合
  3. 一定の基準日において常時使用する従業員の数が一定基準を下回った場合
  4. 総収入金額(平成27年1月1日以降は営業外収益、特別利益を除く)がゼロとなった場合
  5. 申告期限後5年以内に、後継者と後継者の同族関係等のある者が保有する議決権数が総議決権数に占める割合が50%以下となった場合
  6. 申告期限後5年以内に、後継者の同族関係等のある者のうちの1人が後継者を超える議決権数を保有することとなった場合
  7. 解散した場合

【参考】納税が猶予される相続税などの計算方法

 猶予される相続税の計算は次のようになります。



この特例の対象となる非上場株式等の数は、次のa、b、cの数を基に表の区分に応じた数が限度となります。


  1. a:後継者(相続人等)が相続等により取得した非上場株式等の数
  2. b:後継者が相続開始前から保有する非上場株式等の数
  3. c:相続開始前の発行済株式等の総数

区分 特例の対象となる非上場株式等の限度数
a+b<c×2/3の場合 後継者が相続等により取得した非上場株式等の数(a)
a+b≧c×2/3の場合 発行済株式等の総数の3分の2から後継者が相続開始前から保有する非上場株式等の数を控除した数(c×2/3-b)

解説者

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