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事業承継支援資金の活用など広い視野で考える

テーマ:事業承継・再生・廃業

基礎編

2008年7月31日

同族経営ゆえの危うさを知る

最近は、戦後に創業した中小企業の経営者が続々と世代交代期を迎え、2代目の経営者にバトンタッチされて行く例が多く見受けられますが、なかには創業者の引退とともに廃業に至る例も希では無くなっていますし、相続税の負担から事業の継続が困難になる例もあるようです。

中小企業にも独自の優れた技術を保有している企業も多く、企業数で9割を超える中小企業は、雇用の面では約7割を占めていることからも、事業承継問題は社会的にもとても重要であることは明白です。
 オーナー経営の中小企業には、大企業にはない独特の問題が多く存在するので、企業を永続的に発展させて行くためには、これらの問題点を理解し、早い時期から適切な対策を講じることで、円滑な事業承継を実現して行く必要があります。
 また、事業承継策が固まっていることは、顧客企業や金融機関にとっては取引企業の継続性という意味で大きな信用と安心感を与えるので、現在の企業業績にもプラスになる点も見逃してはなりません。

わが国の中小企業は、そのほとんどが同族会社であり、大株主と経営者が同一でオーナー自身が経営者として企業経営の全責任を負っているという形態を取っています。
 そのため、経営者は経営の成果も失敗も自分自身の財産に直結しているという点で、真剣に経営に取り組む必要があると同時に全責任を負っています。このような形態では、意思決定のスピードが速いというメリットがあり、意思決定が合議を必要としないので、独創的な研究や思い切った投資などがやりやすいという長所と独善的な経営に陥る可能性が大きい短所もあります。
 しかし、相続が発生した場合など、このオーナー経営という形態が崩れ、準備の整っていない従業員の中から経営者を選ばなければならなかったり、株主構成などの対策が不十分だと、同族内とはいえ株主が分散して、素早い意思決定が出来なくなったりする可能性が出てきます。
 企業は、従業員や工場・機械装置などの資産や信用・ブランド・ノウハウ・販路等が一体となった生き物なので、カリスマ経営者がいなくなって、企業価値に翳りが生じている時に、事業承継の失敗により、これらのいずれかでも欠ける事態になると、一気に企業価値を損なってしまい、無価値に転落する危険もあります。
 中小規模の企業の場合には、大企業のように資本と経営が分離している形態よりは、オーナー経営の方が安定していて適している場合が多いと考えられますので、相続と事業の継承との関係を整理して、計画していくことが肝要です。

事業承継のカタチにはなにがある

これまでの長い間、事業の承継と言えばオーナー経営者の子供が引き継ぐのが当然のこととされ、また、多くの場合に経営者もそれを望んでいるというのが常識でした。そして、事業承継対策という言葉は、ほとんど自社株式の相続対策と同義に捉えられてきました。
 しかし、長く続いている少子化傾向や職業の多様化の影響から、多くの同族会社である中小企業において、後継者の候補が不在であったり、能力や意欲の点で不適格であったりする例が意外なほど多いのが実情です。
 こうしたこともあって、これまでの中小企業を家業と捉えて、息子など親族間で継承してゆくのが当然という風潮に変化が現れ始めていて、俄に従業員への経営権の譲渡やM&Aが脚光を浴びてきつつあり、行政も親族内継承以外の事業承継も視野に入れた支援も始めています。

以下に、事業承継の類型を整理します。

【親族内承継】
候補者があれば、経営者教育や株式移転に十分な時間を掛けられ、周囲の理解・協力も得られやすい。

【MBO】
従業員等の社内関係者への事業譲渡で、経営者教育や関係機関の理解を得るために時間を掛けられるが、株式取得資金や個人保証などの問題を解決する必要がある。

【M&A】
合併・買収などを通じて、企業自体を他人に売り渡すことで、高い収益性やブランド・独自の技術などが無いと対象にならないが、新経営陣は買収側で派遣し、資金的には問題が無い場合が多いので、後継者育成が失敗した場合には有力な選択肢となる。
従業員の協力を得るためには、処遇など十分な準備が欠かせない。

このように、事業承継も多様化し、日本政策金融公庫等の公的金融機関でも事業承継支援資金としてMBO向けの貸出制度もあります。また、M&A市場も拡大しつつあり、徐々に小規模企業にも門戸が開きつつあるので、事業承継を考える場合には、広い視野で最善の方法を選択する必要があります。

解説者

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