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会社を強くするための正しい経営とは

テーマ:経営ビジョン・相談

実務編

2014年3月31日

 「こんなときどうする中小企業の税金と会計 会社を強くする実務編」では、会社を強くするために必要な会計・税務や各種経営数字の知識、さらには財務的視点からのマーケティングについて述べてきました。その目的は、創業期から成長期に入った会社を強くすることにあります。そして、強くするためには正しい経営を行うことであり、そのために実行すべき事はシンプルでありながら、実際に実践するのは難しいことなのです。
 成長期の会社で正しい経営を行う上で障害があり、それは5つあると考えています。


(1)時間の問題
(2)環境の問題
(3)理念、ビジョンの問題
(4)組織の問題


 そして5つ目の障害はとても大事なので最後にお伝えします。


 (1)の時間の問題は、会社が成長期に入ると日頃の仕事が忙しくなり、経営について考える時間的な余裕がないことです。人が増えるほど会議や情報共有のための時間が発生するため、経営者は創業時に比べて会社内部の仕事で忙しくなっているはずです。
 (2)の環境の問題は、正しい経営を行うための準備が整っていないことをいいます。創業時から成長時までは経営者が仕事の中心であるため、従業員時代の仕事の仕方で乗り切ることも可能です。ところが成長期には人の採用・育成、資金繰り、営業力・商品力の向上など、経営者として会社の仕組み作りに奔走する時です。この仕組み作りの準備ができていないと正しい経営を行うことができません。
 (3)の理念、ビジョンの問題は、少し観念的かもしれませんが、創業当初の食べていけるかどうかという時と成長期の仲間と一緒に仕組みを作り上げていくという時とでは会社のあり方が異なります。会社の成長に合わせて理念やビジョンを新たに練り直していく必要があります。
 (4)の組織の問題は、会社が成長期に成長できるかどうかのキーとなるものです。経営者1人で経営を行っていた時代から会社の組織が出来上がり、少しずつ権限を経営幹部に譲っていく時期でもあります。経営の一部を任せる人材を育成できないと、任せたくても任せられないというジレンマが生じてきます。


 以上、4つの障害をすべて乗り越えれば、正しい経営が実現して会社は成長軌道にのっていきます。


障害の乗り越え方

 それではどのように5つの障害を乗り越えて会社を成長軌道にのせればいいのでしょうか。障害を乗り越えるには正しい順番があります。順番を間違えると正しい経営に失敗してしまい、場合によっては会社が倒産してしまうかもしれません。


 5つの障害の中でどれを最初に乗り越えるべきか?筆者の答えは明確です。(1)の時間の問題です。その理由は簡単です。会社が創業期を経て成長期となった時、経営者にとって一番大事なものが時間だからです。創業期のように経営者が営業や人事、総務、経理とすべてを兼業していた時と違い、成長期に入るとそれぞれの職務を代行してくれる社員が増えてきます。社員が増えた時でも相変わらず経営者がすべての業務に首を突っ込んでいると、時間がいくらあっても足りなくなります。
 一方で経営者しか行えない業務の重要性が増してくるのもこの時期です。売上も増えているし、人も増えているから今までのやり方で大丈夫だろうと思っていると、必ず経営上の問題が出てきます。それは人の問題かもしれませんし、お金の問題かもしれませんし、営業の問題かもしれません。最悪の場合は倒産することも起こりかねません。意外なことに会社が倒産をすることが多いのは、過去最高益をあげた翌年です。


 成長期に入った会社の経営者に行ってほしいことは、経営について落ち着いて冷静に考える時間を毎月半日でも確保することです。 毎月経営について考える時間を確保できると、会社のことを冷静に分析することができるため、成長期に起こりやすい経営上の課題について重症になる前に気づくことができ、適切な対処をすることが可能です。


経営者にとって一番大切なもの=時間

 時間の確保さえできれば、あとは残りの障害を1つずつつぶしていくだけです。経営について落ち着いて冷静に考える時間を確保できれば、他の障害は経営者自身の力、または外部のサポートを受けることで解決できるはずです。1度クリアすれば終わりではなく、これらの障害はたびたび会社の存在を脅かします。障害が生じた時には、また同じように1つずつつぶしていくことが大切です。これを繰り返していくことで正しい経営を実践できることになります。正しい経営が行われているかどうかは次の6つができているかどうかで確認できます。


  1. 理念とビジョンが明確である
  2. 自己分析をし、強みを生かした経営戦略を描き続けている
  3. 小さなリスクを負いながら戦略を着々と進めている
  4. 具体的行動レベルの計画があり、マネジメントサイクルが確立している
  5. 人材が育ち、経営参画者が増えている
  6. 財務に裏打ちされた経営をしている

 いかがでしょうか?難しく感じられたでしょうか?でも大丈夫です。6つのことを一気に実現する必要はありません。一歩ずつ着実に積み重ねていけば達成できます。特に上述の3から6については、具体的な行動が伴うものであるため、時間をかけて継続的に行う必要があります。そして継続的に行っていくことで、成長期の企業が必ず達成しなければならない経営幹部の育成をすることにもなります。


会社の成長を阻害する壁をとりはらうには、経営者の考えを伝える経営幹部の育成が不可欠!

 会社が成長をしてくると必ず壁にぶちあたります。その壁を突破するには、経営者の代わりに経営者の考え方を社内に伝えてくれる経営幹部の育成が不可欠です。成長期には経営者1人ですべての社員を見ることはできません。権限をどんどん経営幹部に移し、経営幹部に仕事を推進してもらう必要があります。
 経営幹部としての仕事を推進してもらうためには、理念とビジョンが明確になっている必要がありますし、具体的行動レベルの計画があり、マネジメントサイクルが確立している必要があります。正しい経営を実践できていれば、経営者の考え方を理解した経営幹部の育成が可能となります。


5番目の障害は

 経営者と話していると、今の会社の状況は政治が不透明で経済が不況という外部環境に原因を求めてしまう方がいます。外部環境が悪くても成長している会社は成長を続けています。不況期に成長することが難しい会社でも、次の景気の波に備えて収益性を改善して備えている会社もあります。外部環境の影響が強い業界もありますが、もし外部環境の影響をモロに受けてしまう業界であることを知っていたのであれば、どのようにしたらその影響を減らすことができ、安定的に経営できるのかを考えるのが経営者の仕事ではないでしょうか。会社が前を向くか、後ろを向くかは経営者次第です。
 つまり、正しい経営の最後の障害は経営者自身なのです。経営者は、営業から製造(購買)、人事、総務、経理、財務まですべて自分1人(または配偶者と2人)で行ってきたというのがほとんどです。経営者になる前は営業畑か技術畑で働いていたのではないでしょうか?創業時は以前の働き方と同じような働き方で働いても問題は生じないと思います。しかし、従業員が2人、3人と増えてくると、自身の時間がどんどんなくなり、人が入ってきているのにさらに自分は忙しくなる。というような状況になっていないでしょうか?


 そのように感じられたとしたら、それは経営者が経営者になりきれていないからだと思います。経営者の最も大事な仕事は商品を売ることでも物を作ることでもありません。経営者の最も大事な仕事は会社の方向性を決めることです。そのための時間を確保するために、商品を販売することや物を作ることは少しずつ従業員に移していく必要があります。そして空いた時間を利用して、最初は半日からでも構いませんので毎月会社のことについて冷静に考える時間をとって下さい。この大切な時間をとるかとらないか、それは経営者自身が決めることになります。


「正しい経営のはじめの一歩は、経営者が経営について冷静に考える時間を確保することです」
 これを完遂できた時、正しい経営が実現でき、会社も成長軌道に乗れるのです。ご検討をお祈りします。

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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