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財務数字以外の数字を用いて経営を管理する

テーマ:経営ビジョン・相談

実務編

2014年3月24日

 会社の経営では、財務数字以外にもさまざまな数字を扱います。そこで財務数字以外の数字を用いた経営管理手法について紹介します。数字を使うことによって客観的で検証可能な経営改善を可能とします。
 今回は会社の重要な活動の1つである営業活動を例にして説明します。


営業活動を分析する

 営業活動を分析する手法の1つに「セールスステップ分析」があります。セールスステップ分析とは、会社の営業活動を細かなステップに分けて分析する方法です。
 例えば、卸売業の営業の一般的なセールスステップは次のようなステップになります。


  1. 見込み客となるターゲットを決める
  2. 見込み客にアポイントメントをとる
  3. 初訪問を行う
  4. 訪問先の状況を確認する
  5. 見積り提案を出す
  6. ハードル解除を行う
  7. 契約をする
  8. 商品を納品する

 おおむね以上のようなステップになるかと思います。このようにセールスステップ分析ではまず、営業活動を細かなステップに分解していきます。ステップはあまり細かすぎると、次を分析して理解する時に困るので、ある程度大きなくくりを1つのステップにするとよいでしょう。ステップは時系列で並べます。


ゴールを設定する

 営業活動を細かなステップに分解したら、次はそれぞれのステップで何をできれば次のステップに行けるかというステップごとのゴールを設定します。

 例えば上述のステップ「1.見込客となるターゲットを決める」のゴールは見込客の決定です。見込客を決定すれば次のステップに進むことができるからです。つまり、ゴールは必ず次のステップに行くために達成しておかなければならないことにします。
 同様に「2.見込客にアポイントをとる」のゴールは、見込客に連絡して、見込客を訪問するアポイントメントをとることです。アポイントメントをとらなければ見込客を訪問できませんので、達成しておかなければならないゴールになります。


 ゴール設定が難しく感じられるのは「4.訪問先の状況を確認する」だと思います。どんな状況を確認したらゴールが達成されるのか?決裁権のあるキーパーソンが誰なのかを聞き出したらゴール達成なのか?顧客がどのような商品を使っているかを聞き出したらゴールなのか?いろいろ迷うところだと思います。各ステップのゴールで迷った場合には、その次のステップを考えてみるとゴールが明確になります。
 「4.訪問先の状況を確認する」の次のステップは「5.見積り提案を出す」です。見積り提案を出すために達成しておかなければならないことを考えるのです。見積り提案を出すために達成しなければならないことは、見積り提案を出すことを顧客に了解してもらうこと、また、見積り提案を出すためのアポイントメントをとることではないでしょうか。顧客の状況を確認し、「当社の商品を使うとこんな問題が解決されます」という提案ができる状態になれば、次のステップに移行できると思います。
 このようにステップごとの達成すべきゴールを明確にしていきます。


必要なツールをピックアップする

 ゴールが決まったら次は、各ステップで必要なツールは何なのかをピックアップしていきます。必要なツールとは、例えばステップ2では見込客のリストになります。アポイントを取るために必要な情報が記載されたリストがないとステップ2の活動を行うことができません。
 ステップ「6.ハードル解除を行う」のツールは、例えば想定問答集になります。顧客が商品を購入する際のハードルになっていることは、他社でもハードルになります。商品の価格が今使っている商品より高いというのがハードルだとすれば、他社と自社の商品を比較して、高いなりの価値があることを伝えるための受け答えを用意しておく、比較資料を用意しておくなどになります。
 ステップごとに今使用しているツールがない場合でも構いません。どんなツールが必要なのか?どういったツールを使って仕事をしているのか?をまとめられればいいのです。ツールをよいものにバージョンアップしていくのは、この次の分析の後に行います。この段階では、ツールのピックアップができれば十分です。ここまでが事前準備です。


ステップごとの数字から問題を把握する

 次からは実践です。1から8の各ステップで、次のステップにいった数(割合)を集計するのです。例えばステップ1の見込客のターゲット数が1万人いたとして、そのうちステップ2のアポイントがとれた数がどれぐらいあったのか集計します。
 ステップ2からステップ4までは数としては同じ数字が続くと思いますが、ステップ5の見積り提案を出せた数は違ってくると思います。このように各ステップを集計していき、最後のステップ8の納品をする数がどれくらいになっているのかまでステップごとの数字を把握するのです。


 できあがった数字の集計を見て、どのステップに問題がある(次のステップに移行できない)のかを把握します。もちろん次のステップに100%移行できるわけではないのですが、どれくらい次のステップで数が減るのかを把握することに意味があるのです。


 例えばステップ5の見積もり提案を出した数が10人で、そのうちステップ7の契約までいくのが1人だとした場合には、見積りから契約に至る確率は10%となります。そうするとその月に10人のお客さまに販売する計画があった時には、100人に見積り提案をしなければ、確率的には販売目標を達成できないでしょう。


 100人に見積り提案をするには何人に初訪問しなければいけないのか?そのようにどんどん最初のステップに戻っていくと、ステップ1のターゲットが何人いないとその月の販売計画の達成は難しいということがわかってきます。



 経験の長い方でしたら感覚でわかることだと思いますが、誰でも理解できるように数字で把握するのがポイントです。
 また、集計した数字を分析すると、見積りから契約までの確率が営業部門全体では10%ですが、ある人は5%、別の人は30%とそれぞれの確率で契約に結びつけていることがわかります。
 30%の確率で契約がとれる人は、そのための何かうまい仕組みがあるのかもしれません。その場合、うまくいっている人の手法を聞きだし、それをマニュアル化またはOJT教育するなどによって、うまくいかない人の確率を上げることで売上をアップすることが可能です。この時点でうまくいっている人の手法を聞き出しながらステップごとに必要なツールをバージョンアップしていきます。


 ステップごとにそのステップが得意な人がいると思いますので、その人のやり方を全員がまねれば、営業部門全体の底上げを図れるのです。底上げができれば、それだけでも売上を10~20%上げることも容易ではないかと思います。



 このように財務数字でなくても計測可能な数字を使って経営を管理することが可能です。また業務をステップに分析することでどこに業務の問題があるのか見つけやすくなります。数値で経営を管理する手法は他にもありますのでぜひ取り入れてみて下さい。


解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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