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「少ない」だけで価値になる

テーマ:経営ビジョン・相談

実務編

2013年11月18日

 筆者の事務所のWebサイトでプロフィールを読まれた方はご存じかもしれませんが、筆者の夢は「独立して成功したらロマネ・コンティを飲む」ことです。ロマネ・コンティとは、世界最高のワインで、ロマネ村にある小さな畑のブドウだけで作られたワインです。その生産本数は毎年6,000本程度しかありません。
 そして、なぜだかそこの畑から取れるブドウをワインにすると、とても美味しく、飲んだ人の誰もが今まで飲んだワインの中で最高のワインだと言いたくなる、奇跡的な味がするそうです。
 ロマネ・コンティは1本100万円以上が普通で、筆者がハウステンボスに今はなきレストラン「エリタージュ」でワインリストを見た時もそれくらいのお値段でした。


 ところで、なぜワイン1本で100万円以上もするのでしょうか?その理由の1つが、ロマネ・コンティの生産本数が少ないことだと思います。もちろん、美味しいというのも理由でしょうが、もしロマネ・コンティが大量生産できたとしたら値段はどんどん下がってくると思います。つまり、数が少ないということが1つの価値ある「商品力」になっているのです。



 さて、そんなロマネ・コンティも誰もが生産できるわけではないので、ここからは現実に戻ります。
 ロマネ・コンティの例でみたように、数が少ないということだけで「商品力」は確実に上がります。ちなみに、あなたの会社で今取り扱っている商品で、数が少ない商品はあるでしょうか?
 当然、数が少ないとはたまたま在庫が少なくなっている商品ではありません。いかがでしょうか?おそらくほとんどの方がないと思ったのではないでしょうか。うちの会社の商品には、ロマネ・コンティのような希少価値があるものはないと思われたのではないでしょうか。


 でも大丈夫です。どの会社にも「少ないという価値」の商品があります。まだそこに気づいていないだけです。例えば、筆者は税理士事務所を起業する前にリサイクルショップを6年間ほど経営しました。全国に7万人の税理士がいますが、リサイクルショップを経営していた税理士は筆者ぐらいしかいないと思います。
 筆者にはその価値が当初わからなかったのですが、プロフィールを見た経営者の方は皆さん、筆者の「リサイクルショップ経営」という点に着目され、関心を持たれました。そして経営や商売についても詳しい税理士と思われるそうです。
 これが筆者の事務所(商品)の「少ないという価値」の原石です。「リサイクルショップ経営の経験のある税理士」という原石を磨いていくと、いつかロマネ・コンティのような商品が出来上がると思っています。


 このように少ないという視点で商品を見直してみると、いろいろと少ないものがでてくると思います。
 まず、少ないという視点で真っ先に思いつくのが商品アイテムを少なくする(絞る)ことです。ラーメン屋さんの場合はしょう油味、みそ味、塩味、とんこつ味と豊富な種類の味が楽しめる店ではなく、しょう油味だけ、味噌味だけと商品アイテムを絞ることです。アイテムを絞るのは勇気のいることですが、絞ることで確実に価値は上がります。あとで説明をしますが、財務的にも商品数を絞る効果があります。


 また、商品の生産数を少なくすることも考えられます。商品がヒットしたからと大量に生産してしまうと、それに合わせて設備投資しなければなりません。しかし、設備投資によって商品を大量に供給できるようになったものの、その商品自体の流行が終わってしまったというのはよくある話です。
 ラーメン屋さんの例では、その日に作ったスープの分だけしかラーメンを作らないという店があります。売り切れてしまって食べられない人が出ることで売上のロスが生じますが、売り切れる程のラーメンなのだと逆に消費者の期待値をあげることができます。


 先程の筆者の事例のように少ないという価値のベースとなるのが、その会社または商品固有の歴史に由来するものであったり、販売地域や販売時間など空間や時間に由来するものであったりする場合もあります。


 ここまで読んでも「イヤ、うちの会社には磨いていく原石すらない」と思われる方がいらっしゃっても大丈夫です。その会社にしかないものはどの会社にも必ず1つあります。それは社長自身です。
 社長のキャラクターはその会社にしかない「価値」です。「社長に頼まれたのだから仕方ないな」とか「社長に任せておけば安心だ」など、社長の個人的な魅力で商売が成り立っていることも小さな会社ではあると思います。よって、その社長のキャラクターを磨いていくことです。それはライバル会社はなかなか真似ができません。


 同じことは会社の従業員にも言えます。同じ商品を買うのだったら、○○さんから購入をしたいと指名が入る従業員がいたら、それは価値の原石です。同じように他の従業員も指名が入るようにトレーニングすることで、商品自体を変更しなくても売上アップを図れると思います。
 中小企業では、大量生産・大量販売という戦略は経営資源の問題から難しいです。少量生産・少量販売で価値ある商品を販売していくという戦略が合っていると思います。少ないという視点で商品を見直してみてはいかがでしょうか?
 そして、少ないという価値の原石があれば、あとはそれを磨いていくことです。磨き上げられた価値のある商品がいくつもあると、結果として収益性の高い会社になっていくことができます。

 最後に財務的な視点から、商品が少ないことのメリットをあげてみたいと思います。

1.少ないことがブランドになる

 社長自身のキャラクターから商品の味まで、少ないものは価値が増します。それを磨いていくことで会社のブランドとし、収益性の高い会社になることができます。特に社長のキャラクターは、他社は真似できません。

2.販売が楽になる

 商品の数が少ないと、営業担当者が必要な商品知識が少なくて済み、販売する人も少なくできるはずです。また、商品を絞っていることで、その商品に関する情報が他社に比べて多く溜まってくると思います。その溜まった情報を新商品の開発に活かすことで、さらに価値ある商品ができると思います。結果として営業担当者の営業コストや教育コストを減らしながら、商品価値を上げることが可能です。

3.在庫管理などの事務作業がシンプルになる

 商品が絞られることで在庫管理も楽になり、商品の発送作業や見積書作成、請求書作成などの事務作業も複雑でなくなります。その結果、バックオフィスのコストを削減できると思います。

 一方で商品を少なくすることのデメリットもあります。

1.その商品の市場価値がなくなると会社の存在価値もなくなる

 社長のキャラクターを会社のブランドとしていた場合には、社長が急逝した場合には会社は大変なことになります。商品の市場価値がなくなると会社の存在価値もなくなるという状況にならないように、絞り込みすぎには注意しましょう。

2.マンネリ化を起こしやすい

 商品自体の数が少ないとオペレーションも単純になることでマンネリ化を起こしやすいです。常に商品開発だけは継続していく必要があります。商品を絞ること=何もしなくていい、というわけではありません。あくまでも研ぎ澄ますために、商品数を絞っているのです。

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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