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経営計画をつくる意味はあるの?

テーマ:経営ビジョン・相談

実務編

2013年9月 2日

 経営計画を作成されたことはありますか?経営計画とは会社の中・長期的な事業計画で、今後どのように会社を経営していくのかをまとめたものになります。銀行からお願いされて事業計画や資金計画を作成したことがある社長でも、経営計画まで作成された方はまだ少ないのではないかと思います。


 顧問税理士からよく経営計画を作成しなさいとアドバイスを受けることがあると思います。当の税理士が経営計画を作成していないというのはよくある話ですが、筆者自身も実際に自分の事業について作成してみて、経営計画については作成する価値があるものと思っています。


計画通りにならないから意味がない?

 経営計画には「計画」という言葉が含まれているため、計画をつくっても事業なんて計画通りに運ばれることがないから意味がないという批判をよく受けます。しかし、経営計画をつくる目的は計画を守ることではありません。もちろん、計画通りに事業が進んでいくことはとても素晴らしいことです。でも、それが経営計画をつくるすべてではないのです。
 計画通りに事業が運営できていなくても、それはそれでいいのです。経営計画をつくる一番の目的は、計画をつくることではなく、ご自身が行っている事業について、将来を想像しながら考えを深めていくことにあるのです。深く、深く考えることが大事なのです。



 経営計画は、社長が会社の将来について考えた結果を紙に落とし込んだだけです。計画を経営幹部や従業員、取引先や銀行にも理解してもらうために、計画書をつくって紙に落とし込んでいるのです。極端な言い方をすれば、理解してもらう必要がある人がいなければ、社長が考えるだけで、結果を計画書に落とし込むことまでは必須ではありません。とにかく、会社の将来について深く考えるきっかけになることだけで、経営計画をつくる意味はあると思います。


経営計画にはどんなことをまとめるの?

 もう少し具体的に経営計画をつくることでどのようなことがわかるのか説明をしたいと思います。
 経営計画書は特に決まったフォーマットがあるわけではありません。オーソドックスな経営計画では、(1)外部経営環境と内部経営環境の状況について分析をし、(2)経営理念を見直し、(3)過去の実績を振り返り、(4)過去の経営課題解決について振り返り、(5)現状の経営課題を抽出します。
 ここまでが会社の過去から現在までの分析です。
 そして、(6)分析した結果に基づいて抽出された経営課題をどうやって解決していくのか、今後の取組みをまとめます。さらに(7)取組みの工程表(アクション・プラン)を作成します。その結果として、将来の会社の財務状況がどのようになっているのか、(8)予想損益、予想キャッシュフロー、予想貸借対照表を作成します。ちょっと遠い将来について、どのような会社になっていたいかの(9)将来のビジョンを考えます。



 以上が経営計画作成の流れです。簡単にまとめると過去を振り返り、現在を見つめ、将来を想像した結果、会社はこういう方向に進んでいきますという感じです。
 結構ボリュームがありますので経営計画をつくる時には、経営数字に詳しい経理担当者や財務担当者、顧問税理士のサポートを得ると作成がスムーズにいきます。


いつまでカンに頼った経営をしますか?

 経営計画の話が出てくると、俺は自分のカンを頼りに経営をしているから、計画は考える必要はないとも言われます。社長1人の会社でしたらカンに頼った経営でもいいと思います。業界のことを誰よりも知っているのは社長ですし、会社のことを誰よりも考えているのも社長ですので、カンを頼りに経営をしても間違いはないと思います。
 しかし、従業員数がある程度増えてきた成長期の会社では、社長のカンだけを頼りにしていると、従業員側から見ると社長の考えがよく見えないため、自分では考えずに社長の指示を待つような人材に育ってしまいます。会社の方向性がわからないので、自分が何をしたら会社に貢献できるのか掴みかねているのです。
 また、カンを頼りにしていると、成果を検証することができません。なんだかよくわからないけどうまく行ったねというのでは、次回も同じようにうまくいく再現性は低いでしょうし、せっかくの成功経験も無駄になってしまいます。


 実際にあった例で説明します。カンに頼った経営とはこのような感じです。年商5000万円の会社が、来期の売上目標を1億円と計画します。根拠は社長のカンです。多分うまくいくだろう、売上が倍になったらかっこいいじゃないか、そんな感じです。
 社長が朝礼でいきなり来期は1億円の売上を目指す!と発表します。それを横で聞いていた従業員は、また社長の思いつきが始まった、単なる思いつきで振り回されるのは勘弁して欲しいと思っています。
 結果は、うまく目標達成することもあるし、まったく目標を達成できず組織が疲弊しているときもあります。これがカンに頼った経営です。この例の会社では売上目標を達成することができず、営業の約半数が入れ替わりました。


 経営計画を作成した社長が、同じく売上が倍になる計画を発表します。ただ目標数字を掲げるだけでなく、目標数字を達成するために顧客単価はどうするのか、顧客数はどれぐらい必要なのか、それを実現するためにはどのように今後仕事を行なっていくべきなのかまで会社の指針を示します。あとは計画を実践するだけという状態まで準備しておくのです。
 結果はうまく目標達成することもあるし、まったく目標を達成できずという時もあります。ここはカンに頼った経営と同じです。違いは、うまくいった時にはどのようにしたらうまくいったのか成功事例が蓄積されます。逆にうまくいかなかった場合には、うまくいかなかった失敗事例も蓄積されていきます。この成功・失敗事例を次の計画を作成する際に参考にするのです。そうやって少しずつ成功する確率を高めていきます。ここがカンに頼った経営との大きな違いです。
 さらに、事例は社内に蓄積されていくため、社長がいなくても経営幹部が同じように過去の事例を参考にしながら計画を作成することができるのです。


 1回限りの経営でしたら、カンに頼った経営と経営計画に基づく経営でも成功確率はあまり変わらないでしょう。経営は続いていきます。長い年月をかけた場合には、両者の差は大きなものとなっていることでしょう。


経営計画をつくるメリット

 最後に経営計画を作成することのメリットを筆者が実際に実践して実感したことを踏まえて紹介したいと思います。


1.経営の軸を手に入れる

 経営計画をつくる一番大きなメリットは、経営の「軸」を手に入れることができることです。経営計画がないと、その時の気分によって会社があっちに行ったり、こっちに行ったりと経営の方向がブレます。
 それが経営計画という軸があることによって、外部の揺さぶりを受けても、会社はそれを受け入れるべきなのか、無視すべきなのかを判断できます。ブレない軸を持つことは経営を安定成長させることになります。


2.目標と実際の数字のギャップを認識できる

 経営計画をつくっても、計画が未達となることがあります。だから計画をつくっても意味がないのだとは思わないで下さい。経営計画の計画値と実際の数値のギャップを認識するために計画を立てているのです。
 ギャップが生じたら、計画を達成できなかったのはなぜだろうか、どの施策がいけなかったのだろうかとさらに会社のことについて考えるきっかけになります。計画が未達になることがわかった時点で、計画を見直してみましょう。計画→検証→計画修正を繰り返していくと経営がより精緻なものになっていきます。


3.大きな気持ちになれる

 筆者が経営計画作成をサポートしていて一番楽しいのが将来のビジョンを社長と一緒に考えているときです。10年後にどんな会社にしたいのか?社長に考えてもらいます。今から10年後ですのでちょっと遠い将来のことです。ちょっと遠い将来の会社の姿を想像することで、自分がなんのために会社を経営しているのだろう、どんなことで社会の役に立ちたいのか、大きな気持ちになって考えることができます。
 日常の仕事にどっぷり浸かっていると忘れていた創業当時の想いも蘇ってきます。10年後のワクワクする会社のことを想像してから、近い将来のことを考えるとワクワクした経営計画ができあがります。



 最初は簡単なもので構いませんので、ぜひ経営計画をつくってみて下さい。

解説者

佐藤税理士事務所/佐藤昭一       公式ウェブサイト:http://www.nicechoice.jp/

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