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中小企業経営者のための退職金制度(小規模企業共済掛金)

テーマ:役員・株主

基礎編

2010年3月 2日

深刻な年金問題や100年に一度の大不況といわれている昨今、退職金や年金に頼れない小規模な企業の役員や個人事業主は、老後や廃業、解散後の収入について、大きな不安を抱えている方が少なくないと考えられます。そこでこういった不安を補うための経営者の退職金制度の一つの手段として小規模企業共済掛金があります。
 その内容は掛金を支払い続けることにより、退職時や廃業・解散時に共済金が入ってくるというシステム(一定の要件はあるが、一括・分割・併用の選択可能)です。この制度は、ただ退職金や年金の資金を確保できるだけではなく、税務的に考えても(1)掛金を支払う際、(2)共済金を受け取る際の両方でメリットがあるので、個人年金に比べてはるかに有利に取り扱われています。

この制度は、全ての経営者や役員に加入資格があるわけではありません。この制度に加入できる要件としては、常時使用する従業員が20人(商業とサービス業は5人)以下の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、法人の役員等とされています。ただし、この制度に加入後、従業員が増加したことにより上記要件を満たさないこととなったとしても共済契約は継続できます。したがって、開業後早めの段階で加入するようにしたいものです。

1.掛金を支払う際のメリット

●実際に支払った掛金の全額が所得控除できる

掛金:毎月1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で選択可能。
 支払方法:月払いの他に、半年払いや年払いがあります。さらに、加入後にその金額を増減させることも可能です。しかし、金額を減少させる場合には一定の要件がありますので、まずは無理のない金額設定をすることが必要となります。

その年に支払った掛金の全額が所得控除を受けられますので、例えば毎月70,000円の金額設定であれば、70,000円×12カ月=840,000円(1年分)の所得控除、さらに翌1年分までを前納すれば前納分も所得控除が認められていますので、最大で840,000円×2年=1,680,000円の所得控除を受けることが可能となります。また、いつもより所得が出ているという場合には、前納し2年分の所得控除を受けるのも1つの手段になると考えられます。
 所得控除を受けることによる節税額の具体例については、以下の表を参照してください。

【掛金の全額所得控除による節税額一覧(課税所得金額300万、700万、2,000万のケース)】
掛金
月額
掛金
年額
300万円 700万円 2000万円
節税額 実質
負担額
節税額 実質
負担額
節税額 実質
負担額
10,000円 120,000円 24,200円 95,800円 38,000円 82,000円 61,000円 59,000円
20,000円 240,000円 48,500円 191,500円 74,500円 165,500円 122,000円 118,000円
30,000円 360,000円 72,800円 287,200円 111,000円 249,000円 183,000円 177,000円
40,000円 480,000円 97,000円 383,000円 147,500円 332,500円 244,000円 236,000円
50,000円 600,000円 121,300円 478,700円 184,000円 416,000円 305,000円 295,000円
60,000円 720,000円 145,500円 574,500円 220,600円 499,400円 366,000円 354,000円
70,000円 840,000円 169,800円 670,200円 257,100円 582,900円 427,000円 413,000円

*1 「課税所得金額」とは、その年分の総所得金額から、基礎控除、扶養控除、社会保険料控除等の諸控除を差し引いた金額で、課税の対象となる金額をいいます。

*2 税額は、平成25年1月1日現在の税率に基づき算定しています。

【注意点】
 今回所得控除できる分というのは実際に支払った掛金のため、支払期日が到来していても未納となっている場合は控除を受けることができません。

【「掛止め」について】
 掛金を納付し続けることが困難となった場合には、掛金の納付を一時的に止めることが可能です。ただし、この掛止めを行うには、所得がないことや、災害等の理由により掛金の納付が困難と認められた場合に限ります。

2.共済金を受け取る際のメリット

●受け取る共済金は「退職所得」や「公的年金等の雑所得」扱い

「退職所得」に区分されれば掛金の支払年数に応じて退職所得控除を受けることができ、さらに2分の1課税となるため非常に有利になります。また、共済金の受取方法には一括以外に一定の要件を満たせば分割(10年、15年)で受け取ることができ、その際には課税上有利な「公的年金等の雑所得」に分類されることになります。

【注意点】

  • 共済金を分割で受け取るための一定の要件とは、共済金の額が300万円以上であり、かつ、請求事由が発生した時点で満60歳以上であること、これら両方の要件を満たすことです。また、上記要件には共済金の請求事由について前提条件があり、契約者が個人事業主であれば、事業を廃止したとき、契約者が死亡したとき、または老齢給付(満65歳以上、かつ、掛金を15年以上払い込んでいるときに、請求によって受け取れる共済金)に該当することを前提とし、契約者が法人の役員であれば、法人が解散したとき、病気や怪我で役員を退任したとき、契約者が死亡したとき、または老齢給付に該当することが前提となります。
  • 任意解約の場合に受け取る解約手当金は「一時所得」に該当するので、退職所得控除は受けられません。ただ、一時所得でも2分の1課税になることには変わりないため、税務上有利となります。
  • 共済金とは別に会社から退職金を同時期(前後4年以内)に受け取る場合には、両方の金額を合算して税金の計算をします。

【個人事業者が法人成り等した場合】
 小規模企業共済に加入している個人事業主が法人成り等をした場合には、「掛金納付月数の通算」の手続きを行うことにより、個人事業主時代の掛金納付月数を引き継ぐことができます。

上記の通り、小規模企業共済掛金については税務上有利に退職金を積立てることができ、さらに受け取る際にも優遇されるという大きな2つのメリットがあります。
 この他にも、契約者は払い込んだ掛金の合計額の範囲内で担保・保証人不要の貸付けを受けられる契約者貸付制度が設けられていること、共済金・解約手当金の受給権は法律で差押えが禁止されている(国税滞納処分等により差押えられる場合を除く)ため、もしも倒産してしまっても共済金・解約手当金が受取れること、国が全額出資をしている独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営していることでの安定性などのメリットもあります。

【注意点】

  • 任意解約や12カ月以上の支払滞納による機構解約をして解約手当金として共済金を受け取る場合には、掛金の支払期間が20年未満だった場合には、支払った掛金の合計額よりも受け取れる金額が下回ってしまうため、滞納などをしないよう気を付けなければなりません。
  • この小規模企業共済掛金の所得控除を受ける際には、支払った掛金の控除証明書を年末調整や確定申告で提出する必要があります。

<関連情報>
小規模企業共済(中小機構)

解説者

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