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社会保険III(労働保険)

テーマ:採用・雇用

基礎編

2010年3月 4日

 労働保険とは、労働者が業務上と通勤途上の災害によって、けが、病気や死亡した場合に、労働者やその遺族に対して必要な保険給付をする労働者災害補償保険(以下、労災保険という)と労働者が失業したり、雇用の継続が困難になった場合に必要な保険給付をする雇用保険を総称していいます。


 両保険制度の事務のうち保険の成立及び消滅、保険料の申告及び納付の手続きは、労働保険として一緒に処理します。しかし、保険給付の請求や雇用保険の被保険者に係わる届出などは、それぞれ別々の監督官庁(労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワーク)に提出することになります(建設業は除く)。


 それでは両保険制度の中でポイントとなる項目についてご紹介します。


1.労働保険

(1)適用事業と被保険者

 労災保険も雇用保険も、一定の事業を除いて、労働者が一人でもいれば事業主や労働者の意思に関係なく、強制的に加入しなければなりません。この場合の一定の事業とは、農業、林業や水産業の事業で労働者が5人未満などの個人経営の事業(暫定任意適用事業)をいい、この事業も労働者の過半数の者が希望すれば、事業主は保険加入の義務が生じてきます。


 手続きをしなかった場合の罰則は、労災保険では労災事故が起こった場合に「重大な過失」として保険給付額の100%もしくは40%の費用徴収をします。雇用保険、健康保険及び厚生年金保険の各保険制度ともに6カ月以下の懲役又は30万円以下もしくは50万円以下の罰金になっています。現実的には、各保険料の時効が2年ですので、2年さかのぼって徴収されることがあっても、相当に悪質なケースを除けば起訴されて懲役刑などに処されることはないようです。


 しかし、労働保険の加入は強制的加入です。保険に未加入ということは、事業主が単に手続きをしていないだけのことであり、手続きをしていない時に死亡事故などの大きな労災事故が起きれば、事業の継続が困難となるような大きな負担を負うことになります。 以下具体例を記載します。


1)労災保険
 加入手続きについて行政機関から指導を受けたにも係らず、事業主が手続きを行わない期間中に事故が発生した場合は、労災事故に遭った労働者に支払われた保険給付額の100%が徴収され、また、行政機関からの指導を受けていないが、事業を開始してから1年を経過してもなお加入手続きを行わない期間中に労災事故が発生した場合は、労災事故に遭った労働者に支払われた保険給付額の40%が徴収されます。


2)雇用保険
 雇用保険の事業所設置の手続きをしなかったり、被保険者の加入手続きを怠ったりした場合には、その労働者の退職後の失業保険金の受給額が少なくなる(時効の関係から2年前にしか遡れないため)ことがあります。その労働者が会社を訴えれば、その損害額に対して賠償金を支払わなければならなくなります。


 労災保険の被保険者は、その事業で働く労働者全員です。つまりその日一日だけの学生アルバイトも労災事故になれば保険給付の対象となるのです。それに対して、雇用保険の被保険者は、失業保険金の受給できる人が対象となり、短期の雇用期間により雇用される人、雇用時に65歳以上の人、週の所定労働時間が20時間未満の人は除かれます。また、一般の労働者については1年以上の雇用が見込まれる者が対象となりますが、短時間労働者や派遣労働者などについては、平成21年4月より派遣切りや非正規雇用の問題などを考慮して6カ月以上の雇用見込に緩和されました。


(2)労災保険と雇用保険の保険料の額と負担する者

 労災保険料の額は、保険年度(4月1日から翌年の3月31日)においてすべての労働者に対して支払われた賃金の総額に、事業の種類ごとに定められた保険料率(厚生労働省)を掛けて算出されます。労災保険料の負担は、全額事業主負担となります。


 雇用保険料の額は、保険年度において雇用保険の被保険者に対して支払われた賃金の総額(保険年度の初日において64歳以上の者に支払われた賃金の額を除く)に、下記の事業区分に応じた保険料率を掛けて算出されます。


 事業主及び被保険者の保険料の負担は、下記の表の通りです。


平成25年4月1日適用
事業の種類 保険率 事業主負担率 被保険者負担率
一般の事業 13.5/1000 8.5/1000 5/1000
農林水産・清酒製造の事業 15.5/1000 9.5/1000 6/1000
建設の事業 16.5/1000 10.5/1000 6/1000

(3)労災保険の特別加入制度

 労災保険は、労働者を保護する保険制度のため、経営を行う事業主や役員は加入することができないのが原則です。しかし、中小企業の役員などは、一般労働者と同様の業務を行っているのが現状です。その役員などに業務中に労災事故が起きれば、労災保険の保険給付を受けられないことはもちろんのこと、従業員5人未満の事業主を除けば健康保険からの保険給付も受けることができません。こうした本来労災保険の適用がない者もなんとか労災保険による保護を図ることができるように制度を設けています。この制度を「労災保険の特別加入制度」といいます。


 この特別加入制度は、任意に加入する制度です。労災保険の加入を希望する特別加入者は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託し、特別加入申請手続きを労働保険事務組合が行い、都道府県労働局長の承認を得る必要があります。


 労働保険事務組合に加入できる要件は以下のようです。


1)常時使用する労働者数


    金融・保険・不動産・小売業は50人以下 卸売業・サービス業は100人以下 その他の業種にあっては300人以下

2)委託できる事務内容


    概算・確定保険料の申告及び納付 保険関係成立届、任意加入申請書、雇用保険の事務所設置届の提出 労災保険の特別加入の申請 雇用保険の被保険者に関する届出

(4)労災保険と雇用保険の保険給付

 労災保険は、業務上の事由や通勤により被害を受けた労働者が負傷、障害にあった場合や疾病になったり、死亡した場合に労働者やその遺族に対して必要な保険給付を行います。保険給付の概要は下図の通りです。


労災保険給付の概要

※図の注意点


    療養補償給付など「補償」という言葉がある給付は業務災害によるもので、それ以外は通勤災害よるものです。 療養補償給付では一部負担金はありませんが、通勤災害である療養給付については、治療の都度一部負担金として200円を負担することになります。 労働者の休業補償である休業補償給付及び休業給付とも、休業の最初の日から3日間は支給されませんが、支給されなかった期間について、業務災害は事業主が支給しなければなりませんが、通勤災害は支給する必要はありません

 雇用保険の保険給付は、次の4つに大別されます。


  1. 休職者給付:失業者の生活の安定と求職活動の援助をするための給付
  2. 就職促進給付:再就職の援助・促進のための給付
  3. 教育訓練給付:雇用の安定と労働者の能力の開発及び向上のための給付
  4. 雇用継続給付:高年齢者の雇用の継続と再就職の援助及び育児及び介護休業者の雇用の継続と職場復帰を援助するための給付

雇用保険の保険給付の図


雇用保険の保険給付の図

 保険給付の詳細については、労災保険のページ(厚生労働省)、雇用保険のページ(ハローワーク)を参照してください。


更新日:2014年3月31日
掲載日:2010年3月 4日

解説者

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