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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


経営数字

伝える数字・伝わる数字

経営者の数字力を鍛えるため、数字がもつ不思議な力についてお伝えします。数字には言葉にはない力があります。数字は客観的なもので曖昧でないという特性があるため、それを有効的に使うことで数字の力を経営に活かすことができると思います。

また、中には数字の力を悪用しているのでは?と思われるケースも世の中にはありますので、そのような場合には数字の力に翻弄されず冷静に判断できるようになります。

「○%引き」と「○円引き」の違い

例えば、数字の力を感じることとして「○%引き」と「○円引き」の違いがあります。セールを行う時に「この商品は定価の○%引きです」と記載するのと「この商品は定価の○円引きです」と記載するのとではどちらのほうが効果が高いと思いますか?どちらも支払金額は同じになりますが、記載方法で売れ行きが変わってくるそうです。しかも、それは商材によって異なるそうです。あるケースでは○%引きと割合で記載したほうが効果が高く、あるケースでは○円引きと実額で記載したほうが効果が高いということです。

例えば、定価10万円の商品で10%引きと書くよりは、1万円引きと書いたほうが売行きはよくなります。一方、定価100円の商品の場合は10円引きと書くよりも10%引きと書いたほうが売行きはよくなります。どちらの商品も10%割引しているので支払う額は同じですが、割引・値引の記載方法によって売行きが異なのです。

○%引きと○円引きですが、商品の元々の金額が高い場合には、○円引きのように値引く実額を記載したほうが効果が高くなります。商品の元々の金額が低い場合には、○%引きのように割引きく割合を記載したほうが効果が高くなります。高い低いのラインはそのお客様ごと、また扱っている商材ごとに感覚が異なりますので見極めは難しいと思います。割引・値引のどちらでも支払額は同じですが、お客様が感じるお得感は違うようです。

○%と○円の違いは他にもよく誤解を与えます。先程は商品の値段についての説明でしたが、決算書の数字を分析する際にも注意が必要です。
 例えば売上高が前年比20%アップしたというような使い方をします。売上高の20%アップですから、それだけ見ると業績が伸びていると思われます。年商100万円の会社と同1億円の会社がそれぞれ対前年比20%の売上アップとすると、売上はそれぞれ120万円と1億2000万円になります。売上が20万円増えても20%アップ、2000万円増えても20%アップと、同じ20%アップでも元になる数字によってアップ額が異なります。それは元の数字が異なるので当然です。

どちらの会社も「わが社は対前年比20%成長している会社です」と言ってもウソではありませんので、誤解を与えないようにしましょう。

昨年、経費を1000万円削減したような場合も同じです。年間の経費が5000万円だったところを1000万円削減したのか、年間経費10億円から1000万円削減したのかによって評価は異なると思います。前者は経費を年20%削減したことになり、後者は経費を年1%削減したことになります。

数字を見る際には比率だけではなく、必ず実数も確認をするようにしましょう。わざと誤解させるために%や実額を使っているのでは?と思われるケースが世の中には結構あります。

分割払いの負担感軽減効果

金額の負担が大きな買い物について分割払いすることがあると思います。身近なところでは、携帯電話の端末代金の分割払いやオフィス機器のリース利用による分割払いが思い浮かびます。一括で支払うことが資金繰りの都合上難しい場合に分割払いが使われると思います。

分割払いを使う場合には、毎月この金額なら支払ができるという考え方で判断してしまいがちです。分割で払うことと一括で支払うこととでは金利分の負担があるため、分割払いが不利になる場合が多いです。
 ところが、分割払いにすることによる負担軽減効果があるため、分割払いできるのならということで購入に至る場合があります。高額な商材を扱っている場合には、分割払いの仕組みを準備してあげることだけでも売上をアップできると思います。
 例えば高額なお買い物の代名詞である住宅については、35年の分割払い(住宅ローン)を使って購入することで、月々の負担感を下げて購入を促すことにつながっています。

分割払いを利用する場合には、総返済額を計算してみて総返済額よりも商品の価値が高いと思ったものだけを購入するように気をつけましょう。分割払いで月々の負担が軽いことだけを持って、あれもこれもと契約するとあとで支払が大変になります。特に技術革新が激しい分野の商品を長い分割期間で購入してしまうと、利用期間と支払期間が一致せず、利用していないのに支払いだけが続くことにもなりかねないです。
 分割払いには負担軽減の効果があります。メリットデメリットがありますので使用する際にはご注意下さい。

価値の分からない商品の価値の伝え方

消費者は少額なものから高額なものまで日々いろいろな取引を行っています。すべての取引をよく考えて行っていたら、時間ばかり消費してしまいます。そこで他人の行動(口コミや売れ筋)を参考にしたり、見た目で判断したりします。特に初めて購入するような商品で余り判断する時間がないような場合に参考にするのが数字です。

価値がよくわからない商品を購入する場合、消費者は数字で価値を判断することがあります。例えば売れ筋No.1の商品については、必ず売れていることをアピールするといいでしょう。No.1の効果は絶大です。消費者はNo.1だから価値があるのだろうと思うようです。

同じように価値がよくわからない商品の価値を推測する時に、価格を参考にすることがあります。松竹梅のように同じ商品でも内容に応じて3種類の価格帯の商品を用意すると、消費者からはわかりやすいようです。松は高い、梅は安い、竹はその間の価格と3つの価格帯を用意することで消費者にわかりやすい選択肢を提供できます。

松は高いから価値も高いのだろうとか、梅は安いから他の2つの商品に比べれば価値は低いのだろう。あまり安いと後で後悔するかもしれないので竹を選ぼうという理由なのか、3つの価格帯を用意すると真ん中の価格帯が売れるようになるそうです。
 松と梅の2種類しかないような場合には高いか安いかという基準しかないため、安い価格帯の商品が選ばれる場合が多いそうです。そこに真ん中の価格帯を入れることで安い価格帯の物を選んでいた人が真ん中の価格帯を選ぶことで会社としては売上を増やすことができます。

もちろん価格に見合うだけの価値を提供していないと購入後に判断されてしまった場合には、継続して選ばれることはないので価格相応の価値の提供も必要です。 価値のわからない商品の価値を伝える時には、No.1効果と松竹梅の法則をぜひ有効に使って下さい。

80円の魔力

誰が発明したのかわかりませんが、値段の最後を80円とすることで、消費者は安いと感じてしまう効果があるようです。例えば2000円の商品を2000円で売るよりは1980円として販売したほうが、売行きがいいそうです。100円の商品は100円ではなく98円のようにです。
 この法則は日本だけでなくアメリカでも同じようです。日本では9は「苦」をイメージするからなのか8が選ばれていますが、アメリカでは$999というように$1000ではなく1ドル下げて$999と値段の終わりを9にするようです。ユーロ圏でもポンド圏でも終わりの値段を9としているようなので、これは万国共通な心理効果なのかもしれません。 このような数字の持つ不思議な力を経営に活かす方法を考えてみてください。

佐藤税理士事務所/佐藤昭一>

掲載日:2013年11月 1日

本解説は、著者の見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

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