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特定会社の評価の特例
会社には、資産の保有状況・営業の状態などそれぞれ独自の特殊事情があります。なかには資産の大部分が土地であったり、株式であったりする会社もあります。
このような会社にまで上場会社の株価に比準する類似業種比準価額方式により評価することは合理的ではありません。
そこでこれらの会社の株式は原則として、(1)株式保有特定会社、(2)土地保有特定会社、(3)比準要素数1または0の会社、(4)開業後3年未満の会社、(5)開業前または休業中の会社については資産価値をよく反映できる純資産価額方式により評価し、(6)清算中の会社については「清算分配見込額」により評価することになります。
ただし、(1)から(4)の会社の株式は、株式を取得した人が同族株主以外の場合には、特例的な評価方式である配当還元方式により評価することもできます。
特定会社の場合、その株価が急激に高くなることがあります。業績が好調、財産の状況が良好であればなおさらです。非上場株式は通常外部の人に売却できないため、事業承継(売買、贈与、相続)を行う場合、その承継者に多額の税負担が生じます。このような厳しい状況に陥らないように、株価引下げ対策を行い、その後、移転することが重要です。引下げ対策はいくつかありますので、一部の方法について後述いたします。
(1)株式保有特定会社・・・資産の大部分が「株式」の会社
株式等の価額が総資産価額に占める割合が、大会社の場合は25%以上、中小会社については50%以上の会社が該当します。
株式保有特定会社の株式は、純資産価額方式で評価するのが原則ですが、株式のみを有する会社と株式以外の資産を有する会社に分け、それぞれ評価し、その合計額で評価するという特殊な計算方法による評価(S1+S2方式)も認められております。
| 会社規模 | 判定基準 |
|---|---|
| 大会社 | |
| 中会社 | |
| 小会社 |
*価額はいずれも相続税評価額によります。
*会社規模の判定については、非上場株式の会社規模の判定を参照下さい。
(2)土地保有特定会社・・・資産の大部分が「土地」の会社
土地等の価額が総資産価額に占める割合が、大会社(一定の小会社を含みます)の場合は70%以上、中会社(一定の小会社を含みます)の場合は90%以上の会社が該当します。
| 会社規模 | 判定基準 |
|---|---|
| 大会社 | |
| 中会社 | |
| 小会社 | 総資産価額が大会社の基準となる会社は、総資産価額に占める土地等の価額の割合≧70% 総資産価額が中会社の基準となる会社は、総資産価額に占める土地等の価額の割合≧90% ※上記以外の小会社は対象外です。 |
*価額はいずれも相続税評価額によります。
*会社規模の判定については、非上場株式の会社規模の判定を参照下さい。
(3)比準要素数1または0の会社・・・赤字決算、債務超過、無配当の会社
類似業種比準価額方式の3つの比準要素「配当」「利益」「純資産」のうち、直前期および直前々期にいずれか2以上がゼロの会社。または、直前期においていずれもゼロの会社が該当します。
(4)開業後3年未満の会社
開業後間がなく業績が不安定なため、純資産価額方式により評価します。
(5)開業前または休業中の会社
営業活動がないので純資産価額方式でしか評価のしようがありません。
(6)清算中の会社
会社を清算するのに上場会社の株価に類似する方法での評価はありえません。清算の結果、分配を受けると見込まれる金額により評価します。
●こんな場合は大変です。普通の会社から特定会社になると株価は何倍にもなります。
A社(大会社)の場合
第20期 類似業種比準価額 1,000 第21期 類似業種比準価額 1,000
純資産価額 5,000 純資産価額 5,000
類似業種比準価額、純資産価額ともに変動はありません。しかし資産の内容は第21期に株式を2,000購入したため、つぎのようになりました。
よって株式保有割合が40%(株式4,000/総資産10,000)から60%(株式6,000/総資産10,000)に上昇したため、第21期は株式保有特定会社に該当します。
株価は、第20期は類似業種比準価額の1,000ですが、第21期は純資産価額の5,000となり、一気に5倍になってしまいます。
このように資産の価額は変わらなくても、資産の内容が変わるだけで株価は急激に上昇します。
●特定会社からはずれる方法として、つぎのようなものがあります。
ただし、合理的な理由もなく、株式保有特定会社または土地保有特定会社になることを免れるために行った資産構成の変動については、その変動はなかったものとされますので注意が必要です。
(1)株式保有特定会社の評価をはずす方法
1)株式を売却して、他の資産にする
株式を売却して現預金にする、または、他の資産に投資すると、総資産に占める有価証券の割合が下がり、株式保有特定会社からはずすことができます。
株式の売却には、譲渡益に対する法人税の問題があるので、総合的に検討する必要があります。
2)株式以外の資産を増加させる方法
(イ)借入金による不動産の購入
借入金により不動産を購入すれば、総資産に占める不動産の割合が増え、有価証券の占める割合が下がり、株式保有特定会社からはずすことができます。
(ロ)一時払保険等の活用
借入金により生命保険契約に加入し一時払保険料または全期前納保険料を支払うと、掛金は資産計上されるので、総資産に占める有価証券以外の資産の割合が増え、有価証券の占める割合が下がり、株式保有特定会社からはずすことができます。
3)株式を信託受益権にする。
株式を信託することにより、貸借対照表上、株式は信託受益権になります。このため、総資産に占める有価証券の割合が下がり、株式保有特定会社からはずすことができます。
信託設定は名義人の変更なので、所有権は法人のため、譲渡益に対する法人税の問題はありません。
(2)土地保有特定会社の評価をはずす方法
1)土地を売却して、他の資産にする
土地を売却して現預金にする、または、他の資産に投資すると、総資産に占める土地の割合が下がり、土地保有特定会社からはずすことができます。
土地の売却には、譲渡益に対する法人税の問題があるので、総合的に検討する必要があります。
2)土地の現物出資により子会社を設立する
土地を現物出資して、子会社を設立すると、貸借対照表上、土地は子会社株式になります。このため、総資産に占める土地の割合が下がり、土地保有特定会社からはずすことができます。
3)遊休土地に賃貸用建物を建築する
借入金により遊休土地に建物を建築すると、建築価額は土地以外の資産になります。このため、総資産に占める土地の割合が下がり、土地保有特定会社からはずすことができます。
また、賃貸物件を建築すると、遊休土地は更地評価から貸家建付地評価になり減額評価されるので、さらに土地の割合が下がることになります。
4)会社を分社する
会社を分割して分割承継会社に土地を移動させると、総資産に占める土地の割合が下がり、土地保有特定会社からはずすことができます。分割承継法人は土地保有特定会社になりますが、借入金も承継すれば株価が高くなることはありません。
掲載日:2010年5月20日
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