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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


会社の評価と事業承継

会社の清算は手法を間違えると借金だけ

会社の経営が行き詰まり、債務超過の状態に陥り、経営の継続が不可能になっているような会社も多く見受けられます。しかし、そういう会社の中にも、土地などの財産があり、借金などを返済するためにその資産を売却するようなこともあるかと思います。

この場合、手法を間違えるととんでもない落とし穴にはまり、例示1の場合のように金融機関の借入金などの債務の返済が済んだはずなのに、税金という思わぬ借金が残ってしまうことになります。

これを回避する方法として解散・清算があります。

解散から清算結了までの税務申告手続図

2ヵ月以内に申告と納税が必要

会社を解散した場合は、その事業年度開始の日から解散の日までの期間を1事業年度とみなして、2カ月以内に申告および納税をしなければなりません。

この場合の所得金額の計算は、通常の事業年度と同じく益金の額から損金の額を引いた金額になります。税率についても同じです。また青色欠損金の繰越控除もあり、通常年度において適用できない「欠損金の繰戻還付」も適用されます。ただし、次の特例については適用がありません。

  1. 中小企業者等が機械を等取得した場合の特別償却
  2. 事業基盤強化設備を取得した場合の特別償却
  3. 租税特別措置法上の諸準備金の新たな設定
  4. 特定資産譲渡に伴う特別勘定の設定
1.清算事業年度の予納申告

会社の解散の日の翌日より1年間を1業年度とみなして、2ヵ月以内に申告および納税をしなければなりません。ただし、残余財産の確定の日を含む事業年度を除きます。この場合の所得金額の計算は、原則として解散をしていない場合の所得金額と同じです。

青色欠損金の繰越控除、減価償却、貸倒引当金の繰入、寄付金の損金不算入などの適用があります。また税率についても通常年度と同じです。ただし、次の制度については適用がありません。

  1. 解散事業年度に適用のない上記記載のl〜lV
  2. 資産譲渡などによる圧縮記帳
  3. 交際費等の損金不算入
  4. 収用換地等の特別控除
  5. 特定同族会社の留保金課税
  6. 中間(予定)申告制度
2.残余財産分配予納申告

清算中に残余財産の一部を一定金額以上分配するときは、分配をする日の前日までに申告及び納税をしなければなりません。この場合の所得金額の計算は、以下のようになります。

上記算式で計算した結果、所得金額がない場合は、たとえ残余財産の分配をしていても残余財産分配予納申告の提出を要しません。また、この所得に課税する税率は、清算所得に対する法人税と同じ27.1%です。

3.清算確定申告

残余財産が確定した場合には、確定した日から1カ月以内に申告および納税をしなければなりません。この清算所得の計算は、会社を解散した日から残余財産が最終的に確定した日までを1計算期間として計算するところにあります。

前述した清算事業年度の予納申告および残余財産分配予納申告は、前払税額であることから、最終的には、清算所得に対する法人税額から控除され、控除できない金額は還付されることになります。この場合の所得金額の計算は、以下のようになります。

上記算式の残余財産に算入されるものとして以下のものがあります。

  1. 予納期間中に分配した残余財産の金額
  2. 清算中に納付する法人税、都道府県民税及び市町村民税、事業税(解散事業年度分は除く)
  3. 都道府県民税及び市町村民税、事業税に係わる延滞金などの付帯税
  4. 清算中に支出した寄付金(業務遂行上通常必要と認められるもの及び国などに対する寄付金は除く)
  5. 清算中に納付した所得税額

上記で計算した清算所得に対し、法人税率27.1%を掛けた金額から、次の金額を控除して税額を算出します。

  1. 清算中に納付した所得税額
  2. 清算事業年度予納申告法人税額
  3. 残余財産分配予納申告法人税額

以上説明しましたように、清算所得に対する課税は、残った財産に着目して課税し、清算中に土地などを売却して利益が生じても、債務弁済に充てられてしまうため、残余財産が残らなければ、清算所得に対する法人税などは発生しないのです。

具体的な例で考えてみます。例示1のような資産状態の会社があった場合、土地を売却したとして、2通りのケースに分けて計算してみます。

ケース1では、税金という借金(25,750千円)が残ってしまいます。これは、法人の繰越欠損金の控除が、7年を限度としているためです。

ケース2では、法人税などは課税されないことになり、さらに5,000千円の資本の払い戻しができることになります。このことは、土地などの売却に限ったことではなく、例えば債務超過の状態に陥っている資産状態の子会社に対して、親会社が債務免除をした場合にも子会社にとって受贈益という利益が生ずるため、解散前と解散後では同様なことが起こります。(ケース3、4)

土地などの売却の時期や、債務免除の時期も解散前と解散後では、法人税などの負担が違って来るため、売却などの時期については細心の注意が必要です。

掲載日:2009年6月30日

本解説は、著者グループの見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

会社の評価と事業承継


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