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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


会社の評価と事業承継

会社の株式の評価はどうやって決まる?−類似業種比準方式

中小企業には厳しい類似業種比準方式とは?

取引相場のない株式評価方法の原則的評価方法のひとつに類似業種比準方式があります。これは、事業内容が類似する上場企業の株価を基にし、評価しようとする自社の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3要素(比準要素)を比較することで株価を算定する方法です。

この方法では、利益や配当を多く出している会社の株価は高くなります。それは比準割合の構成比が、配当1:利益3:純資産4となっているためにあります。例えば、高い利益が長く続いており過去の利益が内部留保として多く蓄積されている会社は純資産価額が大きくなり、株価も高くなります。(資産の含み損益は株価に影響を与えません)。

一般的に、自社との比較対象となる類似業種の株価が低めに設定されているため、もうひとつの原則的評価方法である純資産価額方式よりも株式の評価額自体は低くなるといわれています。

この方法は、比較対象となる類似業種に近い大会社にとっては、実態を比準割合に適正に反映しますが、単年度のみ営業損益が大きく計上されることの多い中小企業にとっては、比準割合が実態を反映しにくく、結果株価が実態を反映しないこともあります。

類似比準要素とは、事業内容が類似する企業の株価(A)、1株あたりの配当金額(B)、1株あたりの利益金額(C)、1株あたりの純資産価額(D)をいいます。

この類似比準要素は、国税庁から『類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等』として、通達で適宜公表されています。

なお、(A)は、

  • 評価年度の前年平均
  • 評価する月
  • 評価する前月
  • 評価する前々月

のうち、いずれか最も低い金額を類似する株価とします。

上記『類似比準要素』(B)〜(C)と『自社の比準要素』を比較して、類似株価(A)を基に自社の株式を評価する方式が『類似業種比準方式』です。具体的な算式は次のようになります。

類似業種比準価額の具体的な計算例(『類似業種価額等の計算明細書』

【前提条件】
(株)A社(平成元年1月1日設立)
事業内容 衣料品の卸売 取引金額構成比率 70%
雑貨の小売   取引金額構成比率 30%
資本金 10,000千円(株資本積立金無し)
発行済株式数 200株(自己株式無し)
事業規模 小規模に該当
事業年度 4月1日〜3月31日
評価年月日 平成20年2月29日
直前期 平成18年4月1日〜平成19年3月31日
直前々期 平成17年4月1日〜平成18年3月31日
(1)ステップ1

自社の発行済み株式数を基に、1株当たりの資本金額を50円とした場合の発行済み株式数を計算します。このとき、自己株式を取得している会社については、自己株式は発行済み株式数より控除します。

次に、直前期および直前々期の法人税確定申告書などにより自社の比準要素を計算します。1株あたりの配当金を計算する場合は非経常的な配当を、そして利益金額を計算する場合は非経常的利益・受配益金不算入・繰越欠損控除はないものとします。

また、類似要素の利益金額は、事業年度が12ヶ月であることを前提にしているため、事業年度変更などにより自社の事業年度が12ヶ月に満たない場合には、12ヶ月ベースで計算し直します。

なお、この事例では前期・前々期ともに別記カッコ書以外には非経常的な配当・非経常的利益・受配益金不算入・繰越欠損控除はないものとします。

【直前期】
配当金額 1株につき3,000円
課税所得金額 5,000,000円
利益積立金額 12,000,000円
【直前々期】
配当金額 1株につき5,000円
課税所得金額 8,000,000円(固定資産売却益4,000,000円含む)
利益積立金額 4,000,000円

※(株)A社の『1株当たりの年利益金額』の計算は、直前期だけより直前々期との平均値を選択したほうが有利になります

(2)ステップ2

国税庁のホームページで平成20年『類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等』より類似する企業の株価などを確定させます。

(株)A社の場合『衣料品の卸売業』と『雑貨の小売業』と複数事業ですが、取引金額(売上金額)の構成比率が高い『衣料品の卸売業』により評価します。

また、大分類の『卸売業』と中分類の『繊維・衣服の卸売業』に該当しますが、どちらでも結果が有利になる分類により評価しますので、両方の分類で評価し、後に比較することになります。

(3)ステップ3

比準割合を算出し、1株当たり(50円)の比準価額を算出します。なお、減額割合は小会社なので0.5となります。

(4)ステップ4

1株当たりの比準価額を算出します。

掲載日:2008年7月31日

本解説は、著者グループの見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

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