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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


投資と資産

中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却または税額控除

1.特別償却・割増償却と投資税額控除

法人税法や所得税法では、一般的な税制を定めていますが、これらの税制の特別法という位置づけで、主に政策的な要請に応えるため租税特別措置法を別に定めています。
 減価償却制度の中では、法人税法や所得税法で定められている通常の減価償却を「普通償却」という一方で、租税特別措置法にも減価償却に関する規定があり、産業振興政策としての民間投資の刺激を目的として、税務上での恩典としての減価償却制度である「特別償却・割増償却」を定めています。
 また、特別償却の対象となる設備投資の多くに、特別償却することに代えて、投資額に一定割合を乗じた金額を法人税または所得税から控除できる「投資税額控除」を認めています。
 特別償却及び割増償却(以下、特別償却)と税額控除を簡潔に定義すると、以下のようになります。

【特別償却】
 取得価額に一定割合を乗じた金額を一時に償却できる制度

【割増償却】
 普通償却限度額に一定割合を乗じた金額を複数年にわたって割増して償却できる制度

【税額控除】
 取得価額に一定割合を乗じた金額を法人税・所得税額から控除する制度

特別償却及び税額控除制度は、政策的な減税なので時限立法とされて、その時々の政策が反映されて、対象業種や企業規模、対象資産や償却割合・税額控除割合が頻繁に改正されるので、常に対象資産や適用期限をチェックして設備投資政策に役立てたいものです。

2.特別償却と投資税額控除の節税効果

特別償却制度は、新たに取得した資産の取得価額に、一定割合を乗じた金額を特別に早期償却することを認めるという減価償却制度の特例です。したがって、対象資産を取得した期には、減価償却費が増加することで所得が減少して節税効果があります。
 しかし、償却期間の累計で考えた場合には、取得した資産の減価償却可能額の上限は、特別償却と普通償却の合計額で資産の取得価額を上回ることはないので、特別償却した分だけ普通償却が減ることになるため、節税効果は無くなることになります。具体的には、定率法を採用している場合には、対象資産の取得年度で特別償却した金額は、翌期以降の普通償却費が減少することで、課税所得が増加する結果、税負担が増加するので、償却期間を通じて節税額が取り戻されることになります。すなわち、特別償却の税務効果は、課税の繰延であるといえます。
 一方、投資税額控除は、取得価額に一定割合を乗じた金額を法人税・所得税額から控除して、翌期以降の増税効果は生じないので、特別償却と比較して有利になる可能性が高いと言えます。

3.投資優遇税制の種類

主な特別償却・割増償却及び投資税額控除を以下の表に掲げます。
 具体的な適用にあたっては、対象法人・対象業種等・対象資産が限定されていて、償却可能限度額や税額控除限度額も異なりますので、これらの適用要件をよく確認しておく必要があります。また、表に掲げた制度以外にも特殊な業種や特定の地域に限定した制度もあるので、投資計画にあたっては事前にチェックすることが大切です。

主な投資優遇税制

<特別償却>

  • 中小企業者等又は中小連結法人が取得した機械等の特別償却制度
  • エネルギー環境負荷低減推進設備等の特別償却制度
  • 特定設備等の特別償却制度
  • 事業革新設備等の特別償却制度
  • 特定地域における工業用機械等の特別償却制度
  • 共同利用施設の特別償却
  • 特定高度通信設備の特別償却
  • 医療用機器等の特別償却制度

<割増償却>

  • 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度
  • 経営基盤強化計画を実施する指定中小企業者の機械等の割増償却制度
  • 特定再開発建築物等の割増償却制度
  • サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却制度
  • 倉庫用建物等の割増償却制度

<投資税額控除>

  • 中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除
  • 試験研究を行った場合の税額控除
  • 雇用者の数が増加した場合の法人税額の税額控除
  • エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の税額控除
  • 雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除
  • 国内の設備投資額が増加した場合の税額控除
  • 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の税額控除

参照:国税局

4.税額控除限度額の1年間繰越し

税額控除限度額がその事業年度の法人税額の一定割合(多くの制度で20%相当額)を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額(繰越税額控除限度超過額)について、一定の要件の下に1年間の繰越しが認められます。

5.特別償却不足額の1年間繰越し

普通償却の償却不足額は、翌期以降に繰り越して損金に算入することはできません。しかし、特別償却の償却不足額については、連続して青色申告書を提出している法人に限り、事業年度開始の日前1年以内に開始した各事業年度に生じた特別償却不足額がある場合には、繰越して償却することが認められています。
 この場合に、定率法による普通償却限度額の計算は、前期から繰り越した未償却残高(帳簿価額)に償却率を乗じて計算することになりますが、特別償却不足額があるときは、その不足金額をすでに償却したものとみなして次の算式で償却限度額を計算することになります。

【算式】
 (期首帳簿価額-特別償却不足額)×償却率=普通償却限度額
 普通償却限度額+特別償却不足額=当期償却限度額

6.特別償却の損金経理等

所得税法では、普通償却費は所得計算で必要経費に計上しているかどうかを問わないいわゆる「強制償却」ですが、特別償却費は償却費として必要経費に算入していなければ、特別償却の特例を受けることはできません。
 法人税法では、普通償却費・特別償却費ともに、「償却費として損金経理をした金額のうち償却限度額に達するまでの金額を損金に算入する」と規定されているため、確定した決算において償却費として損金経理することが必要になります。
 特別償却の場合には、この「償却費として損金経理をした金額」という会計処理は、租税特別措置法施行令では次のような方法を認めています。

1)通常方式
 償却費として費用に計上し、資産の帳簿価額を減額。
 損金経理により、減価償却費・特別償却費として処理し、帳簿価額より減額する。したがって、耐用年数にしたがって償却期間にわたって益金に算入(減価償却費が減額)される。
 【仕訳例】
 (減価償却費)  ××  (減価償却累計額)     ××

2)準備金方式
 償却費として費用に計上し、特別償却準備金(負債)として積立てる。
 損金経理により、減価償却費・特別償却費として処理し、特別償却準備金として積み立てる。原則として7年間にわたって均等額を取り崩し益金に算入される。
 【仕訳例】
 (減価償却費)  ××  (特別償却準備金(負債)) ××

3)剰余金処分方式
 剰余金の処分により準備金として積立てる方法。
 剰余金処分により、利益剰余金の特別償却準備金(純資産)として積み立てる。
 準備金方式と同様に、原則として7年間にわたって益金に算入する。
 【仕訳例】
 (繰越利益剰余金)××  (特別償却準備金(純資産))××

特別償却による償却額は、会計上の正規の減価償却手続によって費用配分されるものではなく、租税政策上の優遇措置として損金算入される項目なので、損益計算の観点からは費用性が認められません。
 したがって、特別償却を損益計算書に費用として計上する上記の1)と2)の経理処理には、企業会計上の疑問が残ります。貸借対照表上の金額も、1)の処理によれば、固定資産の残高が「相当の償却」を行った後の評価額と言い難く、また、2)の負債項目としての「特別償却準備金」に負債性があると考えられないので、いずれも問題が残ります。
 企業会計上は、特別償却は損益計算とは関係なく剰余金処分により行うのが正しいと考えられており、貸方科目の特別償却準備金は、資本の部に「任意積立金」の一種として計上するのが妥当でしょう。
 ただし、準備金方式や剰余金処分方式によった場合は、翌期以降7年間(耐用年数10年未満の資産は、5年間またはその耐用年数とのいずれか短い期間)にわたって月割り均等額を取り崩し益金に算入することになり、通常方式による場合に比べて益金算入時期が早まる可能性もあるので、節税効果を重視した場合には、会計上の問題には目をつむって通常方式を採用することも選択肢になります。

7.具体的な計算例

ここでは、法人である中小企業者(注)が機械を取得して「中小企業者等または中小連結法人が取得した機械等の特別償却制度」及び「中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除」の適用を受ける場合の具体的な計算をしてみます。

【事例】
 金属製品製造業を営む中小企業者が、1台500万円の新品の工作機械(耐用年数10年)を事業年度の末日に購入して事業の用に供した場合で、特例適用前の課税所得が700万円とした場合。

【適用要件】

<対象法人>

特別償却→中小企業者又は農業協同組合等

税額控除→中小企業者のうち資本金の額若しくは出資金の額が3,000万円以下の法人または農業協同組合等

<対象業種>

娯楽業・風俗営業の一部等を除く指定業種

<対象資産>

機械及び装置(1台または1基の取得価額が160万円以上のもの)

器具及び備品(その事業年度において事業の用に供した電子計算機または一定のデジタル複合機の取得価額の合計額が120万円以上のもの)

ソフトウエア(その事業年度において事業の用に供したソフトウエアの取得価額の合計額が70万円以上のもの)

車両運搬具(車両総重量3.5トン以上の貨物自動車)

船舶(内航海運業用船舶)

償却可能限度額:基準取得価額の30%相当額
  税額控除限度額:基準取得価額の7%相当額、ただし法人税額の20%相当額が限度

(注)中小企業者とは次に掲げる法人をいいます。

1)資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人 ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人または資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます)に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。

2)資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

【計算例】

a.税額控除
 事例で「中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除」の適用を受ける場合の計算は以下のとおりです。

税額控除限度額:500万円×7%=35万円
法人税額×20%相当額:700万円×16.5%(*1)(年800万以下の部分)×20%=23.1万円
税額控除可能額:法人税額×20%相当額(23.1万円)<税額控除限度額(35万円)
∴ 23.1万円 ただし35万円-23.1万円=11.9万円は1年間繰越可
地方税を含む節税額:法人税231,000+住民税(*2)36,300=267,300円

*1中小法人等の平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の税率は15%に引き下げられています(同期間において復興特別法人税が1.5%加算されています)。

*2地方税の税率は標準的な税率によっています。

b.特別償却
 事例で「中小企業者等または中小連結法人が取得した機械等の特別償却制度」の適用を受ける場合の計算は以下のとおりです。

特別償却可能限度額:500万円×30%=150万円
償却後の法人税節税額:150万円×16.5%= 24.75万円
地方税を含む節税額:法人税247,500+事業税108,600+住民税38,900=395,000円

このように、初年度は特別償却を選択した方が、事業税にも減税効果が及ぶこともあり有利になりますが、中小法人等の軽減税率の範囲ではその差はわずかです。一方で特別償却では次年度以降の償却可能限度額が対象資産の償却方法に応じて(準備金・剰余金処分方式では均等額)少なくなるため、償却期間を通算すれば減税額は取り返されますので、税額控除を選択できる場合には税額控除の方が有利になる場合が多くなります。
 具体的な選択にあたっては、各制度の税額控除割合と特別償却率に基づいて、その事業年度の適用税率や法人税額、今後の利益予想などを考慮し、有利な方法を選択することになります。

更新日:2014年3月31日
掲載日:2010年7月26日

本解説は、著者の見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

投資と資産


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