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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


組織運営と雇用

未払使用人賞与の取扱い

企業にとって、金額が大きい従業員に対する賞与をいつの経費として認識するかは、当期利益や法人税の課税所得に大きく影響を与えます。
 そこで、使用人賞与の会計上および法人税法上の取扱いをまとめるとともに、未払使用人賞与の取扱いについて説明します。

1.会計上の取扱い

企業会計原則における「費用」については発生主義の原則に基づいて計上されます。したがって、賞与の支給対象期間に応じて発生したものとして費用計上していくことになります。
 一般的には、「賞与引当金」として支給対象期間中は要支給額を引当処理し、支給時に「賞与引当金」を取り崩すことになります。
 なお、支給時に取り崩す賞与引当金の額は、実際に支給した額ではなく、支給対象期間中に引当処理した額を取り崩し、実際の支給額と賞与引当金との差額は、賞与等の費用勘定で調整します。
 具体的な処理は、以下のようになります。

【具体例】(源泉税等の預かり金については考慮していません)

支給対象期間 :夏期 12月~5月 冬期 6月~11月
支給月 :夏期 6月 冬期 12月
支給予定額 :夏期 1,800,000円 冬期 2,400,000円
実際支給額 :夏期 1,500,000円 冬期 3,600,000円
●支給対象期間:12月~5月の各月
(借方) 賞与 300,000 (貸方) 賞与引当金 300,000
●支給時:6月
(借方) 賞与引当金 1,800,000 (貸方) 現預金 1,500,000
賞与 300,000
●支給対象期間:6月~11月の各月
(借方) 賞与 400,000 (貸方) 賞与引当金 400,000
●支給時:12月
(借方) 賞与引当金 2,400,000 (貸方) 現預金 3,600,000
(借方) 賞与 1,200,000

2.法人税法上の取扱い(法令72の5、法基通9-2-43~44)

法人税法上は、「賞与引当金」等による引当処理(発生主義による計上)を認めておらず、実際に支給した日の属する事業年度の損金(経費)に算入することになります。
 一方で法人税法上は、支給した日の属する事業年度の損金(経費)算入を原則とし、一定の要件を満たしている賞与については確定債務として未払計上を認めています。

●賞与の損金(経費)算入の時期について

以下の場合はそれぞれに事業年度の損金の額に算入します。

(1)労働協約または就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額が通知されているもので、かつ、その支給予定日又はその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理したものに限ります)

  その支給予定日またはその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度

(2)以下の要件のすべてを満たす賞与

  使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度

【要件】

  1. その支給額を、各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての使用人注1)に対して通知していること。
    注1)法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマーまたは臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除く)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに支給額の通知を行ったかどうかを判定することができます。
  2. aの通知をした金額を通知したすべての使用人注2)に対しその通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1カ月以内に支払っていること。
    注2)法人が、支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、ここでいう「通知」には該当しません。
  3. その支給額につき、aの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

(3)(1)、(2)に掲げる以外の賞与

  その支給した日の属する事業年度

3.まとめ

未払使用人賞与についてまとめると以下のようです。

  1. 会計上の取扱い
    賞与自体が発生主義での処理となるため、未払使用人賞与については「賞与引当金」等の負債勘定で表示されます。
  2. 法人税法上の取扱い
    賞与引当金は認められず、使用人賞与が未払計上できるのは以下の2つのケースだけです。
    1. 労働協約や就業規則で定められた支給予定日が到来している賞与で、各人への支給額の通知および損金経理がされている。
      支給予定日か通知日かのいずれか遅い日が事業年度終了の日以前であり、事業年度終了後に実際に支給する場合。
    2. 以下のすべての要件を満たしている場合。
      • 事業年度終了の日までに各人へ支給額の通知
      • 事業年度内での損金経理
      • 事業年度終了日の翌日から1カ月以内に各人へ通知額の支給

ポイント

法人税法上の未払賞与を計上する場合には3つの要件を考慮し、計画的に実施することが必要となります。

掲載日:2010年6月15日

本解説は、著者グループの見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

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