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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


組織運営と雇用

雇用維持のための不況対策

長引く不況の影響により、雇用調整を行っている事業所も少なくないようですが、雇用の安定化を促進するため、厚生労働省、ハローワーク等が主体となり、中小企業に対して以下のような助成を行っていますので、この機会にこれらの制度を積極的に活用して将来を担う人材として有期社員を正社員に転換したり、不況で生産を縮小せざるを得ない場合にも安易な人員調整に走らず、助成金を受給しながら操業を縮小する等でこの不況を乗り切るようにできるのではないでしょうか。

1.中小企業雇用安定化奨励金

平成20年4月に創設されたこの制度は、有期契約労働者(契約社員やパートタイマーなど)の雇用改善を図り、新たに正社員として転換する制度を就業規則などに定め、実際に正社員に転換させた場合や、有期契約労働者の雇用条件を就業規則等により、通常の労働者と同様にした場合等に支給されるものです。

(1)支給対象事業主
  1. 中小事業主であること
    中小事業主とは以下のような事業主です。
    業種 資本金額 労働者数
    製造業・その他 3億円以下 300人以下
    卸売業 1億円以下 100人以下
    サービス業 5千万円以下 100人以下
    小売業 5千万円以下 50人以下
  2. 雇用保険の適用事業主であること
  3. 新たに有期契約労働者を通常の労働者(正社員)に転換させ30る制度を労働協約または就業規則に定め、かつその制度に基づいて1人以上を通常の労働者に転換させた事業主であること
  4. 転換制度を公正かつ適正に実施していること
(2)支給額

2段階の支給制度となっています。

  1. 転換制度導入事業主
    新たに転換制度を導入し、かつこの制度を利用して直接雇用する有期契約労働者を1人以上通常の労働者として転換させた場合。一事業主について35万円
  2. 転換促進事業主
    転換制度を導入した日から3年以内に、直接雇用する有期契約労働者を3人以上通常の労働者として転換させた場合。対象労働者1人について10万円(10人を限度として支給)

なお、対象労働者のいずれかが母子家庭の母等である場合は、つぎの優遇措置があります。

  • 転換促進事業主となる要件を3年以内に3人以上のところを2人以上へ緩和。
  • 転換促進事業主の支給額を1人当たり10万円のところを1人あたり15万円(母子家庭の母等に限る)に増額。
(3)注意事項
  • 申請事業主が労働保険料を、2年間を超えて滞納している場合などこの助成金は支給されません。
  • 転換後に正社員となった者の処遇を他の正社員と差をつけることは認められません。
    福利厚生や給与体系等がすべて他の正社員と同様であることが求められます。
  • 受け入れている派遣社員を正社員として採用しても奨励金の対象となりません。
    直接雇用している有期契約労働者を正社員に転換させることが要件となります。

※なお、派遣社員を正社員として採用した場合、当該制度とは別に、派遣労働者雇用安定化特別奨励金制度があります。

2.中小企業緊急雇用安定助成金

平成20年12月から当面の間、景気の変動、産業構造の変化その他経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされている中小企業事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練または出向をさせた場合、休業、教育訓練または出向に係る手当若しくは賃金等の一部を助成する制度です。

(1)支給の要件
  1. 雇用保険の適用事業主であること
  2. 以下のいずれかの生産量要件を満たす事業主
    • 売上高または生産量の最近3カ月間の月平均値が、その直前3カ月または前年同期に比して5%以上減少していること(直近の決算等の経常損益が赤字であれば5%未満の減少でも可)。
    • 売上高または生産量の最近3カ月間の月平均値が、前々年同期に比べ10%以上減少していることに加え、直近の決算等の経常損益が赤字であること(ただし対象期間の初日が平成21年12月2日から平成22年12月1日までの間にあるものに限る)。
  3. 休業等を実施する場合は、従業員の全1日の休業または事業所全員一斉の短時間休業を行うこと〔平成21年2月6日から当面の期間にあっては、当該事業所における対象被保険者等ごとに1時間以上行われる休業(特例短時間休業)についても助成の対象となる〕。
  4. 出向を実施する場合は3カ月以上1年以内の出向を行うこと(通常、助成金の対象となった出向の終了日の翌日から6カ月を経ずに開始された再度の出向は助成金の対象とならないが、平成21年11月30日から平成22年11月29日までに開始される再度の出向については、6カ月経過していない場合も支給の対象となる)。
(2)受給額
  1. 休業の場合
    休業手当相当額の4/5まで支給されます(ただし1人1日あたり雇用保険基本手当日額の最高額まで)。
    支給限度日数は3年間で300日(休業および教育訓練)。
    教育訓練を実施した場合には、訓練費として1人1日6,000円を加算します。
  2. 出向の場合
    出向元で負担した賃金の4/5まで支給されます(ただし1人1日あたり雇用保険基本手当日額の最高額に330/365を乗じて得た額が限度となります。また、出向元事業主の負担額が、出向前の通常賃金のおおむね1/2を超えるときは当該額を超えない部分のみが助成対象となります)。
  3. その他の特記事項
    • 従業員の解雇等を行わない事業主や、障害のある人に対する休業等に対しては助成率を上乗せします(4/5→9/10)。
    • 中小企業緊急雇用安定助成金の対象期間は1年間であり、1年ごとに受給の要件の確認が必要になります。
(3)受給のための手続

受給のためには都道府県労働局または公共職業安定所(ハローワーク)への事前届出が必要となります。
 また、これらの助成金は経済情勢その他の状況等により要件が変更される可能性もあります。受給を検討される際は、必ず管轄の都道府県労働局、ハローワークまで事前に問い合わせ、適用条件等の確認をお願いします。

掲載日:2010年6月14日

本解説は、著者グループの見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

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