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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


組織運営と雇用

高齢者雇用継続給付

日本人の平均寿命は毎年伸び続け、厚生労働省発表によると男性は79歳、女性は86歳(平成20年)となっています。それに対し、多くの会社が60歳定年制度を採用していますが、老齢年金の支給開始年齢が原則65歳になることもあり、定年を迎えても「まだまだ現役で働きたい」と考える方は少なくありません。

高齢者雇用継続給付は、60歳の時点の平均賃金に対してその後の賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の方に支給される給付で、定年後の高年齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を促進することを目的としている制度です。
 この制度を利用すると例えば、定年によって従業員の賃金が減額されることになっても、給付金と在職老齢年金が減額幅を緩和することになるので高齢者の勤労意欲を維持する効果が期待できます。
 この制度には同一企業に継続雇用されている場合の「高年齢雇用継続基本給付金」と新たな企業に就職した場合の「高年齢再就職給付金」の2つがありますが、後者は雇用保険の再就職手当などを受給した方は対象外となります。

1.要件

以下の要件のすべてを満たせば支給対象者となります。

  1. 60歳以上65歳未満の一般雇用保険被保険者であること
  2. 雇用保険被保険者であった期間が5年以上あること(離職等による被保険者でない期間が1年以内である場合で、かつその間に求職者給付、就業促進手当を受給していない場合は、被保険者であった期間として通算されます)
  3. 原則、60歳時点と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満であること
  4. 高年齢再就職給付金については、再就職の前日における基本手当の支給残日数が100日以上であること
  5. 安定した職業に就いたこと

2.支給金額

(1)高年齢雇用継続基本給付金
  1. 低下率が61%以下の場合
    支給額=支給対象月において支払われた賃金額×15%
  2. 低下率が61%を超えて75%未満である場合

おおむねの支給率は、以下の早見表をご参照ください。

(2)高年齢再就職給付金
  • 支給金額は支給対象月において支払われた賃金の最大15%(高年齢雇用継続基本給付金とほぼ同額)となっています。
  • 支給期間は65歳に達する日までの期間に、基本手当の支給残日数が200日以上の場合には最大2年間、100日以上の場合には最大1年間となっています。

3.支給に関する注意点

(1)みなし賃金

支給対象月に支払われた賃金が低下した理由が、被保険者本人や事業主に責任がある場合であったり、他の社会保険により保障がなされるのが適切である場合など雇用保険による給付が適切でない場合、その部分は賃金の低下部分でないとみなされる場合があります。

例)

  • 被保険者本人の非行等による懲戒が原因である賃金の減額
  • 疾病または負傷等による欠勤、遅刻、早退などによる賃金の減額
  • 事業所の休業
  • 妊娠、出産、育児、介護等による欠勤、遅刻、早退などによる賃金の減額
(2)支給限度額以上の場合
  • 支給対象月に支払われた賃金が33万5,316円以上の場合は、給付金は支給されません。
  • 支給対象月に支払われた賃金と支給額の合計が33万5,316円を超える場合、超える分は支給されません。
(3)給付金の選択

高齢者でない方も受給できる再就職手当、または高年齢再就職給付金はいずれか一方しか支給を受けることができませんので、どちらを選択するのか検討する必要があるでしょう。また再就職手当は、再就職をした翌日から起算して1カ月以内が申請期限です。なお、再就職手当を申請した場合、審査の結果、不支給となった場合であっても、高年齢再就職給付金の支給要件を満たしており、支給期限内であれば申請を行うことができます。

(4)高年齢雇用継続給付による、老齢厚生年金の一部支給停止

老齢厚生年金の支給を受けながら、同時に高年齢雇用継続給付の支給を受けている機関については、高年齢雇用継続給付の給付額に応じ、つぎのとおり年金の一部が支給停止される場合があります。

  1. 厚生年金の標準報酬月額が60歳到達時の賃金月額の61%以下である場合
    老齢厚生年金の標準報酬月額6%相当額が支給停止
  2. 厚生年金の標準報酬月額が60歳到達時の賃金月額の61%を越えて75%未満の場合
    老齢厚生年金の標準報酬月額6%相当額~0%相当額まで逓減して支給停止
  3. 厚生年金の標準報酬月額が60歳到達時の賃金月額の75%以上である場合、または標準報酬月額が高年齢雇用継続給付の支給限度額以上の場合
    支給停止は行われない

おおむねの年金停止率は、以下の早見表をご参照ください。

4.高年齢雇用継続給付の支給申請手続き

申請手続は受給者個人でも申請できますが、できるだけ事業主の方が管轄の公共職業安定所に期限内に申請するようにしてください。

●高年齢雇用継続基本給付金の手続(初回支給申請時)

(1)被保険者→事業主
:受給資格確認票・(初回)支給申請書提出
(2)事業主→公共職業安定所
:(1)+賃金証明書 提出
(3)公共職業安定所→事業主
:受給資格確認通知書・支給(不支給)決定通知書交付支給申請書(2回目分)交付
(4)事業主→被保険者
:(4)交付
(5)公共職業安定所→被保険者
:給付金支給

※2回目以降の支給申請には、受給資格確認手続は不要

●高年齢再就職給付金の手続(初回支給申請時)

(1)被保険者→事業主
:受給資格確認票(初回)支給申請書記入・提出
(2)事業主→公共職業安定所
:(1)提出
(3)公共職業安定所→事業主
:受給資格確認通知書・支給申請書交付
(4)事業主→被保険者
:(4)交付
(5)被保険者→事業主
:支給申請書提出
(6)事業主→公共職業安定所
:(5)提出
(7)公共職業安定書→事業主
:支給(不支給)決定通知書・支給申請書(次回分)交付
(8)事業主→被保険者
:(7)交付

(注意)原則として2カ月に1度、管轄公共職業安定所から指定された月に支給申請書を提出する必要があります〔初回の支給申請は、最初に支給を受けようとする支給対象月(受給用件を満たし、給付金の支給対象となった月)の初日から起算して4カ月以内〕。
なお、提出期限を過ぎると支給を受けられなくなるので、特に2回目以降の申請書の提出期限には注意をしてください。

熟練が必要な仕事など、60歳を超えた方であっても活躍の場は数多くあります。ぜひ高齢者雇用継続給付の制度を活用し、高年齢者の雇用維持に努めて企業業績の向上にお役立てください。
 なお、同制度の詳細につきましては、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)までお尋ねください。

掲載日:2010年6月 9日

本解説は、著者グループの見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

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