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社会保険II(厚生年金保険)
社会保険を取り巻く環境は、高齢化、少子化問題や非正規労働者の増大など非常に厳しい状況にあります。
今後、負担すべき保険料の増額にも限度がありますから年金の給付率が下がる傾向にあると思われますので、老後の生活設計のためにも厚生年金だけに頼るのではなく、401Kなどの確定拠出年金、経営者のための小規模企業共済制度、従業員のための中小企業退職金共済制度の加入など早急に検討しなければならない状況になってきました。
ここでは、厚生年金保険制度についてご紹介します。
1.厚生年金保険
(1)厚生年金保険のあらまし
厚生年金保険は、勤労者の老齢、障害、死亡について保険給付を行うことを目的として、事業主や従業員が保険料を負担し合う民間のサラリーマンのための公的年金制度です。
主な目的は、原則65歳以上の老齢厚生年金の支給、業務内外の病気やけがをして障害者になった場合の障害年金と障害手当金の支給、被保険者本人が死亡した場合の遺族のための遺族年金の支給などがあります。
厚生年金保険制度は、昭和17年1月に男子工員だけを対象に発足し、昭和19年6月に女子が対象となり、昭和61年の年金制度の大改正など幾度かの改正を経て現在に至っています。 厚生年金保険の保険者は国(日本年金機構)です。従前は社会保険庁でしたが、同庁は解体され、平成22年1月1日より日本年金機構に移されることになりました。
(2)適用事業所と被保険者
厚生年金保険の適用事業所は、船舶乗組員が対象となるのでこの点を除けば健康保険の適用事業所と同一です。被保険者も、70歳以上の者を除いて健康保険の場合と同じです。
厚生年金保険の被保険者は、強制加入される当然被保険者と任意加入される高齢任意加入被保険者、第4種被保険者、任意単独被保険者があります。被保険者について以下に簡単に説明します。
1)当然被保険者
適用事業所に使用される70歳未満の者
2)高齢任意加入被保険者
70歳までに老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給するための被保険者期間を満たさない者が、事業主の同意を得て申請することにより被保険者となります。原則として、保険料の全額を被保険者が負担します。
3)任意単独被保険者
適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者が、事業主の同意を得て申請することにより被保険者となります。この場合の保険料の負担は労使折半となります。
4)第4種被保険者
被保険者が単独で加入する被保険者。昭和61年4月1日において第4種被保険者であった45歳以上(昭和16年4月1日以前に生まれた人)の者が対象となりますが、昭和61年改正により廃止され経過措置としての制度ですが、現在は対象者が皆無であろうと想定されます。
(3)定時改訂と随時改訂など
標準報酬額の決定方法、定時改訂、随時改訂の届出については健康保険と同様です。また、育児介護休業法に基づいて被保険者が3歳未満の子を育てるために育児休業を行う場合、健康保険と同様にその期間中の保険料は事業主・被保険者とも免除されます。
標準賞与の決定において、その上限額は健康保険では、年間賞与の累計額が540万円であるのに対して、厚生年金保険では1カ月の上限が150万円までになっています。
(4)厚生年金保険の保険給付と受給資格
厚生年金保険の保険給付は、老齢(65歳以上)になったときに支給される老齢厚生年金(経過措置により生年月日により特別支給の厚生年金が60歳から支給される)、病気やけがなどにより障害(障害等級1〜3級)になったときに支給される障害厚生年金、被保険者の死亡に対して支給される遺族厚生年金があります。
図解しますと以下のようになります。
老齢厚生年金

障害厚生年金

老齢厚生年金
死亡当時に被保険者により生計を維持された以下の者で優先順位の高い方に支給される。

それぞれの厚生年金の受給資格は、以下の通りです。
1)老齢厚生年金
厚生年金保険の被保険者期間があり、国民年金の保険料納付済み期間および保険料免除期間が原則25年以上になった場合に受給資格があります。ただし、経過措置で、厚生年金保険の被保険者期間20年〜24年(生年月日により異なる)の特例、40歳以上(女性は35歳)の厚生年金の被保険者期間が15〜19年(生年月日により異なる)の中高年の特例があります。
2)障害厚生年金
厚生年金保険の被保険者である期間に障害の原因になった病気やけがの初診日があり、障害の程度が1級〜3級のいずれかの状態になった場合に受給資格があります。ただし、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済みおよび保険料免除期間を合わせた期間が3分の2未満である場合には受給資格を得られませんが、平成28年4月1日までは、特例として初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納期間がなければよいことになっています。
3)遺族厚生年金
厚生年金保険の被保険者である期間に死亡した者によって生計を維持されていた遺族に受給資格があります。ただし、被保険者に国民年金保険料の未納期間がある場合の取扱いは、障害厚生年金と同様です。
(注)生計を維持されていた遺族とは、死亡した被保険者と生計を同じくし、恒常的な収入が将来にわたって年収850万円以上にならないと認められるもの。
(5)定年制と在職老齢年金
平成18年4月に施行された「高年齢者等の安定等に関する法律」により、平成25年3月までに段階的に65歳までの雇用が義務づけられ、ほとんどの企業では、定年の年齢を現状のままにして再継続雇用制度を導入しているようです。高齢者を雇用するには、厚生年金保険の在職老齢年金と雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金の制度を利用することを考えなければなりません。ここでは、在職老齢年金について紹介します。
在職老齢年金は、60歳から65歳までの制度と65歳からの制度に分かれます。
65歳までの在職厚生年金の仕組み

総報酬月額相当額=その月の標準報酬月額+その月以前1年間の賞与額の総額(1回の賞与額150万円が上限)÷12
基本月額=特別支給の老齢厚生年金額(加給年金額を除く)÷12
65歳からの在職厚生年金の仕組み

平成12年4月1日以前に生まれた人は70歳以降の給付制限がありません。
掲載日:2010年3月 4日
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