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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


組織運営と雇用

社員教育に使ったおカネは戻ってくる!! ―人材投資促進税制

中小企業の経営者は必見!

国内企業においては、かねてより少子化や国際競争の激化等を背景に、生産力の向上の必要性が指摘されていました。企業の生産性の向上のためには、新技術への対応など教育訓練を通して人材投資の底上げが必要となっていましたが、とりわけ中小企業の教育訓練費は、90年代に落ち込んだまま横ばいとなっていました。

そこで平成17年4月1日、経済産業省は『人材投資促進税制』を創設しました。本制度は、我が国の産業競争力の基盤である産業人材を育成・強化する観点から、人材投資の減少傾向を拡大に転じさせるとともに、企業における戦略的な人材育成への取り組みを強力に後押しする制度として注目されました。

しかし本制度は、継続的な教育訓練費の増加や、3年分の帳簿から教育訓練費を洗い出す手間が必要であり、中小企業にとっては使いにくい制度との声も上がっていました。そこで平成20年4月1日、本制度は改正され、適用事業年度の教育訓練費の総額から税額控除する簡素な制度(「総額型」)に拡充されました。

中小企業の生産性の向上・成長・底上げのためには人材投資の加速が不可欠であり、特に厳しい経営状況のため人材投資を継続的に増加させることが困難な中小企業については、教育訓練費の増減に関わらず適用できる総額型への改正が不可欠と判断されたのです。

ただし現時点では、この制度の適用は平成20年4月1日から平成21年3月31日に開始する事業年度に限られています。1年という単年度限定の制度となっていることに注意が必要です。

使いやすくなって新登場

平成20年度税制改正により、人材投資促進税制は、教育訓練費率(労務費の額のうちに占める教育訓練費の額の率)が0.15%以上の場合に、教育訓練費の総額に12%(教育訓練費率が0.25%未満の場合には、教育訓練費率から0.15%を控除した率に40を乗じた率に8%を加算した率)を乗じた金額が税額控除できる制度に改正されました。

したがって税額控除額は、以下のように計算された税額控除率に教育訓練費の総額を乗じることにより算出します。

ただし労務費の金額とは、給与等の金額(役員報酬は除く)のほか、法定福利費の金額(使用人負担分は除く)、教育訓練費の額(後述)を含む金額をいいます。

また本制度の控除額は、適用年度の法人税額の20%から、他の中小企業等基盤強化税制(事業基盤強化設備を取得した場合等の税額控除)による税額控除額を差し引いた額が上限となります。上限を超えた額を翌事業年度に繰り越して控除することはできません。

教育訓練費の対象と範囲は?

(1)教育訓練の対象者
  この税制は、自社の使用人または個人事業者のその事業に係る使用人に対する教育訓練費が対象となります。使用人とは正社員、契約社員、パート・アルバイト、その他対価を受け取って、その事業に使用される者をいいます。これには、自社の役員や使用人兼務役員や、役員と特殊な関係にある者(親族や生計の支援を受けている等)は含まれません。また「使用者」ではない内定等を受けた入社予定者も除かれています。

(2)対象となる範囲
  対象となる教育訓練費は、使用人の職務に必要な技術または知識を習得させ、さらには向上させるために支出する費用をいいます。もちろん、教育訓練を伴うものである必要があります。教育訓練には大きく分けて、「自社で行う研修に係る費用」と「他社が行う研修に係る費用」があります。 前者には、外部講師謝金や外部施設使用料、教科書、その他の教材費、研修プログラム等の作成委託費などが対象になります。後者には研修委託費や外部研修参加費が含まれます(詳細については国税庁タックスアンサーや経済産業省「人材投資促進税制のパンフレット及びQ&A集について」を参照)。

その他留意しておくべきものとして、受講者の給与や交通費・宿泊費、単なる視察費用や自己啓発など、必ずしも職務に必要といえない教育訓練は対象とはなりません。

どうやって判定、控除額を算出する?

(1)判定
  労務費に占める教育訓練費の割合(教育訓練費割合)を計算し、0.15%以上であるときは、税額控除を受けることができます。

(2)税額控除額
  教育訓練費割合が0.25%未満であるため、税額控除額の計算は以下となります。 なお税額控除額には、法人税額に対する控除限度額があるため(上記参照)注意が必要で す。

このように人材投資促進税制は制度改正に伴い、以前より利用しやすいものとなりました。人材教育のコストにお悩みの中小企業経営者には、ぜひ活用(検討)してみることをお勧めします。

●関連リンク

経済産業省

J-Net21 ビジネスQ&A

掲載日:2009年6月30日

本解説は、著者グループの見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

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