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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


組織運営と雇用

特殊支配同族会社の分かれ道は役員構成!―同族会社の役員給与のメリット

給与所得控除額を二重に経費計上できる法人成りの効果

個人事業者がいわゆる「法人成り」をするときの大きなメリットのひとつとして、法人から自ら給与を費用として計上し、給与所得控除額の適用をうけることがあります。いわば給与所得控除額分を二重に経費計上できることにあります。

給与所得控除額とは、その給与収入金額に応じて一定の計算方法により算出され、給与所得者の経費として認められるものです。すなわち給与所得者は不動産所得や事業所得を有する者のように実額経費を集計するのではなく、一律に概算的な経費(給与所得控除額)を給与収入金額から控除して給与所得金額を算出するのです。

法人成りの効果

以前からこの「節税」方法は一般的なものでした。しかも平成18年5月施行の新会社法により最低資本金制度が撤廃される等の改正が行なわれ、会社設立が容易になり、節税目的の法人成りが激増するのではという懸念がありました。

そこで国は、実質的な一人会社(特殊支配同族会社)が、その法人の実質的オーナー(業務主宰役員)に対して支給する給与の額のうち、給与所得控除額に相当する額を損金の額に算入しないこととしました。

この規定はさまざまな論議を呼んでいます。そもそも所得税法上の規定である給与所得控除額を法人税法上認めないとすることは税体系上の矛盾があるとの指摘があります。また実質一人会社のみを課税するといいながら、現実にはほとんどの同族会社が特殊支配同族会社に該当してしまい、明らかに大企業など非同族会社に比して公平性を欠くーとの指摘もされています。

国はこの指摘を受けて、平成19年4月以降の開始事業年度からは基準所得金額の要件を800万円超から1600万円超に改定しました。しかしながら、現実的に個人事業者と変わらない企業には課税される余地がなくなり、立法趣旨が宙に浮いた状態となってしまっている点は否めません。

特殊支配同族会社ってなんだ?!

「特殊支配同族会社」とは、業務主宰役員(社長)および業務主宰役員関連者等(常務)が発行済株式数の90%以上の株式を有し、かつ業務主宰役員および常務に従事する業務主宰役員関連者の総数が、常務に従事する役員の総数の半数を超えるものをいいます。

分かりやすく言えば、社長および社長グループが実質的に会社を支配している状態で、以下の(1)(2)をいずれも満たす会社をいいます。

上記(1)(2)の条件を満たすとき、当該業務を主宰する役員に対して支給する給与のうち給与所得控除額に相当する部分として計算される金額は、損金の額に算入されません。業務主宰役員のうち損金不算入となる金額は、その事業年度の業務主宰役員給与額の金額に応じて、次の表により計算した金額となります。

どんな役員構成であれば特殊支配同族会社になるのか?

(1)「業務主宰役員及び業務主宰役員関連者等」

「業務主宰役員及び業務主宰役員関連者等」、つまり社長グループとは、次表に示す人を指します。ただし、「業務主宰役員」とは法人の業務を主宰する役員一人(ほとんどが社長)をいいます。これは社内で地位や役割、実質的支配力の程度等によって総合的に勘案して判定されます。ただし所得金額によって適用除外される規定があります。

適用除外規定
(2)基準所得金額

「基準所得金額」とは、基準期間内の各事業年度(原則としてその事業年度の開始の日前3年以内に開始した各事業年度)の調整所得金額の合計と各欠損金の合計、それに基準期間の月数から算出します。

(3)計算例

具体的な例で基準所得金額を算出してみます。

(4)判定方法

以上の判定をフローチャートにまとめると以下のようになります。

複数の会社の業務主宰役員(社長)に該当する場合に有利な特例

同一の個人が複数の会社で業務主宰役員に該当する場合には、一定の明細書の添付を条件として、以下のように按分計算が可能になります。

上記の方法で計算したほうが、個々の会社で業務主宰役員の給与所得控除額を計算するよりも金額は小さくなるため有利となります。

掲載日:2008年10月 2日

本解説は、著者グループの見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

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