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こんなときどうする 中小企業の税金と会計


起業と準備

起業・設立時は助成金を活用し、手続き・人材経費を上手に確保

創業時に活用する返済不要の助成金

創業時や異業種進出時に大きな壁となるのがやはり資金繰り。多大な資金(資本金)が必要となり、それをどうやって調達するかということに頭を痛めている人も多いと思います。しかし国や自治体、財団などから一定の要件を満たした企業(個人事業含む)に対して支給する返済不要の助成金が存在しています。

この助成金の財源には、主に雇用保険料の会社負担分の一部が使用されています。そのため雇用保険に加入している企業(個人事業含む)は、条件を満たせば当然それを受給する権利があります。

最近ではほとんどの自治体が創業者の育成やサポートを目的に、この助成金制度を独自に設けています。しかしその存在を何らかの情報で知っていた、もしくは相談窓口などで教えられて利用するというのが多くのパターンのようです。

多くの経営者は「起業時に使える助成金」という存在を知らないため、それを利用(活用)するところまでたどり着けないという実情があります。企業規模に関係なく雇用保険料を支払っている企業がほとんどですが、助成金の多くは、大企業と比較して中小企業にはまだまだ活用されていないといえます。

そう考えると会社設立時は、まさに助成金の給付を受けるまたとない機会です。助成金は、返済不要の高額な金額である反面、制度や申請が複雑多岐にわたるため、これが受給失敗の大きな原因の一つにもなっています。しかし支給要件を満たし、正しく申請さえすれば受給できるわけですから、あえてこれを利用しない手はありません。

この制度を知っているのと知らないのでは、事業運営に大きなチャンスを逃してしまいかねません。事業家にはうれしい返済不要の「助成金」ですが、創業時にしか受給できないもの、時間のかかるもの、期間限定などさまざまな条件があり、タイミングや準備が必要なものなどが何百種類もあります。

具体的には、創業時のみまたは中高年の創業や雇用に有利な制度もあり、知らないうちに創業後になってから準備をしていなくて後悔してしまうことがあります。

そこで・・・

その会社の設立ちょっと待った!

ここでは何百種類も助成金の中から、代表的な厚生労働省で取扱っている創業・異業種進出の資金の一部を支援する助成金について解説します。主に創業時にもらいやすい助成金として、「中小企業基盤人材確保助成金」があります。また脱サラして起業する方に対して支給される「受給資格者創業支援助成金」も狙い目です。

人材確保が必要な人には「中小企業基盤人材確保助成金」

新規に創業や異業種進出を行い、事業の運営上で必要な中核を担う人材(新分野進出等基盤人材)や基盤となる人材ととともに一般人材を雇入れた場合、または生産性を向上させるための基盤となる人材(生産性向上基盤人材)を新たに雇入れたり大企業から受け入れたりした場合などにその人数に対して助成されるものです。

この制度では、創業時に会社の中心となる社員や専門的な技術を持っている優秀な人材を雇入れたい場合に有効です。申請は1名からでも可能ですが、すでに社員を雇い入れた後では、その社員は対象にならないため注意が必要です。会社設立後、直ちに手続きに入る必要があります。

●支給要件

  • 雇用保険の適用事業の事業主であること(まだ労働者を雇用していない事業主の場合には、労働者の雇入れ後、適用事業主となることが必要)
  • 事務所・店舗の賃借料(最高でも1年分)、機械、装置、什器備品、フランチャイズ加盟金、従業員が仕事で使用する車両等の費用を300万円以上負担する予定であること(但し、この要件に該当しない費用があります)。
  • 正社員として雇用する予定の従業員の年収が、350万円以上(賞与等を除く)であること

【給付内容】

給付内容

なお「基盤人材」とは、経営基盤の強化に資する人材で、次のいずれにも該当する人です(詳細は独立行政法人雇用能力開発機構を参照)。

  • 事務的・技術的な業務の企画・立案、指導を行うことができる専門的な知識や技術を有する人
  • 部下を指揮・監督する仕事に従事する係長相当職以上の人

●助成金の支給例

事業主Aは、500万円の設備投資と新規雇用の従業員8名の採用計画にて新規法人を設立した場合、

  1. 下記の条件で受給可能な助成金の額はいくらになるのか?
  2. この助成金は最大いくらまで受給が可能か?考察してみます。

【A社の従業員名簿】

A社の従業員名簿

●雇用保険加入要件

労働時間数が30時間未満にとどまる短時間被保険者、あるいは雇用保険に加入しない(できない)従業員は対象とはならないため従業員「A」「B」「E」「G」「H」の5名が対象になります。

●年収要件(350万円以上)

雇用保険加入要件を満たした5名のうち、年収350万円以上の要件を満たす従業員は「A」「B」「G」の3名です。

●役職要件

管理職相当の役職。雇用保険加入要件と年収要件の両方を満たした3名のうち、役職が管理職相当の要件を満たす従業員は「B」「G」の2名です。

つまり、上記3つの要件をすべて満たしていないと基盤人材の対象とはなりません。したがってこの条件をすべて満たす「B」「G」の2名が基盤人材対象者ということになります。

次に、基盤人材の対象従業員である「B」「G」以外の従業員で、一般被保険者として雇用保険に加入する従業員を一般人材として基盤人材の従業員と組み合わせることで受給の対象にすることができます。

一般人材の対象者であっても雇用保険加入要件は変わりません。上記の表からは「D」「F」を除く6名が対象者ですが、ここでも週の所定労働時間数が30時間以上の一般被保険者であることから、「C」は短時間被保険者であるため対象にはならず、候補は基盤人材対象者「B」「G」を除いた3名ということになります。

しかしこの3名が一般人材の対象とはなりません。一般人材の人数には、基盤人材の人数を超えてはいけない制限があります。したがって、この事例において対象となる一般人材の上限は2名になります。

結果、助成金受給の対象となる従業員数は「基盤人材」2名、一般人材2名の合計4名となります。受給額を計算すると合計300万円の助成金が受給可能となります。


なお、この制度では基盤人材5名、一般人材5名までの合計10名までの組み合せが上限となっています。この場合では合計850万円 が受給額の上限となります。


このように、基盤人材、一般人材の組み合わせを何組作るかによって助成金が支給されることになります。また、基盤人材のみで一般人材がゼロということも可能です。

脱サラして起業する人には「受給資格者創業支援助成金」

雇用保険の受給資格者(5年以上雇用保険加入)が会社を退職し創業し、雇用保険の適用事業所になったときに資金を負担してもらうことができます。すでに会社を登記してしまったり、個人事業を開業してしまったりした後では対象になりません。創業前に手続きに入る必要があります。

【支給要件】

支給要件

●給付内容

設立後3ヶ月間に使用した主な以下の経費が該当し、これらの経費の合計額に3分の1を乗じた金額で200万を限度として支給されます(経費は600万が対象限度額となります)。

これら以外にも新規創業・異業種進出に活用できる助成金には、下記のものがあります。

  1. 介護基盤人材確保助成金
    介護関連の事業主が新サービスの提供等に伴って社員を雇入れるとき
  2. 域創業助成金
    地域再生の核となる産業で創業したとき
  3. 高年齢者等共同就業機会創出助成金
    45歳以上の者が法人を設立創業し、雇用保険の適用事業所となったとき
  4. 不良債権処理就業支援特別奨励金
    支援対象者が起業して失業状態を脱却し、非自発的離職者等を雇入れたとき

また、上記以外にも下記の目的に活用できる助成金もあります。詳しくは、厚生労働省を参照してください。

  1. 人材の活用・雇用時にもらえる助成金
  2. 雇用維持・労働維持を図るときにもらえる助成金
  3. 雇用管理・研修を行ったときにもらえる助成金
  4. 高齢者関係の助成金
  5. 女性関係の助成金
  6. 障害者関係の助成金

掲載日:2008年9月 9日

本解説は、著者グループの見解に基づくものであり、対策の時期や目的、規模、期間、対象の個別事情などによっては想定されていた効果が出ない場合があります。実際の判断、経済活動にあたっては、必ず税理士などの専門家に相談するなどした上で自己の責任において行うようにして下さい。

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