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元気印 中小企業 独自の技術や発送を武器にがんばる日本各地の中小企業を紹介します

掲載日:2016年3月22日

[九州エリア]

宇佐ランタン
灯火に魂を込めるちょうちんで知的障がい者雇用に道

宇佐ランタンはビニール製ちょうちんメーカー。風情を彩る紙ちょうちんの和の心を残しつつ、耐久性に優れたビニール製を開発した。以来、伝統工芸品としてのちょうちんを工業製品に引き上げ、国内トップシェアの地位を築いた。既成概念にとらわれず、ちょうちんに魂をともすモノづくりは、業界内で旋風を起こしてきた。

  • ちょうちんを伝統工芸品から工業製品に
  • ビニール製を開発し通年商品化を実現
  • 知的障がい者雇用の未来を照らす

顧客ニーズがビジネスチャンス

創業は1973年。紙ちょうちんが主流を占める中、当初から付加価値の高いビニール製ちょうちんを開発、生産販売してきた。製品は直径16~120センチメートルで25種類。国内市場は安価な中国製が席巻する中、年間約25万個を生産。一部は海外に輸出する。

従来、ちょうちんは祭事などの季節商品としての色合いが強かった。屋外で利用されることが多いため、燃えにくく風雨に耐えることが紙ちょうちんの課題だった。そこで同社はビニール製の開発に着手。ビニールと骨組みを接着する接着剤や色落ちしない塗料などを開発して、独自技術を確立した。また職人による家内工業の生産形態を見直し、量産対応の工場生産を構築した。

近年は企業の宣材や室内装飾品への需要が増え、ちょうちんの通年商品化を実現した。創業者の谷川忠洋会長は「顧客ニーズに応えるモノづくりを追求する限り、製造業であってもサービス業に変わりない」と常に顧客第一だ。「自社製品がヒットしたのも紙より強い耐水、耐久性に優れたビニール製が求められたから。そこにビジネスチャンスがあった」と振り返る。

とはいえ、ちょうちんを工業製品化するのは試行錯誤の連続だった。現在工場で働く社員の6割は知的障がい者。障害を乗り越え能力をフルに発揮できる職場づくりには、谷川会長の並々ならぬ思いが詰まる。

ちょうちんの生地張り作業の様子

ちょうちんの生地張り作業の様子

親切の押し売り、そして自戒

通常、ちょうちん作りは木型を組んで骨組みとなるひごを巻き、生地を張って乾燥させる。その作業を1人で担当する。中でも、しわやたるみが出ないよう、のり付けして生地を張る作業は熟練技能が必要。生地張りは品質の決め手となるため、職人でも難しい。

これら一連の作業を同社では知的障がい者が担当する。雇用のきっかけは障がい者の自立訓練施設からの相談だった。谷川会長は迷った末、1981年に知的障がい者を採用した。戸惑いながら、作業手順を一つひとつ教えた。だが教えるのは難しく、叱りつけたこともあったという。

そうした時、「自分は彼らにとって鬼だった」(谷川会長)。「『雇ってあげている』と親切を押し売りしている自分に気付いた」(同)と自戒する。それ以後、彼らの能力を引き出し、働く意欲と自信が持てる職場づくりを追い求めた。同じ目線に立つと、彼らは繰り返し作業が得意なことが分かった。そこで仕事の段取りを抜本的に変更し工場生産に進化させた。

いきいき働ける職場づくり

1人で行う生産工程を木型組み、生地張り、乾燥の三つに分業化し、それぞれに担当者を配置した。前傾姿勢で肉体的、精神的疲労を伴うひご巻き作業なども自動化した。同時に信頼関係の構築にも力を注いだ。良いことは心の底から褒める。彼らに必要なのは、仕事への自信と受け入れられた実感だった。1984年、大分県宇佐市に工場「ランタニクス'90」を新設。ランタンとメカトロニクスをかけて、彼らが作業しやすい理想の環境づくりを目指した。

また大分大学の協力で変形・摩耗しやすい木型をアルミニウム製に変更。生地張り台を工夫し、作業台にちょうちんを持ち上げないで済む改善もした。これにより作業負担を大幅に軽減、生産性を向上できた。何より彼らを補助することなく、持ち場を任せる環境ができた。「理想の職場環境づくりは、まだ道半ば」と谷川会長は笑うが、彼らが生き生きと働く姿に確かな手応えを感じている。さらにちょうちん産業の明かりを次代へ引き継ぐ後継者として映っている。

2014年10月に事業承継した息子の谷川実社長も「彼らが会社の成長を支えている原動力だ。彼らの成長、自立こそ、知的障がい者雇用の未来を照らす光だ」(谷川社長)と訴える。2015年春には長年開発してきた耐水加工を施した紙ちょうちんを発売した。新商品は「環境に配慮した商品で勝負したい。ビニール製では出せない紙本来の温かい味わいを取り戻したい」(同)との思いを実らせた。谷川社長の新たな挑戦が始まった。会長から受け継いだバトンを手に全力疾走で自らの風を起こすのは、まさにこれからだ。

環境の変化に対応

「既成概念にとらわれては新商品は作れない」、「環境の変化に柔軟に対応できる企業が生き残れる」。いずれの言葉も谷川会長の口癖。谷川社長が受け継いだ教訓だ。ビニール製ちょうちんにより通年商品化を実現。知的障がい者を社員に迎えたことで、次代のちょうちん産業に魂をともす後継者を育てた。さらに耐水加工紙は、さまざまな用途に応用できる可能性を秘めるなど同社が次のステップに向けた成長の土台は整いつつある。ちょうちん産業を守りつつ、業態変化も視野に入れる今後の成長が楽しみだ。

企業プロフィール

谷川実社長

谷川実社長

会社名 株式会社宇佐ランタン
法人番号 7320001007600
代表者 谷川実社長
業 種 ビニール製ちょうちん製造・販売
所在地 大分県宇佐市橋津29-4

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