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下請振興法

下請中小企業振興法第3条第1項に基づく振興基準

前文

 下請中小企業は、我が国産業の多くの分野において広汎に存在し、国民経済の重要な担い手として我が国経済の著しい発展を支えてきたが、近年の環境変化の中で、さらなる対応を求められている。
 まず、近年の経済のサービス化に伴い、サービス業等の役務委託取引においても下請分業関係の発達が見られており、サービス業等の下請中小企業の経営基盤強化が必要である。
 ついで、下請中小企業を取り巻く環境として、国内面をみると消費者ニーズの多様化・高度化、商品のライフサイクルの短命化、技術革新、情報化の進展の中で、下請中小企業に対する要請も品質、性能、コスト等あらゆる面で多様化、高度化しており、下請事業者としてもこれに適切に対応していかなければならなくなっている。
 また、国外との関係に目を向けると、特に製造業をはじめとして、国際化の進展に伴い親企業の海外進出、海外との競争が進むことにより、下請中小企業を取り巻く環境は一層厳しくなっており、こうした状況に対処するために、また、東アジア地域の発展等により我が国企業の従来の比較優位が失われつつある中で、親企業と下請中小企業双方が共存し競争力を維持し発展していくためにも、親事業者、下請事業者ともに高度化する需要側の要請への対応や新たな需要の創出が重要となっている。
 他方、人材・労働力確保という面については依然として下請中小企業にとって、経営上の大きな問題である。
 特に、一般的に「働き手」とされる生産年齢人口(15〜64歳人口)は今後減少していくと考えられること、近年の国民の豊かさ指向の強まりを背景として労働者の勤労に関する意識の変化が見られること等から下請中小企業が今後とも労働力を確保していくことは依然として容易ではない状況にある。こうした中で、下請中小企業がその経営を存続するため、円滑に人材・労働力確保を行っていくためには、労働時間短縮を始めとする労働条件の改善や職場環境改善、福利厚生施設の整備等、さらには、情報化や技術の向上への積極的対応等による企業イメージの向上等を通じた魅力ある職場づくりが必要となっている。
 下請中小企業としては、このような環境の変化及び自らの実情を十分認識し、

  1. 親事業者にとって不可欠の企業となる
  2. 親事業者を複数化・多角化する
  3. 製品、情報成果物及び役務(以下「製品等」という。)の自社開発により独立化をめざす

等多様な対応を図っていく必要があるが、いずれの場合にしても技術力の向上を中心とした体質改善、経営基盤の強化が不可欠であり、そのための一層の自助努力が必要である。
 また、下請中小企業には、独自の技術力やノウハウを有すること等により、親企業と対等なパートナーシップを確立しているものもあるものの、その事業活動が親企業の発注の在り方に左右されやすい面があることから、下請中小企業が体質改善、経営基盤の強化や労働時間の短縮等を図っていくためには、発注方法等の面における親企業の協力が必要である。
 親企業としても、下請中小企業の存在なくしては、より付加価値の高い製品・サービスを生み出していくことが困難であり、自らの発展もあり得ないという点を十分認識し、親企業としての立場を利用して下請中小企業に不当な取引条件を押しつけることなく、下請中小企業の体質改善、経営基盤の強化に対しその自主性を尊重しつつ積極的な協力を行うとともに、納期、納入頻度等における配慮等下請中小企業の労働時間短縮のための発注方式の改善等の協力を行うことが必要である。さらに、自らの努力により自主的に事業を運営しうる有能な企業に脱皮し、自立化や魅力ある職場づくりを行っていこうとする下請中小企業に対しては、その努力を阻害することなく、必要に応じこれに対する支援を行うことが望まれる。
 今後とも我が国経済が健全な発展を遂げ、同時に豊かな国民生活を実現していくためには、我が国経済に広範に広がる下請分業システムにおける不公正、不透明な取引を排除するとともに、親企業と下請中小企業とが相互の理解と信頼の下に協力関係を築き、共存共栄を図っていくことが必要である。
 この基準は、このような観点から、下請事業者に対して努力の方向を示すとともに、これに対して親事業者がどのような協力を行うべきかを示すことにより、下請中小企業の振興を図ろうとするものである。

第1 下請事業者の生産性の向上及び製品若しくは情報成果物の品質若しくは性能又は役務の品質の改善に関する事項

1)下請事業者の努力

 今後、生産年齢人口が減少していくと考えられ、また、近年の国民の豊かさ指向の強まりを背景として労働者の勤労に関する意識の変化が見られる中で、下請事業者が円滑に人材・労働力の確保を図るためには、労働時間の短縮を始めとする労働条件の改善等魅力ある職場づくりに努めていくことが必要である。
 また、下請事業者に対する技術の向上等の要請に対応した一層の設備投資、技術開発を実施するため、また、経済の国際化の一層の進展に適切に対応するため、その経営基盤の強化を図ることも必要である。
 下請事業者は、このような課題を達成することができるよう、生産性の向上に努めるとともに、高度化する下請中小企業に対する親企業の要求に応え、製品若しくは情報成果物の品質若しくは性能又は役務の品質(以下「製品の品質等」という。)の向上に努めることが必要である。

2)親事業者の協力

 親事業者は、下請事業者が生産性の向上又は製品の品質等の改善のための措置を円滑に進めうるよう、必要な協力をするよう努めるものとする。

 

第2 親事業者の発注分野の明確化及び発注方法の改善に関する事項

1)発注分野の明確化

(1)親事業者は、下請事業者が長期的な需要見通しの下にその生産、投資、技開発等について長期的な経営方針を樹立しうるよう、相当期間における親事業者の下請事業者に対する発注分野(下請事業者に対して何を発注し、親事業者自らがどのような物品を製造、修理し、どのような情報成果物を作成し又はどのような役務を提供するのかの区分をいう。以下同じ。)を極力具体的に定め、これを親事業者との取引関係を有する下請事業者に明示するものとする。
 なお、提示期間(発注分野が示される相当期間をいう。以下同じ。)中において下請事業者に対する発注分野を変更することが予定される場合には、その内容を併せて示すものとする。
(2)親事業者は、提示期間中における下請事業者に対する発注は、前号の規定により明示した発注分野に沿ってこれを行うものとする。
(3)第1号の規定により明示した発注分野は、当該提示期間中においてはこれを変更しないものとする。
 技術革新により親事業者が発注を必要としなくなる場合その他これに類するやむを得ない理由により、発注分野を変更しようとするときは、その変更を行う時より相当期間前に、下請事業者に対し、当該変更の内容を明示するものとする。
(4)親事業者は、下請事業者に対する発注分野を変更するときは、当該変更に係る発注を受ける下請事業者に対し、他の種類の発注、技術指導等を実施する等その経営に著しい影響を及ぼさないよう十分に配慮するものとする。
(5)下請事業者は、親事業者から要請のあった場合には、第1号の規定により明示された発注分野に係る秘密を守るものとする。

2)長期発注計画の提示及び発注契約の長期化

(1)親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者に対し、下請事業者が安定的かつ合理的な生産を行いうるよう、相当期間にわたる長期発注計画を提示するものとする。
(2)親事業者は、長期発注計画の期間の長期化に努めるものとする。
(3)親事業者は、下請事業者に対する具体的発注は、第1号の規定により提示した長期発注計画に沿ってこれを行うよう努めるものとする。
(4)親事業者は、下請事業者に対する発注量を大幅に変動させないよう配慮するものとし、特に、発注量を親事業者の生産量の変動の程度以上に変動させないよう努めるものとする。
(5)親事業者は、具体的発注についての契約を締結する場合には、できる限りその期間を長期化するよう努めるものとする。
(6)下請事業者は、親事業者から要請のあった場合には、第1号の規定により提示された長期発注計画に係る秘密を守るものとする。

3)発注の安定化等

(1)親事業者は、下請事業者が合理的な生産を行いうるよう、下請事業者に対する発注に係る物品、情報成果物及び役務(以下「物品等」という。)の種類等の安定化及び発注量の平準化に努めるものとする。
 また、将来の発注計画についての事前の情報提供及び事前情報の精度の向上、あるいは一定の在庫の保有等による事前情報と確定発注の乖離の縮小化等を通じて下請中小企業の計画的生産、生産平準化に協力するものとする。
(2)親事業者は、下請事業者が合理的な生産を行いうるよう、下請事業者に対する発注に係る物品等について、標準化及び規格の整理統合を推進するものとする。

4)納期、納入頻度の適正化等

(1)納期、納入頻度は、下請事業者の受注状況、設備及び技術の能力等を勘案して、下請事業者にとって無理がなく、かつ、下請中小企業の労働時間の短縮が可能となるよう、下請事業者及び親事業者が協議して決定するものとする。また、親事業者は、下請中小企業の労働時間短縮の妨げとなる週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入、発注内容の変更等について、抑制を図るものとするとともに、予め指定した納入日以前の納入(指定納入日前納入)に応じる等の措置を通じて、下請中小企業の納入事務の軽減等に協力するものとする。
(2)親事業者は、発注後における発注内容の変更、支給材(親事業者から支給される原材料、半製品、部品、資材等をいう。以下同じ。)の支給の遅延等により、前号の規定により定めた納期が下請事業者にとって無理なものとなった場合には、その納期を変更する等、下請事業者の不利益にならないよう十分に配慮するものとする。

5)発注の手続事務の円滑化等

 親事業者は、下請事業者に対する発注の手続事務及び支給材の支給、設備、器具等(以下「設備等」という。) の貸与等に関する手続事務の円滑化、明確化に努めるものとする。また、親事業者は、下請中小企業の労働時間の短縮のため、下請事業者の要請に応じて、生産・配送システムの見直し等の取組みを共同して行うものとする。

6)設計・仕様書等の明確化による発注内容の明確化

(1)親事業者は、不当なやり直しが生じないよう、発注に際して下請事業者に対して示すべき設計図、仕様書等の内容を明確化することにより、発注内容を明確にすることに努めるものとする。
(2)親事業者は、既に発注した物品等に係る設計、仕様等を変更しようとするときは、下請事業者に損失を与えることとならないよう十分に配慮するものとする。

7)取引停止の予告

 親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者との取引を停止し、又は大幅に取引を減少しようとする場合には、下請事業者の経営に著しい影響を与えないよう配慮し、相当の猶予期間をもって予告するものとする。

 

第3 下請事業者の施設又は設備の導入、技術の向上及び事業の共同化に関する事項

1)施設又は設備の導入

(1)下請事業者は、生産性の向上及び製品の品質等の向上、従業者の労働時間短縮、高齢者等の有効活用等を図るため、その行う物品の製造等の技術的特性、数量等の実態に即して、高性能設備、専用設備、省力化設備、省エネルギー設備、作業軽減のための設備等の導入に努めるとともに、設備間及び工程間の有機的な関連の確保という観点から、設備の配置及び種類について検討を行い、その改善に努めるものとする。
(2)親事業者は、下請事業者の要請に応じ、下請事業者の施設又は設備の導入に際し、発注品目、発注量等の変更、設備の選定、配置、その効率的利用方法等に関する指導を実施する等の協力を行うものとする。

2)技術の向上

(1)下請事業者は、研究開発体制の整備、拡充により、従来の製品等の改良、新しい製品等の開発、新材料の開発利用等に努めるとともに、これらに必要な設計技術の向上を図るものとする。
(2)下請事業者は、製品等の不良発生原因の追及、合理的工程の検討、作業標準の設定、内部検査基準の設定、検査設備及び検査体制の拡充等により、品質管理技術等の向上に努めるものとする。
(3)下請事業者は、従業員の研修及び職業訓練の実施等により、現場作業技術等の向上に努めるものとする。
(4)下請事業者は、その行う製造の特性等に応じ、専門化技術及び量産化技術又は多品種少量生産技術等の高度な技術の取得に努めるものとする。
(5)下請事業者は、省エネルギー技術、公害防止技術及び安全衛生技術等の取得に努めるものとする。
(6)親事業者は、下請事業者の要請に応じ、下請事業者の技術の向上について、技術指導員の派遣、講習会の開催、下請事業者の従業員の研修の受入れを実施する等の協力を行うものとする。
(7)親事業者は、下請事業者の要請に応じ、下請事業者の技術開発に協力するとともに、可能な範囲内において、自己の所有する知的財産を提供するものとする。
 また、親事業者は、自らの技術指導や研究者派遣等の協力により、下請事業者が開発した技術の実施及びその成果の帰属につき下請事業者の適正な利益に十分配慮するものとする。
 この考えを踏まえ、親事業者、下請事業者の双方が寄与した技術・ノウハウ等の帰属については、両者の知的貢献度を十分踏まえた上で、契約書において明確化するよう努めるとともに、取引において相手方の技術・ノウハウ等を知りうる場合は、機密保持契約を締結し、また、対価の考え方を正当化に定め明確化するよう努めるものとする。

3)経営管理等の改善

(1)下請事業者は、長期経営方針、利益計画、資金計画、設備計画、生産計画等の経営計画の作成、価値分析の実施、計数管理方式の導入等その経営の実態に即した効果的な経営管理手法の採用により、経営管理の改善に努めるものとする。また、労働力需給の中長期的動向を踏まえ、労働力の確保を図るために必要な労働時間の短縮、職場環境の改善等人事・労務管理の改善に努めるものとする。
(2)親事業者は、下請事業者の要請に応じ、下請事業者の経営管理及び人事・労務管理の改善について、講習会、研究会を開催する等の協力を行うものとする。

4)事業の共同化

(1)下請事業者は、その業種、業態等の実態に応じて、量産化、専門化、付加価値の増大、施設又は設備の導入、研究開発の効率化、販売力の強化、原材料等の購買の合理化、情報収集の効率化、人材・労働力確保の円滑化、福利厚生施設の整備、海外進出の円滑化等を効果的に推進するため、他事業者との共同化を積極的に実施するものとする。
(2)親事業者は、下請事業者の要請に応じて、発注品目、発注量等の変更、発注方法の整備、技術指導、経営指導を実施する等、下請事業者の共同化を進めやすくするよう適切な措置を講ずるものとする。

5)情報化への積極的対応

(1)下請事業者は、管理能力の向上、受注から給付の提供に至るまでの事務量軽減、事務の迅速化等を効率的に推進するため、情報関連機器の積極的導入に努めるとともに、電子受発注等に対しても、その効果等を十分検討の上基本的にはこれに積極的に対応していくことが必要である。
(2)親事業者は、下請事業者が情報化の進展に円滑に対応することができるよう、下請事業者の要請に応じ、管理能力の向上についての指導、標準的なコンピュータ又はソフトウェアの提供、データーベースの提供、オペレータの研修、コンピュータ、ソフトウェア等に係る費用負担軽減のための援助等の協力を行うものとする。
(3)親事業者は、下請事業者に対し電子受発注等を行う場合には次の事項に配慮するものとする。

  1. 電子受発注等を行うこととするかどうかの決定にあたっては、下請事業者の自主的判断を十分尊重することとし、これに応じないことを理由として、不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないこと。
  2. 下請事業者に対し、正当な理由なく、自己の指定するコンピュータその他の機器又はソフトウエア等の購入又は使用を求めないこと。
  3. 下請事業者に対する電子受発注等に係る指導等の際、併せてその経営、財務等の情報を把握すること等により、その経営の自主性を侵さないこと。
  4. 自己が負担すべき費用を下請事業者に負担させないこと。
  5. 下請事業者が電子受発注等に円滑に対応することができるよう、長期発注計画の提示、発注の安定化及び納期の適正化には特に留意すること。
  6. 下請事業者が不測の不利益を被ることがないよう、両事業者間の費用分担、取引条件等について、事前に基本契約書又はこれに準ずる文書により明確に定めておくこと。
  7. その他政府により定められている電子受発注等についての指針を遵守すること。

 

第4 対価の決定の方法、納品の検査の方法その他取引条件の改善に関する事項

1)対価の決定の方法の改善

(1)取引対価は、取引数量、納期の長短、納入頻度の多寡、代金の支払方法、品質、材料費、労務費、運送費、在庫保有費等諸経費、市価の動向等の要素を考慮した、合理的な算定方式に基づき、下請中小企業の適正な利益を含み、労働時間短縮等労働条件の改善が可能となるよう、下請事業者及び親事業者が協議して決定するものとする。
 その際、取引の対象となる物品等に係る特許権、著作権等知的財産権の帰属及び二次利用に対する対価並びに当該物品等の製造等を行う過程で生じた財産的価値を有する物品等や技術に係る知的財産権の帰属及び二次利用に対する対価についても十分考慮するものとする。
(2)前号の協議は、下請事業者が作成する見積書に基づき継続的な発注に係る物品等については少なくとも定期的に、その他の物品等については発注の都度行うものとする。
 また、材料費の大幅な変更等経済情勢の変化や発注内容の変更に応じ、対価について随時再協議を行うものとする。
さらにこれらの協議の記録については両事業者において保存するものとする。

2)納品の検査の方法の改善

(1)親事業者が下請事業者に対し発注をしようとする場合には、下請事業者及び親事業者は、納品(役務の提供を含む給付の提供をいう。以下同じ。)の検査の実施方法、実施時期、当該発注に係る物品等の適正な検査基準、検査の結果不合格となった物品等の取扱い及び納品の過不足の場合の処理の方法を、あらかじめ、協議して定めるものとする。
(2)親事業者は、納品の検査は、前号の規定により定めた検査の実施方法及び検査基準に基づき、当該納入後、速やかに、これを行うものとする。

3)支給材の支給及び設備等の貸与の方法の改善

(1)親事業者が下請事業者に対し支給材を支給しようとする場合又は設備等を貸与しようとする場合には、下請事業者及び親事業者は、支給材又は設備等の保管の方法及び瑕疵ある場合の取扱い、支給材の所要量の算定方法及び残材の処理の方法、支給又は貸与の時期並びに対価の決定方法その他支給又は貸与について必要な規定を、あらかじめ、協議して定めるものとする。
(2)親事業者は、下請事業者に対する支給材の支給又は設備等の貸与は、前号により定めた規定に基づき、これを行うものとする。

4)下請代金の支払方法の改善

(1)親事業者は、下請代金の支払は、発注に係る物品等の受領後、できる限り速やかに、これを行うものとする。また、下請代金はできる限り現金で支払うものとし、少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うものとする。
(2)親事業者は、下請代金を手形で支払う場合には、手形期間の短縮化に努めるものとし、親事業者が政府により標準手形期間が定められている業種に属するものであるときは、少なくとも当該手形期間を超えないものとする。
(3)親事業者は、下請代金の支払方法として一括決済方式(親事業者、下請事業者及び金融機関の間の約定に基づき、下請事業者が下請代金の全部又は一部に相当する下請代金債権を担保とし又は譲渡して金融機関から当該下請代金の額に相当する金銭の貸付け又は支払を受けることができることとし、親事業者が当該下請代金債権の額に相当する金銭を当該金融機関に支払うこととする方式をいう。以下同じ。)を用いる場合には、次の事項に配慮するものとする。

  1. 一括決済方式への加入及び脱退は下請事業者の自主的判断を十分尊重すること。
  2. 一括決済方式に加入した下請事業者に対し、支払条件を従来に比して実質的に不利となるよう変更しないこと及び一括決済方式に変更することによって生じる費用を負担させないこと。また、加入しない下請事業者に対し、これを理由として不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないこと。
  3. その他政府により定められている一括決済方式についての指針を遵守すること。

 

第5 下請事業者の連携の推進に関する事項

(1)下請事業者は、施設又は設備の導入、技術の向上、経営の合理化、事業の共同化等をグループとして効率的に推進するため、及び親事業者と下請事業者との円滑な関係を確立するため、事業協同組合による組織化等の連携を積極的に進めるものとする。
(2)下請事業協同組合等下請事業者の連携による団体(以下「下請団体」という。)は、自主的かつ積極的に活動するものとする。
(3)下請団体は、下請事業者の連携をより効果的なものとするため、他の下請団体との連携を図るものとする。このため、下請団体相互の連合組織の拡大強化に努めるものとする。
(4)親事業者は、下請事業者の連携に協力し、その育成に努めるものとする。
 また、親事業者は、下請団体の自主的な運営を阻害してはならないものとする。
(5)親事業者と下請団体は、発注分野の明確化、発注方法の改善、取引条件の改善その他の適正な取引慣行の樹立その他親事業者と下請事業者との間の円滑な関係の推進を図るため、定期的な協議を行うよう努めるとともに、必要に応じ、随時、協議を行うものとする。

 

第6 その他下請中小企業の振興のため必要な事項

1)一般的留意事項

(1)下請事業者の自主性の尊重
 親事業者は、下請事業者との取引、下請事業者に対する指導等に際し、下請事業者の自主性を尊重するよう留意するものとする。特に、下請事業者の取引先の開拓、変更等について不当に干渉してはならないものとする。
(2)下請関係円滑化のための親事業者の体制の整備
 親事業者は、下請事業者との取引、下請事業者に関する指導その他下請事業者との関係全般について、下請事業者が容易に親事業者との連絡協議を図ることができ、その連絡協議に対し、親事業者としての責任ある処理をなしうるよう、親事業者内の体制の整備に努めるものとする。
 また、親事業者は、その外注担当者が、下請取引を行う上で必要な関係法令等に対する理解を深めるよう努めるものとする。
(3)基本契約の締結
 下請事業者及び親事業者は、継続的取引に関しては、その取引に関する基本的な事項を定めた契約を締結し、当該契約に基づき、取引を行うものとする。
(4)国等の他の施策との関連

  1. 下請事業者及び親事業者は、試験研究機関等による技術指導、技術情報の提供等国又は地方公共団体による施策を積極的に活用するものとする。
  2. 下請事業者は、その属する業種について、中小企業経営革新支援法による業種別の経営基盤強化計画等が定められている場合には、当該計画に定める事項を達成するよう努めるものとし、親事業者は、これに協力するものとする。
  3. 親事業者は、下請企業振興協会による下請取引のあっせんに対する協力等を通じ、下請事業者の仕事量の確保に努めるものとする。
  4. 複数の取引先を有する下請中小企業にとって、取引先の休日の不一致は、休日取得の妨げとなることから、下請中小企業の労働時間短縮を推進するため、親事業者は休日カレンダーの作成等により、業種や地域の特性を踏まえつつ、その事業所間、あるいは親企業相互の休日の調整を進めていくものとする。
  5. 下請事業者及び親事業者は、本基準の遵守その他事業の運営にあたり、省エネルギー対策、公害の防止、リサイクル、地球温暖化防止等の環境保全対策及び労働基準・安全衛生の確保その他国の施策との関連に十分に配慮するものとする。

(5)本基準遵守のための下請事業者との協力関係等

  1. 下請事業者、下請団体、親事業者及び親事業者を主たる構成員とする団体(以下「親事業者団体」という。) は、互いに意思の十分な疎通を図りつつ、本基準の円滑な実施に努めるものとする。
  2. 下請事業者、下請団体、親事業者及び親事業者団体は、それぞれ、本基準の実施に関して、都道府県、各省庁の地方支分部局及び各省庁並びに下請企業振興協会の指導、助言等を積極的に活用するとともに、これらの機関からの指導、助言に十分に協力するものとする。

(6)売掛債権の譲渡承諾
 親事業者は、下請事業者が売掛債権を担保等として資金を調達できるよう、売掛債権の譲渡の承諾に適切に努めるものとする。

(7)知的財産の取扱いについて

  1. 下請事業者は、自己の所有する知的財産について、特許権、著作権等権利の取得、機密保持契約による営業秘密化等により、管理保護に努めるものとする。
  2. 下請事業者及び親事業者は、特許権、著作権等知的財産権や、営業秘密等知的財産の取扱いに関して、契約書の締結及び契約内容の明確化に努めるものとする。
  3. 親事業者は、契約上知り得た下請事業者の特許権、著作権等知的財産権や営業秘密等の知的財産の取扱いに関して、下請事業者に損失を与えることのないよう、十分な配慮を行うものとする。

2)最近の経済環境の変化に伴う留意点

(1)国際化の進展に伴う留意点

  1. 下請事業者は次の事項に留意するものとする。
    イ.下請事業者は、親事業者の海外進出の進展等の動きを踏まえ、その技術力、経営基盤等の強化に努め、自ら取引の可能性の幅を拡大するよう努めること。
    ロ.下請事業者は、自ら海外進出を行う場合には、十分な事前準備を行うほか、共同化を図るなどにより、その円滑な実施に努めること。
  2. 親事業者は次の事項に配慮するものとする。
    イ.親事業者は、海外進出等に際しては、その計画について下請事業者に必要な情報を逐次提供しつつ、製品等の多角化、新規親事業者の開拓等下請事業者が対応を図ることに対し、下請事業者の要請に応じ積極的支援を行うこと。
    ロ.下請事業者に対し、海外進出を要請する場合には、下請事業者の自主的判断を十分尊重するとともに、親事業者としての立場を利用して海外進出を強制し又は要請に応じないことを理由として不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないこと。
    ハ.下請事業者が親事業者とともに海外進出を行う場合には、親事業者は下請事業者に対し現地の労働面、市場面その他の面の事情について、十分な情報提供、指導その他必要な協力を行うこと。

(2)親事業者の事業再編の進展に伴う留意点

  1. 下請事業者は親事業者の事業所の集約化等に伴う移転、閉鎖、内製化等(以下「工場移転等」という。) の事業再編の動きを踏まえ、その技術力、経営基盤等の強化に努め、自らの取引の可能性の幅を拡大するよう努めるものとする。
  2. 親事業者は、工場移転等に際してはその計画について下請事業者に必要な情報を逐次提供しつつ、製品等の多角化、新規親事業者の開拓等下請事業者が対応を図ることに対し、下請事業者の要請に応じ積極的支援を行うものとする。

(3)経済情勢の急激な変化に伴う下請事業者への配慮

 短期間における経済情勢の急激な変化により、親事業者が影響を受ける場合には、その影響は極力親事業者自身が吸収するとともに、下請事業者に不当に転嫁しないよう努めるものとする。

附則

1.この規準は、平成15年11月1日から適用する。
2.平成3年2月8日付け3企庁第108号は廃止する。



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