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サトーカメラ

2010年4月6日更新

現場の知恵と顧客の心理掌握で成功するリピート客づくり戦略

信頼を構築してリピートにつなげる

 三つめはビジネスの基本である「信頼」を顧客と構築することで、リピート客を増やした事例である。信頼関係を構築するにはどうしたらいいのか。東京・多摩市にホームテックという株式会社がある。これまでに2万8000件のリフォームを手がけている中小の企業だが、顧客に安心を与え、信頼関係を築くことで、平成5年の設立から年商を12倍にした実績をもつ。また、リフォームというと、リピート客はあまり生まれない業種のように思われがちだが、全体の約三分の一が二回以上のリフォームのリピーター、あるいは、ユーザーからの口コミで来店した人たちで占める。

 リフォームは新築と比べたら費用は安くてすむが、それでもキッチンを本格的にリフォームしようとすると、100万円以上はかかる。外装から全居室、バス・トイレまで、全面改装となると、1000万円以上かかることも少なくない。それでも、できあがってしまったら、よほどの瑕疵がない限り返品がきかないので、工事に関するトラブルが生じることがよくある。追い打ちをかけて、テレビやネットなどでトラブルが報じられ、一般の人たちの間には、リフォームに対して、「悪質」「手抜き工事」といったイメージが定着しつつある。

ホームテック「リフォームプライス」

ホームテック「リフォームプライス」

 ホームテックが第一に注力したことは、顧客に安心感を抱いてもらうことだ。そのために、八王子市と多摩市、世田谷、武蔵野にリフォーム部材の総合大型ショップ「リフォームプライス」を開設した。ここでは、4店舗平均900m2以上(最大は武蔵野店1,400m2)の売り場に国内主要メーカーほぼ全社のシステムキッチンやシステムバス、トイレ、洗面台のほか、フローリングやドアなどの建材を展示している。

 通常、このようなショウルームは、販売目的で設立される。だが、ホームテックは情報提供の場として「リフォームプライス」を展開している。訪れた顧客は、フローリングやドアなど、商品や建材にはさまざまな種類があることを知ることができ、知識を得ることで、自身の家に合ったリフォームはどのようなものかイメージがわきやすくもなる。これらのことにより、顧客は業者から一方的に利益率が高いものをすすめられても、業者のいいなりによるリフォームを避けることができるようになる。

 顧客は「リフォームプライス」で時間をかけて、ゆっくり情報収集しているので、その次のステップであるホームテック側との話し合いの場面で、自身の希望を的確な言葉でホームテックの担当者に伝えられる。その結果、イメージに合ったリフォームを進められる効果がある。これらにより、顧客にとってホームテックの作業の透明性が増すうえ、いかにホームテックの担当者が顧客本位で物事を考えてくれるかが伝わってくる。

 ホームテックにとって顧客は「顧客ではなく個客」である。顧客のニーズを的確につかむことができる仕組みを「リフォームプライス」によって構築した。話し合いを重ねることで、顧客はリフォームへの不安をまずは拭う。さらに、できあがる過程を経るに従い、顧客はホームテックへの信頼を深めていく。このようにして、信頼関係を構築することでリピートに繋がる。リフォームは頻繁に実施するものではないが、少なくとも周りにリフォームを検討している人がいたら、ホームテック経験者はその人にホームテックのことを話すだろう。これが次第に口コミになって広がっていく。

現場から生まれた「リピート客づくりの法則」

 以上三つの事例を紹介した。ここにはリピートを得るためのいくつかの法則が存在する。それをまとめると次のようになる。

一、 他社ではなかなか味わえない「オンリーワンサービス」を構築する
一、 リピート客づくりに、口コミを利用する
一、 リピート客づくりのため、仕組みをしっかり構築する
一、 顧客は「顧客ではなく個客」であることを意識する
一、 アフターフォローを軽んじてはいけない
一、 「リピート客づくりはファンづくり」を意識する

これら全てを満たす必要はない。せいぜい二つ以上を満たせれば、目に見えてこれまでとは違う結果が出てくるはずだ。自社の強みを生かした計画をしっかりと立てながら、決して無理をせず、一つずつできるところから始めることをおすすめする。