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サトーカメラ

2010年4月6日更新

現場の知恵と顧客の心理掌握で成功するリピート客づくり戦略

 売上をもっと大きくしたい――そう考えたとき、皆さんはどのようなことを思いつくだろうか。取り扱う商品の幅を拡げようという人もいれば、これまでとは違ったエリアに広告を出そうという人もいるだろう。また、人やお店を増やそうという人もいるかもしれない。このように手段はさまざまでも、多くの人は、自分の近くにある「新しいマーケット」に目を向けるのではないだろうか。

 しかし、新しい市場を開拓するということは、中小規模のお店にとって小さくないリスクを背負うことを意味する。狙った通りのレスポンスが得られないというリスクはもちろんのこと、レスポンスがあったとしても、それを維持するための膨大なコストが必要になることもある。それは多くのお店にとっては、受け入れがたいリスクであり、結果的に何も手を打つことができないということになりがちである。

 そこで提案したいのが「リピート」である。隣の芝生が青く見えると喩えられる通り、新規顧客と既存顧客の価値を正しく評価することが難しいなかでは、新しい市場に踏み出すよりも、いま目の前にあるマーケットに目を向けたほうが売上拡大への近道というケースも少なくない。事実、規模の大きさに関わらず、売上を伸ばしている企業やお店に目を向ければ、この厳しい競争環境のなかで、リピート客をうまく増やしていることがわかる。今の顧客が再び店に足を運び、もう一度注文することに力を注ぐことが、お店が永続的に繁盛するための条件と言っても過言ではないだろう。

 しかし、たとえリピートを狙うことがローリスクでかつ効率的な戦略だとしても、実際にリピート客を増やすには、アフターケアや付加サービスなど、直接的には売上につながらない部分に何らかのコストを投じなければならない。また、実際に効果が出てくるまではある程度の時間を要することも事実である。こうした経営資源の投下に、果たしてリピートが見合うものなのかどうかを理解するうえで、リピートの効果についてあらためて考えてみたい。

 リピートを狙うことの効果としては大きく二つの点があげられる。一つは、誰もが挙げる点ではあるが、顧客が繰り返して注文する「継続性」は、安定した経営基盤をつくるもとになるということだ。しかも、新規顧客獲得よりもリピート客づくりのほうが、広告宣伝などがかからない分、コストを低く抑えることができる。つまり、既存顧客とのリレーションシップを深めロイヤルティを向上させることで、リピート客から継続的に一定の売上を期待できるようになる。

 二つ目のメリットは、私たちが見落としていることだが、リピート客づくりは単に再びオーダーを受けるだけではなく、実は新規顧客を獲得することに繋がるのである。リピートを増やす行為そのものは、店のファンを増やすことになる。顧客のロイヤルティが高まれば、その顧客は次の新規顧客を「口コミ」によって引っ張ってくる。最近ネットの世界での「口コミ」が注目されているが、身近なところで「口コミ」の仕組みを構築できれば、新規顧客を効果的に増やすことにつながる。

 それでは、リピートを狙うには、どうしたらいいか。今回は事例とともに、次の三つの手法について説明する。

 一つめの事例では、もっともオーソドックスな手法、「ワン&オンリーサービス」でリピートを増やす方法について解説する。老舗のレストランやザ・リッツ・カールトンのようなホテルでは、従業員はお客様のその瞬間の気持ちを察して行動する。この「機を見るに敏」ともいえる、ホスピタリティ精神あふれるサービスを提供することで、顧客を魅了し、リピートにつなげている。これが「ワン&オンリーサービス」である。これは、レストランやホテルといった範囲だけでなく幅広く適用できる。事例では、東京の産婦人科病院のサービスを紹介する。

 しかしながら、ワン&オンリーサービスは、誰でもが簡単にできるものではない。また、ホスピタリティ精神あふれるサービスが店のコンセプトに合わないこともある。そのような場合は、二つめ、「売り方・場所・アイデア勝負」でリピートを狙う方法をおすすめしたい。これまでの商売のやり方では、リピートを増やすのは難しい。そんなときは、アイデアを駆使して売り方、売る場所に変化を加えてみる。そうすることで、リピートが自然と増える仕組みを構築する可能性が高まる。この事例としては、あるお菓子メーカーの新たな挑戦を紹介する。

 以上二つの手法に触れたが、一番目は方法として確立させるためには特殊なスキルが必要なもので、二番目は画期的なアイデアが出てこなければ意味がない。二つとも実現は難しいと考えている方もいるだろう。その場合は、ビジネスの基本でもある「信頼」を高めることでリピートを狙う、三番目の手法をおすすめする。どのように、何をもって信頼を高めるのか、具体的な手法も含めてリフォーム会社の事例を紹介していく。