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食品スーパーに専心「食の提案」で、難局を乗り切る − ジョイス 代表取締役兼社長執行役員 小苅米秀樹

2011年1月25日更新

コストをかけても“品質”を届ける

─新しいコンセプトだから、新しい什器や照明を導入したり、まず外装・内装を変えるということではないのですね。

小苅米 そうです。重要なのは見える部分ではなく中身ですから、とくに従業員の方々の意識改革は抜きにしては何も始まりません。

「食の提案型スーパーマーケット」ですから、従来の部門別の縦割り組織では対応できないことも、山ほど出てきます。縦割り組織からは、お客さまの食卓を飾るというメニュー提案は出てきませんから。

サラダアイランド

縦割り組織を壊すなかから生まれてきた「サラダアイランド」

 たとえば、鮮魚売場の平台で鍋物の提案をしようとしたときに、以前は鮮魚部門の商品しか並んでいませんでした。しかしそれでは鍋物の提案にはなりませんから、青果、日配、加工食品なども並べなければいけません。

 それを試行錯誤しながら、なんとか実現させようと努力しています。縦割り組織を壊すことは、各部門の長にとっては面白いことではありません。はじめのうちは抵抗や反発もありましたが、徐々に理解度は深まっています。

 三関店では「サラダアイランド」と称し、魚や肉を使ったいろいろなサラダを提供するコーナーを展開していますが、これもこの取り組みの一環です。これまでの考え方で各部門がばらばらに動いていたならばできませんでしたし、まだまだ中身的に改善の余地もありますが、いろいろな分野でさらに推し進めていこうと考えています。

─総菜売場では「生肉から焼いた焼き鳥」を1本100円で販売しています。

「南部鶏やきとり」コーナー

店内焼き上げの「南部鶏やきとり」コーナー。通常は1本100円。取材のこの日はセール中であり、99円で販売していた。

小苅米 そうですね。われわれも以前は、中国やタイで生産した焼き鳥を88円程度、安いときには58〜68円などで販売していましたので、当初この取り組みは社内でも懐疑の声が上がりました。

 ところが実際にふたを開けてみると、オープン時には毎日1000本を売り切りました。1本を焼くのに15分位かかりますので、焼き手はフル稼働でも間に合わないほどの盛況で、現在もかなりの数の日販があります。

 つまり、商売の仕方によって、まだまだ売上や業績は変えられるということです。ですから社内では、「トライ&エラー」で構わないからまず実際にやってみよう、そして「1人の知恵より100人の知恵」を集めながらよりよいものを創りあげていこう、と話をしています。

 自分たちで考え、成功と失敗を繰り返しながら経験値を積み重ねないとノウハウにはなりませんから、みんなで知恵の汗をかいていきたいと思っています。

 11年2月期上期は苦戦を強いられ下方修正する結果になっていますが、社内には、商環境や競争環境が厳しいことが原因なのではなく自分たちの努力不足が主因である、と話をしています。 (次ページへ続く