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店が変わる! 成功する手書きPOPの設計図

2011年2月23日更新

第7回 POPづくり・売場づくりを通じた従業員モチベーションUP法

 さて、今回のテーマは表題のとおり、「POPづくりや売場づくりを通して従業員モチベーションをアップさせよう」というものです。これまでの、どういうPOPをつくるか、という課題から目線をあげて、店づくりにおけるPOPの可能性について考えてみたいと思います。

 事業、あるいは施策への参画意識を高めることが、従業員の自主性につながり、組織全体の活性化、ひいては会社全体の業績向上にも良い影響を及ぼすことは皆様もご存知かと思います、しかし、実際の店舗経営において、従業員が参画できるというテーマは限られてしまいます。そのなかで、POPづくりや売場づくりは誰でも比較的取り組みやすく、役割も明確にしやすいため、モチベーションアップにつながっているケースが多く見られます。

 従業員に売場づくりを任せる前に絶対必要なことは、トップの思いや会社全体の方向性を明確にすることです。私が年に数回開催しているPOPづくり・売場づくり研修では、現場の方の問題意識を、生の声としてうかがう機会が多いのですが、中でも多いのが「社長(店長)が考えをコロコロ変えるのでやりづらい」とか「会社がどんな売場を目指しているのかがわからない」といった声なのです。従業員に任せたいのであれば、まずトップ層が明確な方向性(目的や目標)を示し、それに到達するための「手段」を任せるようにすればよいのです。

 売場づくりの場合であれば、売場の「どこに」「何を」「どのくらい」陳列するのかを計画する「棚割」は、基本的には店の責任者または、部門の責任者が行うべきでしょう。なぜならば、棚割によって商品の売行きや在庫管理に大きく影響を与えるため、会社や店の目標を理解した人でなければ決めることができないためです。これらが明確になった後に従業員に自分たちで考える場を与えればよいのです。「この商品を特に販売したいから、この商品が目立つように陳列してね」といった具合です。すると、比較的経験の浅い従業員でも、その商品が目立つような手法、つまり「陳列」を研究し実施しやすくなるのです。

 店全体のフレームを責任者が考え、現場の担当者がそれを手段として実行する。その分担が、売場にこれまでの知見と新しい視点をもたらし、永続的に売上を作る仕組みにつながるわけですが、いざ実行しようとすると、そのバランスや役割の線引きはなかなか難しいと思います。
 私はそこで、「保守7:革新3」の考え方を勧めています。

 売場づくりの場面において全社として保守すべきものは、
  (1)主力名物商品の設定
  (2)商品MD(品揃えと価格帯)
  (3)販促戦略のテーマ設定
を最低限とし、
 陳列方法や季節装飾、POPの内容などを従業員に任せます。取扱い商品が多い場合は部門ごとに売場責任者を置き、部門長が「保守7」の部分をとして指示するとよいでしょう。

 さらに、「革新3」の部分においては、トライ&エラーの連続となります。ここでは常にブラッシュアップが必要になるため、1〜3ヶ月に1回以上、「売場づくり成功事例会議」を行うとよいでしょう。こんな売場にしたらどの商品がどのくらい売れるようになったのか、お客様からどのようなお声をいただいたのか等、他の店舗や部門の人でも次の売場改善に活かせるよう、情報共有をするのです。場合によっては、年間MVPなどの表彰をしてもよいでしょう。この情報共有ができるのも、「保守7」である部分、会社や店舗の全体的な方向性が決まっているからこそです。

 もちろん、POPについても同じことが言えます。必ずしも手書きである必要はありませんから、手書きが苦手な人はパソコンを使って作成すればよいでしょう。同じ商品でも、POPを書く人によって表現内容は異なります。どのようなキャッチコピー、色使い、大きさ、形、説明文が良かったのかを検証しあうと、組織全体で成長することができるのです。

 これは「保守7:革新3」というのは1つの目安ではありますが、どんなに大きな変革を望んでいても、このバランスを意識しなければ、売上を大きく下げることにもつながります。これまでの視点とこれからの視点、責任者の役割と担当者の役割。このバランスは店づくりには欠かせないものですので、皆さんもぜひ意識してみてください。

 また、先にも述べましたが、店舗運営の中で、どんな従業員でも容易に取り組めるというテーマはほとんどありません。まずは売場づくりをモチベーションアップのひとつの手段とし、段階的に運営の中核にまで参画してもらうことが必要なのです。

 早いもので本連載も最終回となりました。これまで全7回にわたって、手書きPOPの充実手法をお伝えしてきました。「たかが1枚」の紙切れと思うのではなく、お客様に商品や店の魅力を伝えるための「接客代弁ツール」として充実させれば必ず効果は出てきます。何かひとつでも結構です、本連載をお読みになるだけでなく実行に移していただけると嬉しく思います。

著者プロフィール

今野 良香(こんの りょうか)

船井総合研究所コンサルタント。成蹊大学経済学部卒業後、船井総合研究所に入社。食品製品小売業のコンサルティングに従事し、「手書きPOP」と「売り場づくり」による短期間・ローコスト・リニューアルで業績アップを実現してきた。POPおよび売り場づくりの研修も行う。著書に『誰でもすぐにつくれる!売れる「手書きPOP」のルール』など。


第1回 なぜ今手書きPOPが注目されるのか?POPの役割と重要性
第2回 売れるPOPと売れないPOP
第3回 モノではなく「人」と「コト」で魅せる、次世代型POPの成功例
第4回 小売業だけではない!サービス業でも活躍する手書きPOP
第5回 自店の客層にあわせたPOP
第6回 POPノウハウの活用で書ける、当たる手書きチラシ