ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
EU2008年7月1日更新
Q.11 米国はハードクロムめっきの代替表面処理が取り上げられていますが、ハードクロムめっき処理加工ができなくなるのでしょうか。禁止している法令と内容を教えてください。

クロムめっきは、皮膜厚さによって装飾用クロムめっきと工業用クロムめっきに大別されます。JIS規格では皮膜厚さが0.5μm以下を装飾用クロムめっきとし、それ以上の皮膜厚さの場合を工業用クロムめっきとしています。工業用クロムめっきは硬質クロムめっきとも呼ばれています。工業用 (硬質)クロムめっきは、耐食性のほかに摩耗・摩擦、熱への耐久性に優れています。硬質クロムめっきの典型的な応用として、切削工具の表面、ピストンロッド、ピストンリングなどへの硬質クロムめっきがあげられます。

ところで、米国の空軍や海軍では大量の航空機やヘリコプターなどを保有しており、これらの重要部品には硬質クロムめっきが採用されています。現状では、工業用 (硬質)クロムめっきは6価クロムに頼らざるをえない状況にあり、めっき浴に使用される6価クロム塩は、発がん性や地下水汚染など、その強い毒性から鉛やカドミウムとならんで厳しい規制が行われています。このように労働安全衛生面や環境汚染面への規制強化から硬質クロムめっきが使用できなくなるという最悪の事態に備えて米国国防省の提案で「硬質クロム代替チーム」(HCAT: Hard Chromium Alternatives Team)が1996年に発足しています。 HCATの活動は、Webサイト (http://www.hcat.org/)から知ることができます。現在は、米国とカナダが中心となって活動しており、航空機製造会社や航空機会社の修理部門、軍の兵站所関係などの大規模な企業や事業所が主な会員となっていま誤解をまねかないように付言しておきますが、めっき後の硬質クロムめっきそのものの皮膜は金属クロムであり、特に規制の対象とはなっておりません。

2006年7月1日から施行となったEUのRoHS指令では電気、電子機器への6価クロムの含有は原則禁止となっています。この場合、問題となるのは6価クロム塩を使用するクロメート処理です。このクロメート処理は、安価で見た目もきれいな防食と装飾的効果を兼ね備えた表面処理技術です。しかし、皮膜中に水に溶け出す (可溶性)の6価クロムを含んでいるために金属アレルギーを引き起こす恐れがあることや電気製品、自動車などが廃棄されてから環境汚染への負荷が高いことなどから EUのRoHS指令やELV指令では、使用が原則禁止となっています。 そのため、毒性の低い3価クロムを使用したクロメート処理(「3価クロム化成処理」) への切り替えが進められています。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

関連リンク