ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
その他2008年7月1日更新
Q.99 ELV、RoHS指令における規制物質の分析方法に関して、公定法はイギリスの規格BS EN1122:2001「プラスチック-カドミウムの定量-湿式分解法」しかないように把握しています。ほかの方法はどうなのでしょうか。
たとえばIECのTC111でRoHS指令の規制物質の分析方法を検討していると聞いています。すでにRoHS指令が施行されていますが、IECの分析法が決まるまでどのような分析方法を使えばよいのでしょうか?

ご質問の主旨は、RoHS指令において規制される有害化学物質がカドミウム、鉛、水銀、6価クロム、PBB(ポリ臭素化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭素化ジフェニルエーテル)の6類であるのに対して、公定法として決まっているのがカドミウムの定量法であるBS EN1122:2001「プラスチック-カドミウムの定量-湿式分解法」の1つだけである。カドミウムの公定分析法としてこれ以外にもあるのかどうか、またカドミウム以外の5物質については公定法の分析はどうなるのか、ということだと解釈して回答します。

現在、規制6物質の分析法に関してはIECで電気・電子機器製品の環境面の標準化を担当するTC111で、WG(作業部会)3がIEC62321として検討しています。そのドラフトにはカドミウム、鉛、水銀などの金属やPBB、PBDEなどの樹脂難燃剤の分析法が含まれています。カドミウムの公定分析法については、IEC62321のドラフトの案がそのまま公定法になるかどうかまだ投票が済んでいないので分かりませんが、BS EN1122:2001をベースにしていると聞いています。

6価クロムの定量分析は難しいようで、金属類の湿式分解法とは異なる方法が引用されています(6価クロムの分析に関してはQ&A 83を参照ください)。

J-Moss(The marking for presence of specific chemical substances for electrical and electronic equipment)(JIS C 0950)の付属書3に特定化学物質6種類の測定方法が示されていますが、これはIECのWGで検討している方法を先取りしたものとされています。たとえばカドミウム、鉛の詳細分析はIEC62321と同じくICP・AES(誘導結合プラズマ発光分光分析)、ICP・MS(誘導結合プラズマ質量分析)、AAS(原子吸光分析)を用いています。

日本の環境省が「有害金属対策策定基礎調査専門検討会」を発足させ、平成18年12月26日に第1回会合を開いてRoHS規制対象品の有害金属含有量の測定法を定めることを目的に「製品等に含まれる有害金属等の含有量の測定について」を議題の一つに取り上げています。この資料の中ではスクリーニング(迅速法)と測定分析(精密法)に分け、精密法は(社)日本化学工業協会「化学製品中の特定微量成分測定方法の標準化・プラスチック化学分析法マニュアル」の6章 密閉系酸分解ICP・AESによるカドミウム、クロム、鉛の分析に準拠して実施するものとしています。クロムの分析は6価クロムでなく全クロムを測定する方法が示されています。またPBB、PBDEの分析はここには含まれていません。

(社)日本化学工業協会の案のように国内でも標準化しようとの動きもありますが、国際的に通用する公定法ができるまでは最も合理的な方法を選んで対処することになります。UKの国内法における分析の基本的な考え方は、測定法は自ら最も合理的な方法を選択して行う、としています。

ここで考慮しなければならないのは分析精度の問題で、ISO/IEC17025(JIS Q 17025)「試験所及び構成機関の能力に関する一般要求事項」の認定を取得した分析機関を活用するか、または自ら認定を取得する努力を傾注するのが望ましいと言えるでしょう。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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