ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
EU2008年7月1日更新
Q.59 金属の3層めっきの場合、1層ずつ上から分析しないといけないのでしょうか。1層目、2層目が鉛の場合、分析が難しく困っています。

ご質問では「金属の3層ニッケルめっきの場合に1層目、2層目が鉛の場合分析が難しい」ということですが、3層めっきが普及しているのはニッケルめっきの場合です。しかし現在、ニッケルめっきで1層目、2層目が鉛の場合というのは想定しがたく、光沢剤として鉛を中間または下層に入れる例も今はほとんど見当たらないと思います。

したがって、ご質問の主旨を「1層目、2層目が鉛の場合ではなく、1層目、2層目に鉛が含まれる場合」に変更してお答えします。3層めっきのような複層めっきの場合、基本的には1層ずつ上から分析する必要があります。RoHS指令の均質材料という考え方に従えば、均質材料ごとに分析する必要があるわけです。均質材料とは、欧州委員会が2005年5月のFAQ(2006年8月に変更されています)で取り上げて次のように解釈しています。

「均質とは、機械的方法によって異なる物質に分解できない素材でプラスチックス、セラミックス、ガラス、金属、合金、めっき、段ボール、樹脂、コーテイングなどの全体にわたって均一な組成のもの」。したがって、3層めっきのように各層ごとに組成が異なれば基本的には各層ごとに分析する必要があるわけです。

一方、EU RoHSの施行当局者間のインフォーマルネットワークで論議した中から形成された見解を2006年5月に「RoHS Enforcement Guidance Document]として発行しており、その中で「Focus on samples that can be separated from the equipment using ordinary tools」の見出しで、次のような見解を示しています。

要約しますと「均質物質の定義として機械的に分離するという概念は合意を得ている。テストされるサンプルは通常の道具を用いて装置から分離されたものに限られる。通常の道具とは試験所で代表的に用いられている道具を意味する。RoHS分析に用いられるより進んだ分析技術があるかもしれないが、現在はこの参考基準はない。均質物質の定義はRoHS指令を解釈するうえでのガイドであって、分析方法のガイドではない。均質物質の定義は、試験用のサンプルは機械的に分離されたものでなければならない、ということを意味していない。適した分析方法があれば用いてもよいであろう。分析目的のためにコーテイングを分離するのに化学的方法をもってすることも可能であろう。例としてコーテイングから6価クロムを水抽出するとか、スズ合金のコーテイングをコンポーネントから選択溶解で分離するなどがある。」

このような見解に従えば化学的に適切に薬剤を使い分けて、それぞれ性質の異なる金属層を分離または測定できる場合はその方法に従えばよいと考えます。もし下層に鉛が含まれている場合に、その上層と下層が正確に分離できなければ均質材料と看做して全部を素地から分離してめっき層内の鉛含有量を求めればよいと思います。

2005年12月に公示されたJ-Moss(JIS C 0950)では均質材料の例として、「塗装、印刷、めっきなどの単層、または複層の場合はそれぞれの単層ごとの状態、ただし複層を分離してそれぞれの単層ごとの数値を求めることが困難な場合には分離可能な最小単位を均質な単層と見做す」としています。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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