ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
EU2018年10月19日更新
Q.549 体外診断用医療機器指令(IVDD 98/79/EC)に適合した医療用測定器をEUに輸出するためのCEマーキングの対応は完了しました。WEEE指令への対応について教えてください。

貴社が取扱っている体外診断用医療機器指令(IVDD 98/79/EC)に適合した医療用測定器はWEEE(II)指令(2012/19/EC)の対象です。なお、WEEE(II)指令第2条4項で「(g)使用期限以前に感染が予想されるような場合の医療用機器および体外診断装置および移植用医療機器」はWEEE(II)指令の対象外ですが、その場合は廃棄物枠組み指令(2008/98/EC)附属書IIIの有害廃棄物としての対応が必要です。

WEEE(II)指令ですが、各種義務の対象となる「生産者」として、インターネット販売などの場合にはEU域外企業も「生産者」に位置づけられますが、そのほかのケースではEU域内の製造者や輸入者が「生産者」として位置づけられます。
 貴社はIVDDを製造してEUに輸出されていますので、基本的にはEU域内の輸入者がWEEE(II)指令に対応することになります。ただし、輸入者だけでは対応しきれない部分もあるため、貴社のようなEU域外メーカーの協力が必要となります。

WEEE(II)指令の要求事項として、貴社に関わりがある事項について概説します。

1.上市前に輸入者との調整・確認が必要な場合がある項目

(1)生産者登録
 まず、EU域内輸入者は電気電子製品を上市する前に、「生産者登録」を行わなければなりません。生産者登録では、輸入者や製品の情報に加え、回収・処理・再使用などにかかる費用負担やそのための仕組みの構築などのWEEE(II)指令が求めている義務を順守するための方法などを提出しなければなりません。そのため、費用負担や回収・処理・再使用などの仕組みの構築について事前に決めておくことが必要となります。

(2)回収、処理、再使用などにかかる費用負担と仕組みの構築
 輸入者は、廃電気・電子機器を無償で回収する仕組みを自社独自で構築するか、すでに分別回収システムを運営している複数企業による共同スキームに加入しなければなりません。また、そのための費用も負担しなければなりません。
 なお、医療施設の医療従事者向けの製品など、消費者向け以外の電気・電子製品の場合は、輸入者と使用者との契約によって、費用負担を両者で調整することが可能です。

2.製造者が製品設計時に対応が必要な項目

廃電気・電子機器とその部品および材料の再使用、分解、回収を容易にするよう、環境に配慮した設計が要求されます。

3.製造者に協力が求められる項目

(1)使用者への情報提供
 電気・電子製品には分別回収を促進するために、附属書IXで示されるシンボルマーク(詳細はEN50419)を製品に表示しなければなりません。また、分別回収が必要な旨や分別回収の方法、危険物質の含有情報などを提供することも必要です。

(2)処理施設への情報提供
 生産者は、新製品を上市後1年以内に、再使用、処理のために必要な情報をマニュアルまたは電子媒体(例えばCD-ROM、オンラインサービス)の形式として、無償で処理施設に提供しなければなりません。

WEEE(II)指令の概要は以上ですが、WEEE(II)指令については本コラム(2018年6月8日コラム)でも紹介しておりますので参照ください。

なお、WEEE(II)指令はEU機能条約第192条(1)に基づき制定されており、各加盟国が自国の実情に合わせる形で具体的な手続きや運営方法を定めています。そのため、輸入者が対応しなければならない具体的な内容は上市する加盟国の国内法の確認が必要です。英国の国内法はUK WEEE規則1)、ドイツの国内法は電気・電子機器法(ElektroG)2)です。

WEEE(II)指令の概要は以上です。ただし、ご質問に記載されているIVDD(98/79/EC)は、2017年5月25日に制定され2022年5月26日から施行となるIVDR(Regulation(EU)2017/746)3)に移行しますので注意が必要です。
 このIVDRの第5条(上市と稼働)では、上市および稼働の条件として本規則の順守と附属書Iで定められた安全性および性能要件を満たすことが求められています。この附属書Ⅰには、廃棄物に関連する事項として、装置、付属品、消耗品の安全な廃棄を容易にするために警告や注意事項などを取扱説明書に記載することが定められています。また、必要に応じて含まれる情報として、「(i) 人に起因する潜在的に感染の危険性がある物質で汚染された消耗品などの感染または微生物の危険」との記載があります。これはWEEE(II)指令第2条4項に2018年8月15日以降の除外項目として「(g)使用期限以前に感染が予想されるような場合の医療用機器および対外診断装置および移植用医療機器」と規定されていることと関連があります。

1)http://www.legislation.gov.uk/uksi/2013/3113/contents/made
2)https://www.gesetze-im-internet.de/elektrog_2015/
3)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32017R0746

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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