ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
EU2018年7月20日更新
Q.543 RoHS指令での均質物質の定義について教えてください。窒化処理で鋼の表面を硬貨させた場合や、金属を高温に加熱した場合の表面や粒界などの界面が偏析した場合は均質物質であると考えてもいいのでしょうか。

RoHS(II)指令では、第3条「定義」の(20)で、「均質材料」(homogeneous material)とは、材料の組み合わせを成しており、解体されることができないか、ねじを外す、切断する、押しつぶす、研削する、研磨するプロセスのような機械的な行為によっては異なる材料に分けることができない、全体が均一に構成されている1つの材料、または材料を意味する」と定義されています。

表面コーティングについての解釈は、“Measures to be implemented and additional impact assessment with regard to scope changes, pursuant to the new RoHS irective Final Report”1)(2012年6月発行)で「5.5均質材料としての薄いコーティング」に記述されています。表面処理は、研磨のような機械的処理により分離することができるなら均質材料と定義されます。
 さらに、薄いコーディングの指針として、「IC、LSIチップの表面保護用、絶縁膜として使用されるパッシベーションコーティング以外では、RoHS指令で制限された物質の含有の可能性は非常に限られており、通常100nm未満のコーティングは化学的に分析する必要はありません」と記されています。また、附属書IIIで、「RoHS制限物質が存在しないという説得力のある証拠をサプライヤーに提供している場合には化学的な分析は必要ありません」と記されています。

今回のご質問の窒化処理は、新たな被膜を付加するのではなく、化学的に表面に被膜を形成しているもので被膜を分離することは困難であり、合金全体が分離不可能な均質材料であると考えられます。貴社の処理のプロセスで、新たな物質を付加しておらず規制物質を含まれないならば、均質材料か否かに関係なく、物質規制の順守を製造者が宣言するために整備する必要がある技術文書(EN50581)として、材料証明やSDSなどで貴社のプロセスを説明できることをお勧めします。

一方、鉛の偏析(部分的に濃度が高い部分が生じる)については、意図せずにRoHS指令の違反となる可能性もあり注意が必要です。鉛の適用除外では、6(a)機械加工のために合金成分として鋼材中および亜鉛めっき鋼板中に含まれ0.35wt%までの鉛、6(b)合金成分としてアルミニウムに含まれる0.4wt%までの鉛、6(c)鉛含有量が4wt%以下の銅合金、とされていますが、偏析により重量比率を超えてしまう可能性もあります。
 過去に、有鉛はんだからのコンタミあるいは鉛フリーはんだの偏析と思われる違反事例が、安全に関するリスクが高い法規制不適合製品が発見された場合にEU委員会に通知されて公開されるRAPEX(Rapid Alert System:非食品製品即時警報システム)2)で報告されています。

貴社の製品が均質材料であるか、RoHS制限物質を含有していないかについては、貴社の判断でサプライヤーに証明できる取組みとして、例えば、製造段階のプロセスの管理として、手順を明確にし、手順書に落とし込み、定期的に実施状況を監査する仕組みを構築することをお勧めします。ISO9001などの品質マネジメントシステムがすでに貴社の中で構築されていれば、その仕組みの中にRoHS指令の要求事項を取り入れ、その中で管理していくことが考えられます。具体的には、経済産業省より発行されている「製品含有化学物質管理ガイド 企業担当者向け」3)で、製造工程における製品含有化学物質管理の方法が説明されています。

1)http://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/pdf/1.%20Biois%20study%20-%20RoHS_II_IA_Final%20Report.pdf
2)https://ec.europa.eu/consumers/consumers_safety/safety_products/rapex/alerts/?event=main.search
3)http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/reports/H25_sc_tyousa1.pdf

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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