ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
EU2018年3月2日更新
Q.529 電気めっきでは、RoHS指令での閾値を超えた無水クロム酸をめっき液として利用しても、めっき面は金属クロム(0価)となるのでRoHS指令適合と考えてよいのでしょうか?

無水クロム酸(六価クロム)は、RoHS指令で制限されている物質の一つですが、適用は、最終製品に対してであり、めっき液など工程内化学物質としての利用は、適用となりません。このことは、EU環境総局のホームページ内にあるRoHS指令のFAQ Q9.71)に記載があります。よって、ご質問のケースでは、加工されてできためっき面がRoHS指令に適合しているかどうかが問題となります。
 RoHS指令第4条の2項では、均質材料中の含有量について規定が設けられています。ここでいう均質材料とは、電気めっきにより無水クロム酸から形成されるクロムめっき皮膜を指すと思われます。電気めっきにより形成されるクロムめっき皮膜は、無水クロム酸が還元された金属クロム(0価)であり、金属クロム(0価)は、RoHS指令で制限されていない物質であるため、めっき面自体は、RoHS指令に適合しているといえます。
 めっき表面が無水クロム酸フリーとなることについては、REACH規則において欧州企業が提出した機能性めっきや装飾性めっきなどの認可申請の中にも情報として記述があります。
 ただし、顧客に対して適切な情報提供をするためには、以下のような対応も必要と思えます。

(1)自社内の対応
 無水クロム酸は、電気めっきにより金属クロム(0価)となります。しかしながら、めっき表面には、防食性を高めるために形成するマイクロポーラスなどの細孔があり、洗浄不足など工程内に問題がある場合、この部分に無水クロム酸が残留してしまう可能性があります。
 無水クロム酸の残留を判断する方法としては、国際規格であるICE62321附属書Bに「金属試料無色および着色防食皮膜中の六価クロム確認試験」にジフェニルカルバジド溶液を使用したスポットテスト法や沸騰水法の規定があります。このような試験を利用することにより、製造しためっき製品に無水クロム酸が閾値以上に含有していないことを確認することができます。
 また、工程に起因する無水クロム酸の残留を継続的に防止していくため、自社の品質マネジメントシステムなどを利用した管理体制をもつことも有効と思われます。

(2)社外への対応
 顧客からは、RoHS指令に適合していることを確認するため、整合規格であるEN50581:2012に基づき、サプライヤー宣言書、材料宣言書、分析試験結果などの情報を求められることが想定されます。
 顧客から要求される情報は、顧客との関係性などにより異なってきますので、これらの情報を必要に応じて提出できる体制をもつとともに、無水クロム酸の取り扱いなどについて、自社工程に対する顧客の理解度を高めていく活動も有効と思われます。

電気めっきにおける無水クロム酸の使用は、クロムが還元され0価となる加工のため、めっき面自体は、RoHS指令に対して適合といえます。ただし、制限されている物質を使用する工程を含むため、サプライチェーンに対し、適切な情報を提供できる体制を整備していくことが必要と思えます。

1)http://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/pdf/faq.pdf

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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