ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
その他2017年3月31日更新
Q.503 RoHS指令に対する順法確認方法として、「制限対象物質の含有可能性」と「サプライヤの信用格付け」のマトリックスが紹介されていますが、これはどのような考え方なのでしょうか?

RoHS指令の整合規格であるEN50581では、最終組立製品に含まれるすべての材料に独自の試験を実施することは非現実的であり、製造者はサプライヤと連携して法令を順守していることの管理や法令順守の証拠として技術文書を集めることが認められているとされています。そして製造者は技術文書を作成するにあたり「制限対象物質の含有可能性」と「サプライヤの信頼性」の評価に基づき、「サプライヤ宣言書および/または契約上の合意」「材料宣言書」「分析試験結果」といった材料、部品、及び組み立て部品に関する確証文書をサプライヤから収集することとされています。

この考え方の1つとして、BOMcheckを運営するエンバイロン社は「RoHS2技術文書の要件に準拠するBOM checkならびにEN50581の使用手引書」1)のなかで、製造者がサプライヤから確証文書を収集するための評価基準をマトリックスで判断することを推奨しています。
 このマトリックスは「制限対象物質の含有可能性」を横軸に、「サプライヤの信用格付け」を縦軸にとり、それを組み合わせてリスクベースで評価を行うことにより、製造者がサプライヤに要求する確証文書を確定させるものです。

リスクは「リスク=ハザード(法的義務や有害性)×ばく露・確率(起こりやすさ)」の式で表すことができ、たとえハザードが大きい場合であっても、ばく露・確率(起こりやすさ)が非常に小さければリスクは低くなります。確率(起こりやすさ)は管理体制を強化することによって小さくすることができるため、「制限対象物質の含有可能性」が高い部材であっても「サプライヤの信用格付け」が高く、適正な管理体制が築けていれば、リスクは低く評価することができます。

以上のように2軸を組み合わせることにより、納入される部材に制限対象物質が含有するというリスクが高いと評価できれば、より厳しい確証文書を要求し、そのリスクが低ければ簡易な確証文書を要求することになります。なおマトリックスの構成についてはQ.498にて詳しく説明しておりますので、ご参照下さい。

どのような文書を要求すべきかを決定するための評価マトリックスの例

この手順書では、このマトリックスの組み合わせは一例にすぎず、「制限対象物質の含有可能性」と「サプライヤの信用格付け」の組み合わせで、どのような確証文書を要求するかを決めるのは製造者次第であるとしており、「制限対象物質の含有可能性」がHighの部材を供給する「サプライヤの信用格付け」が最も低いタイプCのサプライヤのみに分析試験結果を要求する場合や「サプライヤの信用格付け」の評価のみに基づいて確証文書を確定する場合(すべての部材の「制限対象物質の含有可能性」をHighとして扱う)もあるとしています。

例えばこのマトリックスでは、含有可能性がHighの部材において、タイプCのサプライヤに対しては分析試験等、厳しい確証文書の提供を求めることになります。ここで信頼性の高いタイプAと信頼性の低いタイプCの2社のサプライヤがある場合、タイプCのサプライヤがそのような文書を提出できないという状況になれば、より管理がしっかりしている代替サプライヤであるタイプAのサプライヤに切り替えることも検討するという判断を行うことができます。
 このマトリックスでは、「サプライヤの信用格付け」が最も高いタイプAのサプライヤであれば、「制限対象物質の含有可能性」に関わらず、分析試験結果を要求されることはありません。分析試験結果は確実性の高い文書ですが、費用や手間を要するため、サプライチェーン全体のコストアップに繋がります。

製造者はサプライヤとの関係性を高め、サプライヤにおける規制物質の品質管理体制を構築していくことにより、「サプライヤの信用格付け」の評価を高めていくことができます。これにより要求する確証文書がより負担の少ないものになれば、サプライチェーンの最適化にも繋がることになります。

1)https://www.bomcheck.net/jp/rohs

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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