ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
EU2016年12月9日更新
Q.496 RoHS指令の適用開始前に上市した製品は、適用開始後EU市場から撤去する必要があるのでしょうか?

RoHS(II)指令の要求事項は、上市時点に適用され、さらに最終使用者が初めて使用する時点までのサプライチェーンの在庫まで適用されます。
 製造者、輸入者は上市の時点で、流通業者はサプライチェーンの在庫に義務があります。
 この義務について、整理してみます。

1.適用時期

RoHS(II)指令は2011年7月22日に発効し、2013年1月3日から施行されました。移行処置として、第2条2項で、「第4条3項および第4条4項の規定(製品カテゴリ別適用日)を侵害することなく、指令2002/95/EC(RoHS(I)指令)の適用範囲外であった電気電子機器(EEE)が、この指令に従っていなくても加盟国は2019年7月22日まで市場で継続して利用できるよう規定すべきである」としています。
 現時点でRoHS(II)指令の適用を受けないカテゴリー11(既にRoHS(I)指令(2002/95/EC)で適用となっていた8種類のカテゴリーにカテゴリー8(医療用機器)とカテゴリー9(監視および制御装置)を加えた10カテゴリーに含まれないその他のEEE)は、2019年7月22日から、RoHS(II)指令が順次適用されていきます(詳細はQ493参照)。

2.上市日の解釈

 RoHS(II)指令における「上市」の定義は以下のようになっています。

  • EU市場で電気電子機器を最初に利用可能にすること
  • 「市場で利用可能にする」とは、商業活動の一環として有償、無償にかかわらずEEEをEU市場で流通、消費または使用のため供給すること

RoHS(II)指令はニューアプローチ指令の1つであり、基本的な考え方はニューアプローチ指令の実施ガイドの位置づけであるブルーガイド(「The Blue Guide on the implementation of EU product rules 2016」1)、以下BG)に従います(2014年11月21日コラム参照)。
 BGでは「市場で利用可能とする」ことを、「商品は、商用活動の過程で、有償支払いか無料かにかかわらず、EU市場で流通、消費または使用のために供給された場合、市場で入手可能となる」(引用BG 2.2項)としています。利用可能の概念は、個々の製品(型式やシリーズではなく)に適用されるとしています。
 同時に「上市」は所有権が移転された段階であると説明しています。所有権の移転された段階とは、EU域内の輸入者や製造者から第三者への所有権の移転と考えられます。例えば、EU域外企業(日本企業)がEUの輸入者に税関経由で引き渡す場合や、EU域内企業の工場で完成し自社倉庫に在庫させた場合、輸入者が所有したままで倉庫に在庫する場合は「所有権が移転」していませんので「上市」とはなりませんので注意が必要です(Q4732014年12月19日コラム参照)。
 RoHS(II)指令第4条第1項で「加盟国は、上市されるEEEは修理、再使用、機能変更または能力向上のためのケーブルおよび予備部品を含み、附属書IIにリストされている物質を含有しないことを確実にしなければならない」としています。上市する個々の製品がその時点で適用される規制に適合していなくてはなりません。
 上市日は、EU域内製造者であれば工場出荷日、域外国ではEUの輸入者が出荷する日と解釈されます。

3.物流在庫の扱い

RoHS(II)指令のFAQ2)のQ2.3では、「第2条2項の恩恵を受けた製品は2019年7月22日までは完全に市場にアクセスできるということを意味する。一方、以前に上市していたとしても、その期日以降はこれらの製品はすべて市場に残ることはできない」との記載があります。
 「その期日以降はこれらの製品はすべて市場に残ることはできない」は、上市後の最終使用者が初めて使用する時点まで、物流在庫と解釈できます。
 RoHS(II)指令第10条(流通業者の義務)b項に、「流通業者はEEEが第4条に適合していないことを確信するか適合していないと信ずるに足る理由がある場合、当該流通業者はそれが適合するまで市場で利用可能としてはならず、その結果を製造者、輸入者および市場調査当局に通知しなければならない」としています。
 最終使用者の視点からは当然の要求ですが、製造者・輸入者が上市(所有権を移転)した後で、物流在庫のリコール要求に近いものです。
 トレサビリティの確保、売買契約が重要になると思われます。

1)http://ec.europa.eu/DocsRoom/documents/4942/attachments/1/translations/en/renditions/native
2)http://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/pdf/faq.pdf

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

関連リンク