ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
その他2016年11月11日更新
Q.494 電気クロムめっき処理をしていますが、顧客から六価クロムのコンタミのリスクがあるとして、検討するように通知が来ました。処理後の品質やコスト、作業面で六価クロムを使用したいのですが、どのように対応したらよいでしょうか?

クロムめっきには金属めっきと化成皮膜処理があります。
 (1)金属クロムめっき
  めっき作業では、めっき液に六価クロムの液を使用します。金属の表面は金属クロム(0価)となっていて、表面には洗浄することで六価クロムはなくなります。
 (2)化成皮膜処理
金属表面を化学的に処理して、その表面に不溶性化合物の被覆を生成させて、耐磨耗、耐食性などを増すことを狙っています。含有量は30-700mg/m2程度で、皮膜の色により異なります。従来の化成皮膜は六価クロムでしたが最近は三価クロムに置き換わってきています。化成皮膜中に水酸化クロム(三価クロム)などが含有されています。

次に顧客が懸念されるコンタミについて整理すると、金属クロムめっきでは、化成皮膜処理と異なり表面には六価クロムを含有していません。しかし、めっき部分に細くて長い穴などがあると、めっき後の洗浄で穴にめっき液が残ってしまうというコンタミの可能性があります。
 また、クロムめっき面は多孔質で、六価クロムを使用しためっき液が洗浄しても残る可能性があるとして、特別な処理をしているめっき企業もあります。
 さらに、作業者の健康にも配慮する必要があります。めっき作業中には六価クロムを使用することから、作業者は人体に有害な六価クロムを取り扱わなければなりません。

顧客はコンタミリスクを心配し、時には六価クロムフリーめっき要求などの要求をする場合があります。
 顧客は基本的にEN50581によるサプライヤー管理を行いますが、その基本はリスクベースとなります。顧客の立場からは、リスク評価により、サプライヤーの貴社に対するRoHS適合を確認するための要求文書を決定します。

貴社の評価 タイプA タイプB タイプC
RoHSの知識 深い理解 深い理解 理解がない
適合保証するマネジメントシステム システム有 システム有 システム無
貴社内の調達材料の適合性分析 分析、SDS確認サプライヤ管理実施 部分的に分析、SDS確認し、サプ
ライヤ管理実施
実施していない

顧客は貴社評価により、貴社からの納入部材のRoHS適合を確認するための要求文書を決めます。
 金属クロムめっきであれば、例えば、次のように貴社のレベルにより指定がされます。
 ・タイプAサプライヤー:
 貴社の総括的な順法宣言書または顧客とのグリーン調達の覚書の取り交わしとISO9001などの取引先評価(第二者監査)など
 ・タイプBサプライヤー:
 タイプAサプライヤーの確証に加えて、定期的(ロットや期間)に順法報告の提出や分析試験報告書など
 ・タイプCサプライヤー:
 タイプBサプライヤーの確証に加えて、QC工程表(作業要領書など)の提出、QC工程表変更通知など

顧客のRoHS指令順法評価により、貴社の取組み要求が異なります。品質やコスト面で六価クロムを使用しなければならないとすれば、顧客の信頼を得るための取組みをして、顧客と貴社の双方の信頼とリスク負担が折り合える点を探すことになります。
 顧客は、めっきの作業内容が理解できていないことが多々あり、理解していないまま、時には過剰な要求になる場合があります。
 顧客と情報交換、相談をすることが肝要に思えます。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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