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ここが知りたいRoHS 指令

Q&A:EU

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Q.443
金属クロムを含む金属を溶接した際、その溶接ヒュームに六価クロムが含まれるという話を聞きました。このような場合、非含有をどのように担保すればよいでしょうか。

A.443

金属クロムなどを含有するステンレス鋼を高温で溶接すると酸化スケールにより溶接部が黒くなります(溶接焼け)。
 溶接部の解説およびその除去方法などは一般社団法人日本溶接協会のQ&A1000に詳しく解説されています。

また、大気中に金属ヒューム(金属蒸気で「溶接ヒューム」ともいう)が生じます。
 この酸化スケールや金属ヒュームには六価クロムが含有されている可能性があります。これらの酸化スケールおよび金属ヒュームは溶接物の性能に寄与せず、意図的に付加したものではないので、不純物もしくは副生成物と解釈することができます。

RoHS指令では「意図的な含有(意図的な添加)」と「不純物」を区別せず、附属書IIで定められた物質と最大許容濃度以下にすることが要求されています。
 酸化スケールなどの副生成物の規制基準は副生成物の有害性により異なります。また、溶接については解析が進んでいるので、組成や界面の状況か把握することが可能ですが、めっきなどのように明確に把握できない場合もあります。
 このような点を踏まえたうえでRoHS指令の順法対応を考えてみます。

RoHS指令では、上市する電気電子機器について六価クロムなどの特定有害物質の非含有への適合を宣言し、CEマークの貼付が義務付られています。
 CEマークを貼付するためには、適合宣言書およびその根拠となる技術文書を作成することが求められています。この技術文書を作成するためには、調達部品の非含有を担保する書類が必要です。

技術文書を作成するためのガイドラインEN50581「有害物質の使用制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書」では、担保するための書類として信頼性の高い調達先に対しては材料宣言書(非含有証明)、信頼度が低い調達先に対してはEN62321(IEC62321)に対応した分析試験結果を要求すべきとしています。

IEC62321は、RoHS指令が対象とする6物質の分析試験方法を定めた規格です。
 六価クロムの分析試験方法については、IEC62321附属書Bにおいて熱水抽出―ジフェニルカルバンド吸光光度法が提案されています。
 熱水抽出―ジフェニルカルバンド吸光光度法とは、試料を熱水中に10分間浸透させ、溶出した六価クロムをジフェニルカルバシドで発色させて吸光度を測定することで六価クロムの濃度を求める方法です。この方法はクロメート皮膜中の六価クロムの分析試験に使用される方法です。

なお、溶接棒を使用する場合において、金属ヒューム中の化学物質が「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進にに関する法律(PRTR法)」に抵触するか否かを判定するための手段として、日本溶接棒工業会(現一般社団法人日本溶接材料工業会)が「アーク溶接材料を対象としたPRTR排出量の算定方法」を作成していますので参考になります。

理論的にはステンレスの溶接や溶接棒を使用することにより、溶接焼け部や金属ヒュームに六価クロムが生成されますので、厳密には上述の対応が必要となります。
 しかし、現実的には重量比の分母の解釈や溶接棒からの六価クロムの溶出量などにもよりますが、六価クロムの濃度は最大許容濃度に満たないため大きな問題になっていないようです。

一方、RoHS指令とは別に溶接焼けや金属ヒュームは製品の品質や職場環境の視点で管理が求められます。例えば、溶接焼けはテンパーカラーといわれる色が着きますので、酸洗い処理が必要であり、この処理により付着した金属ヒュームや酸化スケールは除去されます。

なお、金属ヒュームの六価クロムに関しては、労働安全衛生法で空気中0.5mg/m3以下であることが要求されるなど国内の法律でも規制されています。
 この対策により、結果としてRoHS指令基準が担保できると思われます。

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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