ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

Q
EU2014年6月20日更新
Q.429 製品含有化学物質における「意図的含有」と「不純物」との区別はどうつけるべきでしょうか?リン青銅や真鍮に含まれる微量の鉛はどちらと判断すべきでしょうか?

RoHS指令では「意図的な含有(意図的な添加)」と「不純物」を区別せず、附属書IIで定められた最大許容濃度以下または超過しているかが判断基準となっています。つまりRoHS指令では、意図的な添加または不純物のいずれであっても、最大許容濃度以下にすることを求めていることになります。
 このようにRoHS指令では意図的な添加や不純物は定義されていませんが、サプライチェーンの情報伝達で利用されているアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)の「AIS・MSDSPlus解説書(第3.1版)」では、それぞれ次のように定義されています。

不純物:製品機能上、特定の役割が与えられておらず、なおかつ製品中のCAS番号(あるいはその他の識別番号)で特定された化学物質とは別のCAS番号(あるいはその他の識別番号)を有する物質とする
意図的添加:対象物に一定の性能を持たせるために添加された状態をいう

ご質問にある通常のリン青銅(C5191、C5210など)や真鍮(C2680、C2801など)に含まれる微量な鉛やカドミウムは、同物質に製品機能上の役割が与えられているわけではないため、不純物であると考えます。
 ただし、快削黄銅棒(C3604など)では、快削性を高めるために鉛を1.8~3.7%含有しており、この場合は鉛が製品の機能に寄与していることから、意図的な添加であるといえます。
 なお、「銅及び銅合金の棒」に関するJIS H3250は2010年に改訂され、鉛レス・カドミウムレス快削黄銅棒(C6801やC6802など)及び耐脱亜鉛黄銅棒(C3531)が新たに規格化されました。

ただし、REACH規則への対応など、閾値が設定されていない化学物質の情報伝達が求められるようになり、JAMPでは管理対象物質の報告にあたり次のような基準が示されています1)

  1. 意図的添加の場合は、法規等の基準に関係なく、添加した量/濃度を報告する。
  2. なんらかの方法で知りえた場合は、原則としてその値を報告する。
  3. 意図的添加以外の成分(上記2を含み、不明成分は除く)については、MSDSPlusを提供する企業が、川下企業への配慮、製造方法、含有可能性、情報伝達期限などを考慮して善意を持って自主的に報告する。報告する場合は、参考閾値としては法的閾値がない場合は、当面REACH等対応レベルを考慮して0.1%を目安に考えている。
  4. 不明成分は報告対象外とする。
  5. いずれの場合も法規制により報告が義務付けられている場合は報告する。

このように、RoHS指令では意図的な添加と不純物の区別は求められておりませんが、JAMP等の業界団体では、サプライチェーンにおける情報伝達では意図的な添加は開示を必須とし、不純物であっても何らかの情報で知り得た既知の情報であれば情報開示することを推奨しています。

1)http://www.jamp-info.com/faq_old/ais/faq0910-124

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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