Q&A:EU
Q.215
製品の表面を幾層かにコーティングした場合、表面の規制物質に対する含有率の規制は、各層ごとに対する閾値が対象でしょうか、もしくは総重量に対する閾値が対象でしょうか?
A.215
現行のRoHS指令では、製品の表面にコーティングを何層かした場合、結論としてトータル重量ではなく、コーティングの各層を分母として含有率を測定して、各層ごとに判断すべきだと考えます。つまりそのどれか1つの層でも閾値を超えるとその製品は不適合となります。
RoHSでは規制物質の均質材料中の含有率を以下のように定めています。
- 最大0.1wt%(1,000ppm)のもの:鉛、水銀、六価クロム、PBB、PBDE
- 最大0.01wt%(100ppm)のもの:カドミウム
含有率を計算する分母である均質材料(homogeneous materials)はRoHS指令では定義されていず、2006年8月に改定されたFAQの2.3項で以下のように説明しています。
均質材料とは、異なる材料に機械的には分離できない材料を意味する。
「均質」とは「全体にわたって均一な組成」であることであり、例として単一のプラスチック、セラミックス、金属、合金、紙、ボード、樹脂、コーティングがあげられる。
「機械的な分離」とは、材料が、ねじの取り外し、切断、破砕、研削、研磨など機械的なプロセスによって分別されることを意味する。例えば、
- プラスチックカバーは、他の材料でコーティングや接着がされていない1種類のプラスチックからなる場合は「均質材料」である。この場合、最大許容濃度はそのプラスチックに適用される。
- 金属線が非金属材料で被膜されている電気ケーブルは、異なった材料が機械的なプロセスで分離できるので「均質材料」ではない。この場合、最大許容濃度は分離されたそれぞれの材料に適用される。
- 半導体パッケージは、プラスチック成形材料、リードフレーム上のスズのコーティング、リードフレームの合金、金のボンディングワイヤーなど多くの均質材料を含んでいる。
この説明から、前述の通りコーティングの各層を分母として含有率を測定して、各層ごとに判断すべきだと考えられます。分離の手法については「FAQでの定義は、試験サンプルは機械的に分離されたものに限るということではないので、分析目的のために化学的方法をもってすることも可能だ」という見解も示されていますので注意が必要です。
また、日本のJ-Moss(JIS C0950)では均質材料自体の定義はRoHSと同様ですが、付属書中の「含有率算出の考え方」の項で、「基準値の分母」をつぎのように示しています。
「(基準値の分母は)塗装、印刷、めっき等の単層。また、複層の場合には、それぞれ単層ごとの状態。ただし、複層を分離してそれぞれの単層ごとの数値を求めることが困難な場合には、分離可能な最小単位を均質な単層とみなす」
「困難」をどの程度と判断するかはケースにより異なってくると思いますが、デューデリジェンス(なすべきことをする)を踏まえてご参考となさってください。
なお、中国RoHSでは、標準SJ/T11363-2006「電子情報製品中の有毒有害物質の限度量に関する要求」で、「金属めっき層には鉛、水銀、カドミウム、六価クロムは故意に添加してはならない」とされています。「故意に添加してはならない」については、「『電子情報製品の汚染制御管理方法』良くある質問(四十六問答)」で、要約しますとつぎのように説明しています。
- 「意図的な添加」という考え方は、金属めっきを均質物質に分解することが困難であるという問題のために導入された。
- 金属めっきは普通の状況では意図的に使用・添加をしない限り有害物質が基準値を超えることはない。
- 標準を超えて使用することが見つかれば一律に罰せられる。
ご参考ですが、現在EUではRoHS指令改訂の検討が進められています。その欧州議会の改訂草案では、
- 全体が単一の物質で成っているもの。
- 異なる材料に機械的には分離できない複合材料(表面コーティングを除く)。
- 表面コーティング。
を均質材料と定義することが提案されています。今後の情報に注意が必要です。
2010年2月26日更新
当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

