ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

2019.01.18

廃プラスチック規制の潮流

1.潮流

SDGs(持続可能な開発目標)1)が新たな世界目標となり、日本でも多くの企業が対応を迫られています。
 SDGsは17目標と169ターゲットがありますが、第14目標(海の豊かさを守ろう)は、"海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する"です。ターゲット(14.1)は、"2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。"です。
 最近の海洋汚染として話題になっているのが、大きさ5mm以下のプラスチック(マイクロプラスチック)です。マイクロプラスチックの状況については、"海上保安庁が試験的に実施したマイクロプラスチックのサンプリング(海洋情報部研究報告第56号平成30年3 月27日)"2)などで示されています。
 SDGsの国を上げての取組みやマイクロプラスチックの海上保安庁の報告のような海洋汚染の深刻さから、多くの国が廃プラスチックの規制を強化しています。

2.EUの動き

循環経済におけるプラスチックのためのヨーロッパの戦略(A EUROPEAN STRATEGY FOR PLASTICS IN A CIRCULAR ECONOMY)3)によれば、2015年の集計では、欧州全体でプラスチックは年間49百万t生産され、廃プラスチックは年間25.8百万tでその59%が包装材となっています。廃プラスチックは、リサイクル30%未満、埋立て処分31%、焼却処分39%になっています。
 海浜でのゴミは、使い捨てプラスチック50%、その他のプラスチック34%で、プラスチックが合計84%です。その他のプラスチックには、釣り具や漁具がほとんど(27%)を占めています。
 このような背景を踏まえて、2018年1月に欧州委員会は"プラスチック戦略"4)を循環型経済への移行の取り組みの一環として発表しました。
 "プラスチック戦略"を通じて、プラスチックによる汚染から環境を守ると同時に、経済成長とイノベーションを促し、難題を欧州の将来に対する前向きな議題へと変えるとしています。"戦略"による新計画の下で、欧州市場に流通するすべてのプラスチック製の包装材は2030年までに再生利用可能なものとし、使い捨てのプラスチック類は削減し、マイクロプラスチックの故意での使用(例:化粧品や洗顔剤などに使われている微細なプラスチック粒子)は制限されます。
 この新たな戦略により欧州は、以下に取り組むとしています。

  • 企業にとって再生利用が利益になるようにする
  • プラスチックの廃棄を抑制する
  • 海洋でのごみの投棄を阻止する
  • 投資とイノベーションを推進する
  • 世界各地で同様の変革を促す

廃プラスチック規制として、
 "戦略"は2015年5月に告示された"軽量プラスチック製キャリーバッグ(厚さ50μm以下)の使用量削減に関する指令(2015/720/EU)の成功を基にしています。指令2015/720/EUは、"包装材および包装廃棄物に関する指令(94/62/EC)"の修正法です。
 指令94/62/ECの前文で改正趣旨が記述されています。

  • 第1文節:包装および包装廃棄物が環境に与える影響を防止または軽減するために、欧州議会および理事会指令94/62/ECが採用された。プラスチック製のキャリーバッグは、その指令の意味の範囲内で包装となるが、そのようなバッグの消費に関する特別な措置は含まれていない。
  • 第2文節:プラスチック製のキャリーバッグの現在の消費レベルは、高レベルのポイ捨ておよび素材の非効率的な使用をもたらし、そして何もしなければ増加すると予想される。プラスチック製のキャリーバッグのゴミ捨ては環境汚染をもたらし、水域のゴミの広範な問題を悪化させ、世界中の水生エコシステムを脅かす。
  • 第3文節:環境中のプラスチック製のキャリーバッグの蓄積は、特定の経済活動に明らかに悪影響を及ぼす。

具体的な規制主要条項は次になります。

  • (i)指令94/62/ECの第4条の追加義務
    加盟国は、自国の領土における軽量のプラスチック製のキャリーバッグの消費を持続的に削減するための措置をとるものとする。

軽量のプラスチック製キャリーバッグは、厚いキャリーバッグよりリサクル率が低いことから規制が強化されています。

  • (ii)指令94/62/ECの第8条a(生分解性および堆肥化可能なプラスチック製のキャリーバッグのための特別な対策)の追加義務

2017年5月27日までに、欧州委員会はラベルまたはマークの仕様を定め、生分解性および堆肥化可能なプラスチック製のキャリーバッグを欧州全域で承認し、消費者にそのようなバッグの堆肥化特性に関する正しい情報を提供する。
 表示およびその要件はEN 13432:2000(包装:堆肥化および生分解により回収可能な包装の要件)です。
 このような経緯から、2018年10月、欧州議会は、海で広く見られ、すでに入手可能な非プラスチック代替品がある特定の使い捨てプラスチック製品に対する欧州員会の規制案(特定のプラスチック製品の環境への影響の低減指令)5)に賛成しました。この中で、欧州議会は禁止される品目のリストにオキソ分解性プラスチックを追加しました。オキソ分解性プラスチックは、添加剤のために小さな断片に容易に分解されますが、海洋における微小塑性汚染の一因となるプラスチックです。
 目的(第1条)は、"特定のプラスチック製品が環境、特に水生環境、および人間の健康に与える影響を防止および軽減すること、そして革新的なビジネスモデル、製品、および材料によって循環経済への移行を促進すること。"です。
 範囲(第2条)は、"附属書に記載されている使い捨てのプラスチック製品およびプラスチックを含む漁具に適用する。"です。
 附属書では、製品群毎に義務が規定されます。

パートA:使い捨てのプラスチック製品の消費削減(第4条)

  • 食品容器(容器から即座に消費されることを意図された食品を収容するために使用する容器で、ファストフード用などは除外)
  • 飲料用カップ

パートB:販売制限する使い捨てのプラスチック製品(第4条)

  • 綿棒(医療目的の綿棒を除く)
  • カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン、箸)
  • プレート
  • ストロー(医療目的のストローを除く)
  • 飲料スターラー
  • 風船(工業用などを除く)

パートC:製品要求(第6条)
 プラスチック製のキャップと蓋を有する使い捨てプラスチック製品は、製品の意図された期間中にキャップと蓋が容器に取り付けられたままである場合にのみ市場に出すことができる。

  • 飲料容器(キャップやふたを含む飲料ボトルなどの液体を入れるために使用される容器)

パートD:表示要件(第7条)
 次の1つ以上のことを目立ち、はっきりと判読でき、消えない表示で消費者に知らせる。
 (a)製品に対する適切な廃棄物処理の選択肢、またはその製品に対して回避されるべき廃棄物処理手段
 (b)製品のポイ捨てなどの不適切な廃棄物処理による環境への悪影響
 (c)製品中のプラスチックの存在

  • 生理用ナプキン(パッド)およびタンポンおよびタンポンアプリケーター
  • ウェットワイプ、すなわちプレウェットパーソナルケア、家庭用および工業用ワイプ
  • 消費者向け風船

パートE:拡大生産者責任(第8条)

  • 食品容器
  • 直ちに消費されることを意図した食品を含む柔軟な材料から作られたパケットおよびラッパー
  • 飲料容器(キャップやふたを含む飲料ボトルなどの液体を入れるために使用される容器)
  • 飲料用カップ
  • フィルター付きタバコ製品およびタバコ製品と組み合わせて使用するために市販されているフィルター
  • ウェットワイプ(プレウェットパーソナルケア、家庭用および工業用ワイプ)
  • 消費者向けバルーン
  • 軽量のプラスチック製キャリーバッグ

パートF:分別収集(第9条)

  • 飲料ボトル

パートG:意識向上(第10条)
 対象はパートEと同じですが、消費者の意識を高める義務です。
 回収目標:加盟国は2025年までに使い捨てのプラスチック飲料ボトルの 90%を回収する義務があります。
 海浜でのゴミ全体の27%を占める漁具については、欧州委員会はプラスチックを含む漁具の生産者責任スキームを用いて既存の政策枠組み6)を完成させることを目指しています。プラスチック製漁具の生産者は、港湾受け入れ施設からのゴミ収集費用とその輸送と処理の費用をまかなう必要があります。
 指令なので、加盟国で国内法を整備する必要があります。
 国内法は、指令発効後2年、移行期間とし、第5条、第7条は2年です。
 なお、食品に接触するプラスチックに関して欧州では、"プラスチック製食品接触材料および製品に関する規則、Regulation 10/2011 plastic materials and articles intended to come into contact with food 通称:PIM)"7)があります。
 PIMは附属書Iに収載されたユニオンリストに収載された物質を意図的に利用できます。
 プラスチック製のキャリアバッグである食品容器はPIMだけでなく、材質規制になります。

3.アメリカの動き

カルフォルニア州法でProp67と言われるSenate Bill(上院)No.270(single-use carryout bags)8)が施行されました。Prop67は、州法DIVISION 30(WASTE MANAGEMENT)PART 3(STATE PROGRAMS)にCHAPTER 5.3(Single-Use Carryout Bags)の条項を追加するものです。2016年11月の投票で決定しました。
 Prop67(Sec5.3 Single-Use Carryout Bags)の要求の要旨は次です。
 「使い捨てキャリーアウトバッグ」とは、販売時に店舗から顧客に提供される、プラスチック、紙、またはその他の材料でできたバッグを意味し、リサイクルされた紙のバッグまたは再利用可能な食料品のバッグは含みません。「使い捨てキャリーアウトバッグ」は0.1ドル以下で提供してはならないとされています。
 テキサス州オースティン市でも使い捨てキャリーアウトバッグの規制をしています。

<参考>
 カルフォルニア州は法案を投票して決定しますが、Proposition(Prop)67は2016年11月に他の法案と一緒に投票がされました。この投票でProp65として、野生生物保護基金として使い捨てバッグの販売収益に入れる案の投票は過半数に達しませんでした。
 Prop65と言えば、「1986年安全飲料水および有害物質施行法」とされていますが、1986年11月の投票の法案でした。

4.まとめ

日本では、レジ袋有料化が進んでおり、スーパーマーケットでは数円です。環境省の中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会で「プラスチック資源循環戦略(素案)」9)が提示され、レジ袋の有料化の義務化も検討されています。
 プラスチック廃棄物を削減する規制はSDGsのターゲットとの関連としていますので、世界共通規制となります。当面は、使用量の多い容器包装、漁具などが対象ですが、家庭用品、産業用品など使用量が多い製品が対象として広がると思われます。レジ袋の次はPETボトルに代表される飲料容器と言われています。
 これまで、樹脂中の添加剤、可塑剤などへの対応が焦眉の課題で、フタル酸エステル類の代替化を対策しましたが、今度は材料規制ですので、新たな展開となります。

1)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101402.pdf
2)https://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/KENKYU/report/rhr56/rhr56-a09.pdf
3)http://ec.europa.eu/environment/circular-economy/pdf/plastics-strategy-brochure.pdf
4)http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-5_en.htm
5)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/en/ALL/?uri=CELEX%3A52018PC0340
6)http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-3927_en.htm
7)https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2011/10/oj
8)http://leginfo.legislature.ca.gov/faces/codes_displayexpandedbranch.xhtml?tocCode=PRC&division=30.&title=&part=&chapter=&article
9)https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-d1.pdf

(松浦 徹也)

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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