ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

2018.07.13

ELV指令、電池指令(2006/66/EC)およびWEEE指令を修正する欧州議会、理事会の指令(EU)2018/849の官報公示

欧州委員会は、2018年6月13日に掲題の指令 (EU) 2018/8491)を官報公示しました。
 本指令はELV指令(2000/53/EC)、電池指令(2006/66/EC)およびWEEE指令 (2012/19/EU)の3指令について廃棄物枠組み指令(2008/98/EC)との整合を図ることや各指令が加盟国に報告要求している実績データの信頼性を高め、欧州委員会による順法チェックや加盟国間のデータ比較を可能とするため、各指令における報告要件の見直しおよび統一を目的として、上記3指令の見直しを規定しています。

指令(EU)2018/849は前文12項目と条文5条で構成されています。前文の概要を以下に紹介します。

  • EUの廃棄物管理は、天然資源の利用を確保し循環社会の原則を増進しながら環境の質の保護、維持、改善と人の健康の保護の観点から改善されるべきである。
  • 加盟国が3年ごとに提出している報告書は順法検証や良好な実施の保証に効果的なツールとしては証明されていなく、不要な法的負荷となっている。加盟国にそのような報告を課す規定は廃止することが妥当であり、むしろ、順法監視は、加盟国が毎年報告するデータに基づくべきである。
  • 加盟国により報告されるデータは、欧州委員会がEU廃棄物法令(ELV指令、電池指令及びWEEE指令など)への順法を評価するために必須である。
  • 廃棄物枠組み指令(2008/98/EC)に規定されている廃棄物ヒエラルキー*)は、EU廃棄物予防および管理法令で優先順位が適用される。加盟国は廃棄物ヒエラルキーを考慮し、廃棄の優先順位に従った措置を採用し、優先順位の具体的実施を確実にしなければならない。
    • *)廃棄物ヒエラルキー:廃棄物枠組み指令(2008/98/EC)における環境保護のための廃棄物処理に対する措置の優先順位をつけ、以下の5つの階層を規定している。
      1.再利用のための準備、2.リサイクル、3.リカバリー、4.その他のエネルギー(熱エネルギーなど)回収、5.処分
  • 循環社会へ向けての移行実施のための共同体コミットメントにおいては、ELV指令、電池指令およびWEEE指令がレビューされ、特に関連する廃棄物に含まれている特定な材料に対する目標設定の可能性を考慮し、修正されなければならない。
  • ELV指令を修正、補足し、WEEE指令を修正するため、「EUの機能に関する条約」第290条2)に従い、ELV指令の第4条4(2)(b)、第5条(5)、第6条(6)および第8条(2)を本指令で修正すること、および、WEEE指令の第19条を本指令で修正する法律を採択する権利が欧州委員会に委任されるべきである。
  • 本指令により修正されるELV指令の第7条(2)および9(1d)およびWEEE指令第16条(9)の実施のための一定条件を確実にするため、実施権限が欧州委員会に授与されるべきである。それらの権限は規則(EU)No 182/20113)に従って行使される。
  • 共同体における廃棄物管理を改善し、環境の保護、維持、改善および天然資源の慎重で合理的な利用に寄与するという本指令の目的は加盟国においては十分に達成できなくむしろ、措置の規模と効果という理由から共同体レベルでよりよく達成できる。共同体は、欧州共同体条約第5条に規定されている補完原則により措置を採択してもよい。
  • ELV指令、電池指令およびWEEE指令は適宜修正されるべきである。

本文で要求されている3指令の見直し概要を下表に示します。

指令名称 見直し要求箇所
ELV指令 第4条2(b)項、第5条5項、第6条1項および6項、第7条2項、第8条2項、第11条が変更され、9条1項を削除し、第9a条と第10a条が追加される。
電池指令 第10条3項、第12条5項、第23条1項および2項を変更し、第22条を削除し、第22a条が追加される。
WEEE指令 第16条5項を削除し、6項、7項、8項および9項および第16a条を追加、第19条を変更。

以下では本指令第3条に規定されているWEEE指令(2012/19/EU)に関わる修正箇所に絞って、その内容を紹介します。

改正指令(EU)2018/849第3条は、加盟国に対し、欧州市場に上市されたWEEEの量とカテゴリーに関する報告書を欧州委員会に電子的に提出することを要求しています。また、加盟国は、廃棄物ヒエラルキー適用に対するインセンティブを提供するために、経済的手段およびそのほかの措置を利用する権限を与えています。

関連する条文は下記に示すとおりWEEE指令第16条と第19条の見直し・削除・追加などの対象になっています。

1.第16条は以下の通りに修正される。

  • (1)文節5は削除
    • (加盟国に対する、3年ごとに定められた方法でのWEEEの回収実績などの報告要求を削除)
  • (2)以下の文節が追加される。
    • 6 加盟国は、暦年ごとに文節4の実施に関するデータを欧州委員会に報告しなければならない。
      報告は、データが収集される報告年末の18カ月以内に、本条の文節9に従い委員会が制定したフォーマットにより電子データで報告しなければならない。
    • 最初の報告期間は、文節9に従いフォーマットが制定された実施法適用後、最初の暦年にスタートし、当該報告期間に対するデータを包含していなければならない。
    • 7 加盟国が報告するデータには、品質チェック報告を添付していなければならない。
    • 8 欧州委員会は、文節6に従い報告されたデータをレビューし、その結果を公表しなければならない。報告書はデータ収集の組織、データソース、加盟国が使用した方法および当該データの完全性、信頼性、同時性(timeliness)および一貫性を評価しなければならない。当該委員会評価は改善に対する勧告を含んでいなければならない。
      加盟国は、最初のデータ報告後4年毎に報告を実施しなければならない。
    • 9 欧州委員会は、本条の文節6に言及されるデータ報告に対するフォーマットを規定している実施法を採択しなければならない。当該実施法は、第21条(2)に言及される検査手続きに従い採択されなければならない。
      検査手続きが採択される場合、輸出者に対し、仮の反ダンピング措置や相殺関税措置が適用されることとなります。

2. 以下の条項が挿入される

  • 第16 a条 廃棄物ヒエラルキー適用に対するインセンティブ
    本指令に規定されている目的に貢献するため、加盟国は廃棄物枠組み指令附属書IVaもしくはそのほかに示されている手段、措置を廃棄物ヒエラルキーの適用に対するインセンティブを提供するための経済的な手段またはそのほかの措置を利用してもよい。

3. 第19条の第1文節は以下で置換えられる。

  • 1.(1)で第16条文節5が削除されたことを踏まえ、以下に置換えられている。
  • 本指令の附属書IV、VII、VIIIおよびIXに科学と技術の進歩を適用するために必要な修正に関する本指令第20条に従い委任法を採択する権限が欧州委員会に与えられる。欧州委員会は、修正される個々の附属書に対し個別の委任法を採択しなければならない。本指令附属書VIIを修正する場合、RoHS指令(2011/65/EU)の下で許可されている除外が考慮されなければならない。

(瀧山 森雄)

1)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32018L0849&from=EN
2)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:12012E290&from=EN
3)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32011R0182&from=EN

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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