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ここが知りたいRoHS 指令

コラム

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16.03.25

いま、企業に求められること~順法システムの構築~

EU RoHS(II)指令の制限物質の追加や除外の見直し、REACH規則のSVHC(Candidate List収載物質)の追加や成形品の分母の解釈の変更、中国RoHS(II)管理規則の告示など、化学物質関連法規制は変化し続けています。
 また、国内でも6月1日からの労働安全衛生法の改正によるリスクアセスメントの義務化やchemCHERPAによる情報伝達スキームの具体化などの動きもあります。

法規制は国内外で改定が頻繁に行われています。
 EU RoHS指令が検討され始めた2000年前後から、日本企業は海外(特に欧米)法規制情報の収集と対応が本格化しました。当初は、法規制の制定、改定情報の収集が目的で、この情報でパッチを当てるような対応に終始しました。
 15年余経過し、法規制の変化は常態化しているとして、情報収集の仕組みの構築と本質的な取組みの模索が始まっています。
 化学物質関連法規制の変化は、規制物質の拡大だけでなく、化学物質管理はリスクマネジメントが要求されるようになってきています。企業対応での留意点は、ハザード管理からリスク管理へのシフトです。

リスクとは、「目的に対する不確かさの影響」(ISO31000)と定義され、化学物質管理では次のように表されます。
  リスク=ハザード × ばく露量

法規制対応では、用語を変えると分かりやすくなります。
  リスク=結果の重大性 × 頻度(可能性)

結果の重大性は、罰金額であったり企業や製品信頼性への悪影響で、EU RoHS指令では特定有害化学物質の含有などの規制内容になります。規制内容はGPSD(製品全般の安全性に関する欧州議会・理事会指令 2001/95/EC)のように「製品が安全であることを保障する」ことを求めて、指令には明確な基準がなく、規格で示している場合もあります。

頻度は、企業活動での規制基準への抵触の可能性です。
 一般的なリスク管理のステップは次となります。

(1)ハザードの特定
 法規制がハザードになります。
 まず、販売先の国の自社製品に適用される法規制や基準を調べます。法規制は日々のごとく変わり、それも厳しさを増しますので最新情報の入手が必要です。この情報源としては行政、地域支援機関、工業会や民間機関など数多くあります。次のような情報源を活用することになります。

顧客からの要求仕様書、グリーン調達基準書なども情報源となります。

法規制の解釈でも動きがあります。2015年9月10日のREACH規則の成形品のSVHC(Candidate List収載物質)の含有濃度計算の分母は、輸入品に関しては成形品を構成している個々の成形品を分母とするとの解釈が確定しました。
 RoHS指令の分母は均質物質(homogeneous materials)で、REACH規則の分母とは違いがあります。ただ、REACH規則の「成形品を構成している個々の成形品」は考え方によれば、例えば、電子部品のコンデンサーではコンデンサー全体ではなく、コンデンサー(成形品)を構成している購入成形品であるピンやスリーブ単位となります。

RoHS指令とREACH規則との差異が縮まってきて、共にBOM(Bill of materials 部品構成表)で、管理する必要が出てきました。
 しかし、RoHS指令の重金属の制限は元素単位で、REACH規則は物質(substance)単位という差異はあります。例えば、一酸化鉛(Lead monoxide 組成式 PbO)では、RoHS指令ではPbO中のPbの重量が対象で、REACH規則ではPbOが対象となります。この差異は7%程度ですが、物質によっては無視できない差異もあります。

企業活動は、直接的なのか間接的なのかはさまざまですが、EUだけでなく全世界(国連加盟国数は196カ国)をマーケットにしています。自社製品に適用される法規制と基準を明確にすることになりますが、販売の可能性のある国のすべてについて、対応するのは現実問題として困難です。
 販売先国が特定されていれば、その国の法規制や基準を調査し対応します。販売先国が特定できない、あるいは顧客が間接的に広く販売している場合などは、優先順位を付けて対応をすることになります。

化学物質規制法は、EU REACH規則、化学物質の分類はGHS、製品特定化学物質規制はEU RoHS(II)指令、法規制適合宣言はCEマーキングをまずは押さえます。
 このことで、EU REACH規則は中国 新化学物質環境管理弁法(通称 C-REACH)や韓国化学物質の登録及び評価等に関する法律(通称 K-REACH)のひな形的法規制であり、EU REACH規則対応で、“そこそこ”の対応ができます。
 以下、EU RoHS(II)指令をベースとして説明を進めます。

(2)リスクの見積り
 リスクの見積りは2段階で行います。  まず、設計部品表をベースにして、サプライヤー情報などを含めたBOMを作成します。BOMにより、第1段階では、調達する材料に特定有害化学物質が含有する可能性を評価します。 RoHS指令の整合規格であるEN50581(有害物質の使用制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書)では、「サプライヤーの信頼性」と「調達材料に特定有害化学物質が含有する可能性」から、含有リスクの見積もりをします。

「サプライヤーの信頼性」は、当然企業単位で、信頼性を評価する仕組みが必要となります。例えば、次のような区分をします。

  • ISO9001マネジメントシステムに化学物質の管理システムを統合し運用している。
  • RoHS/REACHの専用システムを独立し導入している。
  • 都度、不使用証明書を集めている。
  • 都度サプライヤーに顧客要求を伝達している。

「特定有害化学物質の含有の可能性」は、調達材料単位となります。
 この信頼性の区分けは、通常のサプライヤー評価システムの中の、チェック項目に組み込んで(一緒に)に行うことが効率的となります。
 「調達材料に特定有害化学物質が含有する可能性」は、IEC62321-2(サンプリングガイドライン)などが利用できます。
 自社製品を構成する部品や材料について成形品単位または均質物質単位で、さらに規制物質〔EU RoHS(II)指令では6(間もなく10)〕物質、REACH規則では168物質(2016年3月末時点))ごとに確認することになり、確認対象が膨大になりますので、これも2ステップで行うことが考えられます。

第1段階の第1ステップはスクリーニングです。

  • 材料
     金属材料:ステンレス・鉄合金・銅合金・アルミ合金等
     樹脂材料:フェノール樹脂 (PF)・エポキシ樹脂(EP)・メラミン樹脂(MF)・ポリプロピレン (PP)・ポリ塩化ビニル (PVC)等
     複合材料:樹脂を含む・樹脂を含まない 等
  • 工程
     機械加工:切削加工・物理的加工(研磨・溶接)等
     表面処理:めっき(化学・電気)・塗装・含浸等
     樹脂成形
     接着、等
 

材料と工程のマトリックスで、特定有害化学物質が含有される可能性を区分けします。
 ステンレスを切削加工した部品と樹脂成形部品では、含有している可能性は後者が高いことが技術的知見で評価できます。
 スクリーニングでは、部品の重量、部品数や原産地国なども評価項目になります。  

スクリーニングでの評価のまとめは、ステンレスを切削加工した部品のリスク評価は材質確認で終わりとするなどの単純化でよいのですが、単純に割り切れない場合は「階層化意思決定法 AHP(Analytic Hierarchy Process)によるリスクの統合やHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)による重要工程の選択などを行います。
 AHPもHACCPも成書が多くありますので参考になります。

第1段階の第2ステップは、スクリーニングで含有している可能性に高い部品材料についての精査です。第2ステップは、「サプライヤーの信頼性」と「含有している可能性」のマトリックス評価を行い、確証データとして「カタログ」「仕様書」「サプライヤー適合宣言書」「部品材料適合証明書」「マネジメントシステム保証書」「分析データ」などの組合せ情報を集めて評価します。同様に「工程の信頼性」として、「作業標準書」、「検査基準書」や「QC工程表」も対象とします。

 

第1段階では、RoHS指令やREACH規則が制限を要求している特定有害物質の含有を評価しました。第2段階は製品固有のリスクのリスク見積りを行います。
 リスク評価の目的は顧客のリスクの低減で、顧客の使い方によりばく露は変わり、リスクは変わります。GPSDが求める安全な製品要求は、RoHS指令やREACH規則の要求を含むさまざまな基本的な要求です。RoHS指令やREACH規則等の要求への適合は必要事項ですが、それで十分とは言えないことを意味します。

顧客の使い方について、ブルーガイド(The 'Blue Guide' on the implementation of EU product rules 2014) の2.7項で「製造者は合理的に予見できる使用条件の下で、製品に規定された条件により製品に定められた用途に相当する保護レベルを製品と一致させなくてはならない」として、自社の一方的な使用方法の特定ではなく、「合理的に予見できる使用条件」をリスク評価対象にしなくてはなりません。

さらに、「製造者は製品の意図された用途を考慮し、自身を特定製品の平均的な使用者の立場に置いて、どのような方法で製品が使用されるかを合理的に考えることを深く考慮しなくてはならない」として、間違った使用方法も考えることを求めています。  順法確証情報のサプライヤーとの授受、顧客との授受の標準ツールとして開発されているchemSHERPA(chemical information SHaring and Exchange under Reporting Partnership in supply chain)です。chemSHERPAは2015年10月から運用されています。

(3)リスク低減措置の検討
 リスクが特定されたら、リスク低減措置を検討します。
 低減措置の検討では、例えば鉛の含有の可能性をさげるために、真鍮材をステンレスに変える、あるいは樹脂製品を金属に変えるなど、幅広に行います。ブレーンストーミングまでは必要ありませんが、幅広に意見を集めることが必要です。
 この取組みを自社の部品や材料の標準化推進活動などと統合すると進捗します。

(4)リスク低減措置の優先度の決定
 検討したリスク低減措置をすべて実施することは、多くは無理ですので優先度を決めます。優先度は実現の可能性と効果から決めるなどとします。実現の可能性は技術的な側面だけでなく、経営的な視点での検討も入れます。

優先度の高い部品や材料について、「サプライヤーの信頼性」や「工程信頼性」の確証情報をレビューして、確証情報の妥当性の確認や定期的見直し期間の設定などを行います。

ISO/IEC17050-2(適合性評価-供給者適合宣 第2部 支援文書)では、「確証情報(支援文書)は、供給者適合宣言からの遡及が可能であるように、作成、保持、管理及び維持をしなければならない」としています。
 確証情報はトレサビリティの要求ですので、必ずしも自社で保有することが要求されませんが、「物と情報」のリンクが重要となります。

(5)リスク低減措置のマネジメントシステムへの組み込み  (1)ハザードの特定から(4)リスク低減措置の優先度の決定までの手順は、標準化しておくことが重要です。
 ISO/IEC17050-1(適合性評価-供給者適合宣 第1部 一般要求事項)では、「適合宣言の発行者は、提供した又は受領された対象が適合宣言に表明した要求事項と継続的に適合することを確実にするための適切な手順を持たなくてはならない」としています。

 

ISO9001のマネジメントシステムなどの手順に組み込むことで維持できます。ISO9001は必ずしも第三者認証を受けることが要求されてはいませんが、RoHS Enforcement Guidance Document(Version 1 - issued May 2006)が求めるコンプライアンス保証シシステム(CAS Compliance Assurance System)は求められています。  ちなみに、この手順がCEマーキングの技術文書(Technical Documentation 技術説明書)の基本説明事項になります。

(6)スパイラルアップ
 リスクは、前提条件が変われば変わります。設計変更、サプライヤー変更、工程変更などの変更があれば、リスク評価は見直しが必要となります。
 設計変更を含めて何処まで変化すれば見直すのかは悩ましいところです。
 ISO/IEC17050-2で、支援文書の内容に関し、「適合宣言の妥当性に影響を与える変更があった場合は、それを文書化しなくてはならない」としています。

設計変更などの場合は、設計変更承認手続きのなかで、「適合宣言の妥当性に影響を与える」かについてDR(Design Review)で評価し記録を残すなどの手順が考えられます。  次に優先度の高い事項についてリスク低減措置を検討しましたので、ひと段落が終わったら次の優先度の高い事項のリスク低減措置を検討します。PDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)でスパイラルアップをしていきます。

(7)デューディリジェンス EUでの順法活動と順法証明は、デューディリジェンス(Due diligence)と言われています。デューディリジェンスを主張するためのガイド“Due diligence defence guidance notes”があり、そのなかで次があります。

  • 相当な注意を払ってあらゆる適正措置をとる
  • 当然実施すべき活動を遂行する

前項の(1)から(6)がデューディリジェンスを主張するできる内容になっていることが必要となります。 イギリスの当局のRoHSガイダンス(Guidance to RoHS Directive 2011/65/EU  National Measurement and Regulation Office) では、サプライヤーと材料・部品の信頼性などのデューディリジェンスの主張するべき事項を例示しています。

デューディリジェンスは難しい、掴みどころのない感じですが、「お客様満足」のために何をするかということが基本で、多くの企業は現状の取組みで説明できるものです。
 ただ、心しなくてはならないのが、「有言実行」で、取り組みを説明し、その言葉通りに実行している記録が示せなくてはならないことです。

(松浦 徹也)

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中小機構「中小企業国際化支援アドバイス

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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