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ここが知りたいRoHS 指令

コラム

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14.12.19

ブルーガイドによる論点整理(2)

前回に続いて、RoHS指令に関する悩ましい事項について、ブルーガイド(以下BG)を参照し、解釈していきたいと思います。

1.上市(じょうし)の定義

上市の定義は、それぞれのEU整合法令に定義されています。

(1)RoHS(II)指令・WEEE指令・玩具指令・EMC指令
 ニューアプローチ指令では共通で上市(placing on the market)を次のように定義しています。

  • EU市場で電気電子製品を最初に利用可能とすること
  • 「市場で利用可能にする」とは、商業活動の一環として有償、無償に関わらず電気電子製品をEU市場で流通、消費又は使用のために供給すること

(2)ELV指令
 上市(put on the market)の制限条項(第4条)はありますが、用語の定義は本文にありません。ただ、自動車は使用の登録制度があり、この時点で安全と環境の適合証明(EC certificate of conformity)が要求されます。

(3)REACH規則
 第5条で登録していない物質についての上市(placed on the market)の制限があります。定義は若干異なっています。

  • 有償、無償に関わらず第三者に対して供給又は利用可能にすること
  • 輸入は上市とみなす

利用可能の定義は示されていなく、「輸入とは、EU関税地域への物理的導入」としています。

(4)包装材指令
 上市(put on the market)の義務(第4条)はありますが、定義は本文にはなく、規格によると前文に記述があります。
 上市はニューアプローチでは「placing on the market」、ニューアプローチ以外は「put on the market」が使われています。
 RoHS(I)指令では「put on the market」が使われていましたが、FAQで当時のブルーガイドの説明を引用し、現在の定義と同じ解釈を示し、更に具体的に「所有権の移転」時点であると解説しています。

2.EU整合法令の適用日

placing on the marketとput on the marketの使い分けがされています。微妙なニュアンスの違いは識者に任せるとして、「上市日」、EU整合法令の適用日について検討してみたいと思います。
 RoHS指令の上市の場合は、「市場で利用可能にした日」となります。「所有権の移転」に着目しますと図の(1)から(5)が該当します。

輸入者は「EUに設立され、EU域外(第三国)から製品をEUに上市する自然人または法人」で、「輸入者の義務は製造者の義務」です。(引用BG 3.3項)なお、EU加盟国からの場合は輸入ではないとしています。
 従って、EU域外企業(日本企業)がEUの輸入者に税関経由で引き渡す(所有権の移転)場合〔(1)〕は、上市とはなりません。

規則765/2008/EC(製品のマーケティングに関する認定及び市場監視の要求事項を規定する規則)で、市場監視当局の「書類確認及び必要であれば適切なサンプルに基づく物理的確認及び試験所確認により、適正な規模で製品の特性を適切に確認する(第19条)」について、税関と市場監視当局は情報を共有し、EU市場に入る製品の管理をする(第27条)義務があります。
 輸入管理の過程(税関検査)で適切なチェックを実施することが効果的であるとしています(引用:BG7.3.3項)。

規則765/2008/EC第27条2項のチェック項目にはCEマーキング関連もあります。
 (1)はREACH規則では上市日になりますが、ニューアプローチ指令では順法確認はされますが上市でなくリリース日とされます。
 なお、このために対応として、輸入業者は、EU域外製造者に適合性評価手続きの実施を要求しなくてはなりません〔引用:BG 3.3項、RoHS(II)指令第9条〕。

(2)と(3)は同じ意味を持っています。EU域内企業の工場で完成させ自社倉庫に在庫させた場合や輸入者が倉庫に在庫する場合〔(2)と(3)の前〕は、「所有権が移転」していませんので、上市とはなりません。
 輸入業者やEU域内製造者から卸業者に引き渡すとき〔(2)と(3)〕は、最初に利用可能にした日で上市日になります。この時点でEU整合法令が適用されます。

(4)と(5)は、卸業者、小売店からの「所有権の移転」です。卸業者、小売店は流通業者とされ、定義は「サプライチェーンにおいて製品を市場で利用可能にする製造者、輸入者以外の自然人または法人」とされ、特定の義務(順法確認や不適合の疑いがある場合の是正処置など)があるとされています(引用:BG 3.4項)。

消費者、最終使用者に引き渡される時点(使用に供する日)について、「EU域内において最終使用者が初めて使用する時点では、幾つかのEU整合指令に関連する」とされています。リフト、機械、計量器またはEMC指令などでカバーされる製品で用いられるとされています。関連製品は、使用に供されるときに適用可能なEU整合法令及び他のEU法令の規定に適合していなければなりません。

ただ、この義務は、市場監視のために「製品の適合性」「製品が意図された目的のために正しく設置、メンテナスや使用されていることを検証する必要がある製品に限定されます。
 対象は、「組立、設置または他の操作が行われた後でのみ使用できる製品」や「その製品の適合性が保管や輸送などの流通条件で影響をうけることがある製品」です。

しかし、加盟国は国内法でEU整合法令の規定に従って製造された製品の改造を要求することはできないとしています(引用:BG2.5項)。

3.トレサビリティの要求

EU整合法令の適用日は前項のように、製造・輸入後も消費者だけでなく職業的使用者を含む最終使用者までの、サプライチェーンのそれぞれの段階で義務があります。
 RoHS(II)指令第12条(経済事業者の識別)でトレサビリティ要求があります

加盟国は、経済事業者が電気電子機器を上市後10年間は、要求により、市場監視当局に対し次を特定することを確実にしなければなりません。

  • 電気電子機器の供給元(川上サプライヤー)の経済事業者
  • 電気電子機器の供給先(川下サプライヤー)の経済事業者

経済事業者の定義は、RoHS(II)指令第3条で「経済事業者とは、製造者、認定代理人、輸入者及び流通業者を意味する」となっています。
 EU整合法令への適合確認は、トレサビリティ(仕入先と販売先)で監視されることになります。

4.日本とEUの考え方の差異

ニューアプローチ指令には上市日、利用可能日、使用に供する日が出てきました。日本企業はどこまで責任を持つか、あるいは持てるか悩ましいところです。

一般製品安全指令(GPSD 2001/95/EC)では、指令の目的は「製品が安全であることを保障する」こととしています。生産者は「安全な製品のみを流通させる義務を負う」(第3条)として、上市後についても義務を課しています。GPSDでは生産者の定義として、生産者がEU域外に存在する場合は、輸入者やサプライチェーン上の安全性に影響を与える業務活動を行う者を含めています。

このような義務のなかで、多くの日本企業にとっては、輸入者に引き渡した時点で、その先はわからない、責任は持てないとの意見をお聞きします。しかし、RoHS(II)指令第12条のトレサビリティ要求があり、トレースできる仕組みが必要となります。

順法に関する考え方が日本とEUで異なる点があります。例えば、REACH規則前文第86文節では「物質そのもの、調剤(混合物)又は成形品に含まれる物質の製造・上市又は使用からの人の健康及び環境に対する高いレベルの保護を確保するために必要とされる適切なリスク管理措置を特定することは、製造者、輸入者及び川下使用者の責任であるべきである。しかし、それが不十分と考えられる場合や、欧州共同体の法規が正当化される場合には、適切な制限が定められるべきである」(環境省訳)とあります。
 第86文節は、企業の自主的な取り組みを求め、その取り組みが不十分な場合に規制することを示しています。EU法令では前文はその法令の理念や考え方を示しますので、この自主的取組みと法規制の考え方がEUの基本的理念です。

一方、日本では法規制を守ることが基本で、法規制以上の自主的な取組みは積極的に実施されません。
 少し古い資料ですが、「価値観データブック」(電通総研編、同友館、p85)では、「法律制度への信頼」の調査結果に差異が示されています。
 日本は「信頼する」が74.1%で23調査国の中ではトップで、ドイツ 43.0%、アメリカ 35.7%となっています。法律に関する意識が大きく違っているようです。

ニューアプローチ指令への適合は、EUの理念や考え方が基本となります。日本とEUの考え方の差異があることを認識することが重要ですが、その対応は難しくはありません。
 「お客さまに安全と安心を提供する」という考え方を多くの企業が取り入れています。この安全、安心はコンプライアンス宣言の上位の宣言です。当社製品を使用していただく直接のお客さま、最終のお客様に安全と安心を保証する顧客満足活動がEUの理念と同じになります。
 ニューアプローチ指令の適合宣言は顧客満足宣言と言ってもよく、これは日本企業の日常活動でもあります。

(松浦徹也)

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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